
前編記事『私立小5年の娘と「登校しなさいバトル」を繰り広げた私は小学校教諭。やっと同僚に「娘が不登校で」と相談できるようになった』に続く後編です。
ももさん 40歳 京都府在住。小5娘と2人暮らし。公立小学校の教諭として長年勤務しています。趣味は刺繍やソーイングなどの手芸と、ベランダガーデニング。多忙な合間を縫ってお花の植え替えにいそしんでいますが、今年は酷暑のあまりか枯れてしまう植物も多くて悲しいとのお話。
*プライバシーに配慮し一部を改変してお届けします。写真はイメージです。
【不登校の親なう】#3後編
あまりに何もしない娘が不安になって「見守りカメラ」を導入したものの、またバトルが
昼間、最初は、学校に行っていないのにテレビを見せるのもと思い、見せない時もありました。折り紙や絵、工作が好きなので、起き上がってもパジャマから着替えもせずにそういうことをずっとしていました。ご飯も、もともと食が細いので、朝ごはんも昼ごはんも置いておいてもあまり食べていませんでした。
娘の生活がどうなっているのか気になって、あるとき見守りカメラを導入しました。音声で呼びかけて会話ができるタイプです。電話をかけても怒られると思っているので出ないのですが、見守りカメラなら一方的に呼びかけられると思ったのです。ですが、それも嫌だったようで、自分でコンセントを抜いてしまったり、「電波が入っていません」となったり、私が家を出た瞬間にカメラを壁の方に向けてしまったりして、結局それも喧嘩の元にしかならず、今は使っていません。
今はこうしたことを笑って話していますが、当時は本当に腹を立てていました。もちろん今でもそういう日はありますが、基本的に電話に出ないので、もうそれはあきらめました。
携帯は、何かあった時用に持たせています。2月から中学受験を視野に入れて塾に行き始めたので持たましたが、出ないですね。家にいてスマホ漬けになっている感じがないかというと、どうでしょう、もしかしたら遊んでいるかもしれません。ただ最近スマホが壊れています。私も何度も投げてしまったので画面が割れていて、あまり使えていないと思います。
中学受験も最初は全然前向きではなく、塾も嫌がっていましたが、最近になって行ってみたい学校が見つかって、「その学校には行きたい」と言うようになり、ようやく動機づけができたのかなと思います。塾も中学もまた行かなくなったらどうしよう、学費だって高いのにとも思いますが、やってみるしかないですよね。
現在のところ、塾は遅刻しながらも何とか行っています。「塾に行けているだけいいよ」と言ってくれる人もいるのですが、時間の管理ができないんです。何時に出発すると決めても全くできず、常時遅刻。わざとなのか本当にわかっていないのか、1時間くらい平気で遅れて行きますし、私が家に帰ってからでないと家を出ない。電話も、怒られると思って出ないので、それもイライラします。
学校に行かなくなるといろいろ無気力になるという話も読んで、もしかして自分で時間が管理できなくなるのかもと思い、家の時計にアラームをかけたり、紙に毎日「今日の予定・何時に着替える、何時に出発する」なんて書いたりしているのですが、全くその通りにやりません。わざとなのか、見ていないのか。本人は「気づいたら時間が過ぎていた」と言いますが、本当なのか。
不登校の子どもが塾に行けているというのは、実はすごいことだと思うようにした方がいいのかもしれませんね。できていないことばかりに目が行ってしまって腹を立ててばかりいます。
子どものことを何度も何度も何度も、あちこちで説明することに疲れてしまった
今でも「とはいえ、ドリルはやりなさい」「とはいえ、外に出なさい」「とはいえ、パジャマは着替えなさい」と言い続けています。少し行けた日には、もう少し行ってほしいと言いたくなるのですが、過去を振り返ると、そこで押すとまた無理をさせることになって、逆戻りしてしまうこともありました。今はあまり言わない方がいいのかなと悩んでいます。
こういう子どものことを、学校でも病院でも何度も説明するのに疲れてしまいました。もういいや、助けてもらわなくても、という気持ちになることもあります。
娘は小学校受験を経て私立小学校に通っています。私の勤務先は公立小学校なのでどうしても比較してしまうのですが、公立小学校では少し休み出しただけでかなり手厚く対応を始めます。娘の今年の担任の先生がとても熱心な方で、いろいろ声をかけてくださって、面談しながら週2回登校できるところまでご尽力くださって、心から感謝しています。
うちの子の場合、誰かとの明確なトラブルやいじめがあったわけではないため、先生が「誰もいない時間に来てみたら」と提案してくださったことで、行ってみようかなと思えるようになったみたい。「こんな方法がある」「これがなくてもこんなふうにできる」という選択肢を与えてもらえたことで一歩前進しました。4年生のときの先生はノータッチでしたから、公立に比べるとやはりできることに限りがあるのかなと思います。
学校にオンライン授業ができないか相談したこともあるのですが、難しいと言われました。私が勤務している公立の学校では、来ていない子にタブレットを持ち帰らせて、黒板の前などにカメラを置いて教室を映し、それを見て授業を受けたら出席扱いにするということをやっているので、いまどきはむしろ公立のほうが手厚いんです。
私自身も教師だからこそ、「言うに言えない」さまざまな悩みを抱え込んでしまう
昨年私は6年生の担任を持っていたのですが、娘が休み出したのは冬の卒業直前のシーズンでした。授業のほかに卒業式の練習などもあるので休めず、むしろ少しでも早く出勤して準備したいと思う中、思うように家を出られなかったり、学校にいても家の様子が気になって仕方がなかったり、あるいはもう少し仕事をしたいけれど急いで帰宅するという日々でした。あの時期は特に辛かったです。
私がこれまで担任を持ったクラスでも、完全に不登校になるということは実はなくて。ですが、休み始めて30日のいわゆる不登校の状態の子は毎年いました。公立の学校はこの30日でなんとか食い止められるようにあらゆる手を尽くすんです。
正直にいうと、内心恥ずかしい気持ちもあります。教師ですから私は学校は当然行くものだと考えています。自分自身は子どもたちが楽しく通えるようにと日々仕事で頑張っているつもりなのに、まさか自分の子どもが行かないとなると、どうしていいかわからない。職場で「今登校できていない子、どうしようか」とやり取りする時にも、後ろめたさのようなものを感じます。仕事として接する子どもたちと、我が子は、同じような対応ができないのです。
昨年は同僚の先生方には黙っていたのですが、最近は言うようにしています。どうしても様子が気になる日には早退することもあり、言わないわけにいかなくなった部分もあります。
娘は電車とバスで1時間ほどかけて通学しています。休み出した頃、お腹が痛いと言いながら登校していた時期も「無理だったら帰ってきていいよ」と伝えていましたが、保健室に行くということもなかったそうです。無理やり行かせていた頃にもっと早く「休んでいいよ」と応じていたら、回復がもう少し早かったのかなとも思いますが、わかりません。
教師という立場から見ると、先生の考え方にも個人差があることは痛いほどわかっています。正直「家でもっと後押しすべきだ」と思っている先生もいると思います。今年の担任の先生は個人がかなり多くを担ってくださっていて、娘は先生の空き時間に合わせて登校しているんです。例えばクラスが図工の授業をしている時間の空きコマに30分、1時間と見てもらって帰ってくる、というような形です。私も授業をしているので、自分の空き時間がどれだけ貴重かわかります。娘がその時間を全部使ってしまっていることに申し訳なさを感じます。
私の勤務校では、担任一人がすべて担うのではなく、別室登校の子を見る専任の先生がいたり、空いている先生が交代で見たりと、学校全体で関わる体制があります。娘の学校は、担任という窓口ひとつ、しかも先生が空いている時だけという状態なので、学校全体としての体制がまだ私立にはないのかなと思います。もし空いている先生や教室がもっとあれば、娘ももう少し登校できるのではないかと思います。何もなければどちらでもいいのだと思いますが、何かあった時に対応してくれるかどうかという意味では、今は公立の方がいいのかもしれないという気はします。
こうして漠然と話すことにもかなり体力を使うんですね。相談って難しい
今日話してみて、私もずっと「あれをやって」「これをやって」「こうするべきだ」ということばかり言っているなと感じました。家に帰ってからも時間が気になって、夜遅くなると生活リズムが崩れるのでそれも心配で、寝かせたいですし。ご飯も、食べるのに一時間くらいかかるので、つい「早く食べて」と言ってしまいます。洗濯物も脱いだところにポンポン置いてあります。
学校に行けていない子どもの親御さんとお話ししたのも初めてです。不登校の子どもの「親の会」も調べると出てくるのですが、まだ参加する気になれていません。きっと行けばそれなりに体力を使うでしょうから、お母さん自身も気力と体力を貯めた方がいいですよね。こうしてオンラインでお話しすることでも結構体力を使います。また、やっぱりカウンセラーの先生と喋っていても、家でのことを全部つまびらかには言えない部分もあります。
公立だと、来ていない子がいれば周りの保護者もなんとなく把握していて心配してくれたりしますが、私立は地元での接点がないためママ友も公立ほどできず、子ども同士も放課後や休み時間のつながりが少なめです。公立ならば登校班のような形で「一緒に行こう」という誘いがありますが、それがないのも辛いところです。私立は通学距離も遠いため「途中からでも学校においで」という気軽さはなく、登校そのもののハードルが高くなりがちです。近ければ「30分だけでも学校に行こうか」と気軽に行けたかもしれません。
毎日毎日バトルしていた日々を思うとだいぶ怒鳴りあいは減りました。最初は、休んだとしてもここまでは勉強させないとって思っていましたし、いまも私がいる夜くらいはこれとこれをやらせねばという思いがあります。現代は「無理しなくていいよ」という時代なのもわかっているけれど、そうして全部ゆずっていった先が怖くないですか? このまま1日中パジャマを着替えず、勉強も何もできていない状態で万が一成人してしまったら、その先がどうなるのか……?
「子どもは放っておけばパワーを貯めていつか這い上がる。いまは力をつけている期間」とされているのもわかっています。しかし我が子がそうなる保証もない。少し登校できたら、明日も行ってほしい、もう1時間学校にいてほしいとどんどん言いたくなります。でも、無理をさせるとまたパタリと止まるかもしれない。本当に悩みが尽きません。
通勤の電車で、娘の学校の制服を着た子や友達を見かけることがあります。「うちの子は家にいるのに」と思うと、つらい気持ちになります。
>>>私立小5年の娘と「登校しなさいバトル」を繰り広げた私は小学校教諭。やっと同僚に「娘が不登校で」と相談できるようになった
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