
オトナサローネでエッセイ『シングルファーザー小説家の子育てと社会日記』を連載中の作家・仙田学さんと、オトナサローネ編集部井一が、7月17日にインスタライブで「不登校ラジオ#2」を配信しました。
現在は京都芸術大学で小説の創作を指導する教員でもある仙田さんは、中学2年生のお嬢さんが不登校状態にあります。そして実は、仙田さん自身も15歳から18歳まで学校にまったく通わなかった「不登校経験者」。中高一貫校に中3の1学期から行かなくなり、高校には一日も登校しないまま、その後は大学入学資格検定(大検)を経て大学へ進学しました。同じく中2娘が不登校状態にある井一との「記事に書いていない裏話」をお届けします。
【不登校ラジオ・ダイジェスト】#2
*仙田さんの連載#4『不登校の娘のこれまでを振り返る。「自己主張をしない育てやすい子」が5歳で突如として「癇癪を起す」ようになった。もしかして』
不登校中学生は「高校進学」をどのタイミングで考える? いまは進路も多様です
井一:連載の4回目はスクールカウンセラーさんについてのお話でした。仙田さんの娘さんは現在中2で、フリースクールに通い始めているそうですね。
仙田:はい、娘はやりたいこともできていて、フリースクールに通いながら、この夏は高校見学にも行っています。
井一:不登校の中学生にとって、高校進学は大きな課題ですよね。小学生も、中学受験で一貫校をご検討の場合は内部進学基準まで見ておいがほうがいいかもで。
仙田:現在は通信制で探しているのですが、通信制高校は中学の出席日数や成績が出願に関係ないみたいなんです。本人のやる気や学校とのマッチングを見られます。あと、通信制高校は全日制高校と3年間で学ぶ時間数が違うんですよね。単位制になっていて、74単位を3年間で取れれば卒業できる。大学のように自分で時間割を作って週に2、3日通うので、超えるべきハードルが全日制に比べて低く設定されています。長女は今も週2、3日フリースクールに通っているので、これならいけるなと見えてきました。
井一:高校進学は皆さんが直面する問題で、なにしろ不登校ですので出席日数が足りない、内申点も厳しい。進路の選択肢が限られます。私の場合は、中学のスクールカウンセラーにはっきりと「全日制は難しい」と言われました。中学に通えなかった場合、体力的に高校で全日制に通うのは難しいから、出願書類を慌てて用意しなくていいように、早めにお母さんが何校かオープンキャンパスを見て見当をつけておいてくださいと。
仙田:私もスクールカウンセラーに言われて、結構驚いて、悲しみました。悲しいですよね、高校に行けないの!?と。
井一:いや本当に、普通の高校に行けないの!?とショックでした。でも、入学してからやっぱり通えなかったとなるよりは、事前に言ってもらえてよかったのかもしれません。単位制の学校は公立ですか、それともN高のような私立ですか?
仙田:長女はやりたいことがはっきりしているので、それができる専門学校のような私立です。学科の勉強をしながら自分の興味のあることの勉強も同時にできるところで、メイクや美容のコース、製菓、動物と触れ合うトリマー、演技芸能コースなどがありました。ただ、今検討しているうちの1校は進学コースもあり、国公立を目指す子も、同志社や立命館などに行く子も、専門学校や就職を選ぶ子も幅広くいる感じでした。
井一:どのくらいの段階で進学のことを考え始めましたか?
仙田:僕自身、中3から不登校になり高校には行っていなかったので、高校というシステム自体がよくわからないんです。子どもが学校に行っていないので、進路について学校で聞く機会も高校見学の授業も一切なく、自分で一から探すしかない。不安は大きかったです。調べていて知ったのですが、難関校を除けば、中3ぐらいから動き始めても遅くはないようです。長女が進路のことに関心を持っていたので、希望をヒアリングして僕が調べ、いくつか見せて選ばせ、一緒に見学に行っています。
井一:単位制・通信制でも、キャンパスは京都にあるんですか?
仙田:はい、いま検討しているところはそうです。通信制は本当に選択肢が広くて、オンラインメインでスクーリングが年に数日だけのものから、週に1日、週に2、3日、もっとたくさん通いたければ週5日通える学校まであります。全日制より自由な時間がいっぱい持てるので、単位を取るために週何日か通って残りの時間はやりたいことに充てられる。長女の場合はそちらの方が合っているなと思いました。
僕も学校の先生から「全日制は難しいと思います」と言われてショックを受けたのですが、通信制と全日制、どちらが合っているかというだけの話なんだなと、実際見学に行ってみて思いました。ただ逆に、やりたいことがない子の場合は、通信制に行くと自由な時間を無為に過ごしてしまう危険性もあるなと。自主性のある子は通信制の方が向いているかもしれません。
子どもが実際に「動き出すことができた」、仙田家の秘訣はいったい何だったのか
井一:仙田さんのお嬢さんは沈んで何もできない時期をすでに乗り越えて、次のステージに向かいつつあるんだろうなと感じるのですが、ここに至るまでどのような接し方を心がけたのでしょうか。休み始めてから大体1年くらい?
仙田:1年近く、寝たきりになって起きられなかったのは10ヶ月ぐらいですかね。
井一:お子さんが不登校になったお母様方は最初、子どもに正論をぶつけてしまいがちで、しかし最終的には見守るようになっていく流れが多いのかなと思うのですが、先生は最初から正論を全くぶつけなかったんですか?
仙田:うちの場合、僕自身が元不登校児だったので、正論をぶつけられてきた側なんですよね。それがどれだけ辛かったかも覚えているので、最初からしませんでした。
井一:仙田さんご自身がどんな正論をぶつけられて、何がいちばん嫌だったかは覚えていますか?
仙田:学校に行くのが当たり前の時代でしたから、ストレートに「学校に行け」と言われました。「お前がやってることは間違っている」、それが正論だったんですよね。 学校行くのが正しいとだけ言われて、当時それが正論とさえ思えなかったから、 取っ組み合いになったこともありましたね、父親と。
井一:仙田さんが不登校だった時は、自由な時間に寝起きしていた感じですか?
仙田:最初は朝起きて学校に行くふりをして映画館、名画座に行っていました。2本立ての映画を2回ずつ見て、お昼は母親が作った弁当を映画を見ながら食べて、夕方に帰るという生活を1週間ぐらいしていました。でも今の長女がそれをするかというとしないと思うんです。つまり、当時は行きたくないというサインを出すことすらできなかったということだと思います。
井一:「学校行け」以外に、言われて嫌だったことはありました? たとえば自分を振り返ると、起きなさい顔を洗いなさい靴下を洗濯機に入れなさいご飯はちゃんと座って食べなさいお箸は正しく持ちなさいと、とにかくずっと怒っているなと思うんです。
仙田:それ、不登校が始まる前はどうだったんですか?
井一:ずっと前から同じことで怒っています。
仙田:前から言っていたのなら、それはいいんじゃないですか。不登校になったから態度が豹変するというのは、子どもからしたらショックだと思います。元々お母さんはこういう人だという、そこは変わっていないということですよね。
つづき>>>不登校児の親は「子どもから意識を剥がす」練習をするほうがいいかもしれない
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