
今オトナサローネで特に反響がある記事テーマの一つが“不登校”です。それだけ、悩みを抱える家庭が多いということです。
NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』などで注目を集める、教育実践研究家・菊池省三先生は、新刊『足型をはめられた子どもたち』の中で、その厳しい現実をあらわす衝撃的なデータを伝えています。
「小学校の不登校児は44人にひとりの13万7704人、精神疾患によって休職した教員は3458人、学校暴力は8万2997件(いずれも2024年の文部科学省による)」
今の学校教育において、何か歪みがあるのではと思わざるを得ない数字です。
ある学校で見た「生徒も先生も退屈そうな」変わった授業スタイルについても触れられていました。「先生が書いた台本を読み上げて子どもが授業をする」セルフ授業というスタイルだそうです。決められた台本から外れれば、「その通りにやるように」注意を受ける。「子どもを型にはめようとする授業の典型」だと先生は言います。
そして先生は続けます。
「そしてこの県は、不登校率が2年連続で過去最多になっている状況です。
セルフ授業との因果関係は定かではありませんが、私は、授業が面白くない、という点は間違いなく不登校の要因のひとつと考えます。
不登校については、全国的な関連調査も毎年のように行われています。文部科学省が2024年に全国の小・中学校の教育委員会を対象に行った調査(「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」)では、次の回答が不登校の要因として上位にあげられました。
学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった
生活リズムの不調に関する相談があった
不安・抑うつの相談があった
学業の不振や頻繁な宿題の未提出が見られた
一方、子どもはどう感じているのかというと、同じく文部科学省が小・中学生を対象に行った調査(「不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書」令和3年)で、小学生の回答は以下の順でした。
先生のこと(先生と合わなかった、先生が怖かった、体罰があったなど)
身体の不調(学校に行こうとするとおなかが痛くなったなど)
生活リズムの乱れ(朝起きられなかったなど)
きっかけが何か自分でもよくわからない
友達のこと(いやがらせやいじめがあった)
学校側は「学校生活に対してやる気が出ない」「学業の不振」などの相談があったと回答し、子どもの側は不登校理由を、先生のことや意欲の低下が原因である、と答え、双方の調査結果は(微妙に)違っています。
学校や授業が面白くないのに、学力アップばかり求められる子どもたち、という光景をこの10年間、日本全国で幾度も目にしました。結局は、学校よりも家が楽しいのです。」
今回は、全国で人口増加率ナンバーワンで、その学校教育に注目が集まる千葉県・流山市内の小学校にて行われた、菊池先生の飛び込み授業を見学。授業後にインタビューを実施しました。近年急増し問題になっている不登校について話題が及ぶと「学校が楽しければ来るし、楽しくなければ来ない」と先生は話します。そう考える理由とは?
不登校が増えているのは学校が楽しくないから?コミュニケーションと教育の本質

―不登校がこれほど増えている背景をどう見ていますか。
「やはり、学校が楽しかったら来るし、楽しくなかったら来ない。ゲームのほうが楽しかったらそっちに行くでしょう。本当は良くないですけれど、私が唯一「分かるかな」と思う不登校の理由は、交通網がないような田舎で通学に大変な時間がかかるというケースぐらいで、基本的には学校そのものの楽しさ・つながりの問題が大きいと思っています。
ある外国の生物学者の方が、人間が生きていく上で欠かせないものが4つあるとおっしゃっています。水、空気、食べ物、そしてコミュニケーションです。お猿さんを一匹だけ別の場所に連れていったら、自分の体をかきむしったり毛を引き抜いたりするくらいにストレスを抱えるそうです。また集団に戻すとその行為がなくなると。それぐらい、人は人の間で生まれ育つという証明であり、コミュニケーションというのはそれほど重要なんです。
だから本来は、コミュニケーションを取りたいはずなんです。術を知らないとか、価値が分からないとか、やって失敗して笑われたとか、いろんな要因で今そういう状態になっているのだとしたら、本来の姿に戻してあげるということではないかなと思います。
対処療法ではなく予防的に行くとしたら、つながるおもしろさ・楽しさ・価値みたいなコミュニケーションを育てることが予防でもあるんです」
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