
東京の外れにある古びたペンションを舞台に、人と人との出会いやすれ違いを穏やかなまなざしで描いてきたドラマ『ペンション・恋は桃色』。肩の力を抜いて楽しめるユーモアのなかに、恋愛や家族、それぞれが抱える人生の機微がさりげなく織り込まれ、多くのファンに愛され続けています。
現在、フジテレビの動画配信サービスFODで配信中のseason4では、いつもの「ペンション・恋は桃色」ではなく、海の見えるペンションが物語の舞台に。長谷川京子さんが斎藤工さん演じるヨシオの元恋人・カコ役として参加し、いつもの顔ぶれに大人の恋のエッセンスを添え、物語に新しい風を吹き込んでいます。
今回は、ペンションのオーナー・シロウを演じるリリー・フランキーさんと長谷川京子さんにインタビュー。作品の見どころはもちろん、心地よい撮影現場の裏側、そして年齢を重ねた今だからこそ感じる、人との距離感についてお話を伺いました。
息ぴったりながら本格共演は実は初!?

――2020年にスタートした本作もseason4を迎えました。リリーさんは主演として率直なお気持ちはいかがですか?
リリー・フランキーさん(以下敬称略):ほとんど誰も見てないドラマですが、season4まで続きました(笑)。どのseasonから観ていただいても、なんとなくストーリーがわかるようにはなっているので過去作もよろしかったら、ぜひ。
今回は、初めて僕が恋をせずに、(斎藤)工くんと京子ちゃんの恋の話になっています。恋と、親子や家業の話という意外と普通のホームドラマになっています。まずは、長谷川さんの登場が華やかなのでご注目いただけたら。

――season4から作品に加わった長谷川さんですが、まず惹かれたのは物語だけではなく、画面越しからも伝わる現場の空気だったそうです。実際に過去の作品をご覧になったとき、どんな印象を受けたのでしょうか?
長谷川京子さん(以下敬称略):オファーをいただいてからSeason3を拝見したんですけど、「こんな面白いドラマがあるんだ」と衝撃を受けました。作り手のみなさんが絶対に楽しみながらやっているんだろうなという空気が画面越しから伝わってきたんです。あとはリリーさんに誘われたら絶対面白いはず、みたいな「リリーさんマジック」があると思っていて。ぜひ参加させてもらいたいと思いました。
京子ちゃんは「クリエイティブなものづくりを一緒に楽しめる人」

――以前から面識はあったお二人ですが、改めて向き合ったからこそ感じた、お互いの魅力について教えてください。
長谷川:最近、よくお会いしてるんですよね。少し前に私のポッドキャストにリリーさんをゲストでお招きして。私自身、人と会話することがすごく楽しくなってきたタイミングでもあったので、リリーさんと改めてお話しして「もっと知りたいな」と思っていたところでした。またこうしてご一緒できたのも、本当にいいタイミングだったなって思います。
それに、どんな現場でお会いしてもリリーさんはリリーさんなんです(笑)。俳優さんというより、私の中ではクリエイターという印象が強くて。もう7年ほど前になりますが写真集の帯のコピーもリリーさんにお願いして。その肩の力の抜け具合というかスタンスがすごく興味深いと言いますか、無理なくそこに存在している……そのバランスがすごく刺激になります。
リリー:最初に会ったのは、僕が雑誌で女優さんを撮る連載をやっていた頃。本当にたくさんの方を撮影していたんですけれど、長谷川さんのことはすごく覚えてるんですよ。みずみずしい感性の方というか。当時からクリエイティビティを感じる女の子だなっていうイメージがありました。
特にこのドラマは、仕事というより「ものづくりを一緒に楽しむ」感覚のメンバーでないと成立しない気がしていて。そういった点でも京子ちゃんの遊び心みたいなものをより感じられました。あとは飲み屋で偶然会うとこのドラマに誘われるパターンもあるんですけどね(笑)。
合宿だからこそ生まれる、ドラマの空気

――実際に現場へ入った長谷川さんは、その空気をどんな場面で実感したのでしょうか。
長谷川:現場入りした初日が忘れられないんです。メイクをしていたら、後ろからリリーさんの声が聞こえてきて。「あれ?」と思って振り返ったら、リリーさんがベッドで寝転んでいて。普通に会話していたのに、少ししたらもうイビキが聞こえてきて。「えっ、寝てる」って(笑)。
それがすごく象徴的。誰も無理をしていないし、変に気を遣い合う感じもない。初めて参加した私でも、自然とその輪の中に入っていける空気がありましたね。
――初めての現場では、少なからず緊張するもの。それでも長谷川さんのお話からは「居心地のよさ」が先にあったことが伝わってきます。そんな空気は、リリーさんが自然につくり出していたものなのでしょうか。
長谷川:リリーさんって、「座長です」っていうタイプでは全然ないんです。でも、気づいたらみんながリリーさんの周りに集まっている。差し入れもそうだし、誰か一人だけを特別扱いするわけでもない。みんなを自然に同じ距離感で見てくださるんです。
だから、誰も頑張って盛り上げようとしなくても、現場全体が穏やかな空気になる。その空気が作品そのものにも流れているような気がしました。
リリー:いやいや。そんなことないですよ。でも娘役でレギュラーの伊藤沙莉はこの仕事はご褒美だと思ってやってるそうです。飲みに来てるって感覚、それぐらいでちょうどいい。それでもシーズン4まで続くともう何年も親子役をやっているので、沙莉がしましまの衣装を着てテーブル拭いているだけで泣けてくるというか、娘を見ているような気持ちになります。
ちょっと残念だったのは、京子ちゃんが泊まりで参加できる日が少なかったことですかね。やっぱりこの作品って、醍醐味は撮影が終わってからみたいなところがあるんですよ(笑)。ペンションに泊まりながら撮影しているので、みんなでご飯を食べて、お酒を飲んで、他愛もない話をする。その時間まで含めて、『ペンション・恋は桃色』なので。
長谷川:6日間撮影期間があった中で私だけ出番の間隔があいていたのと、家に子どもがいるので長く不在にすることはできないので1泊だけしたんですけど、12時ごろまで撮影して、朝まで飲むとかはちょっと無理ですよね(笑)。
「友達って、仕事しないと会えなくなる」
――寝食をともにしながら作品をつくる『ペンション・恋は桃色』。仕事も家庭も忙しくなる大人世代にとって、誰かとゆっくり過ごすこと自体すごく特別な時間に見えます。
リリー:撮影が終わってからペンションで飲むのも楽しいんですよ。振り返ってみると、若い頃って、何もしなくても友達に会えたじゃないですか。でも、大人になると、それぞれ仕事もあるし家庭もある。だから、友達って仕事をしてないと会えなくなってくるんですね。仕事があるからこそ集まれるし、「じゃあ飲もうか」ってなる。そういう意味でも、この作品は僕にとって「友達に会える場所」でもあるんです。
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FODオリジナルドラマ
『ペンション・恋は桃色 season4』

FODにて全5話配信中/season1~3も配信中。
少し古びたペンション「恋は桃色」を舞台に、シロウ(リリー・フランキー)、娘のハル(伊藤沙莉)、住み込みアルバイトのヨシオ(斎藤工)と、”訳あり”な宿泊客たちが織りなす日常を描くハートフルコメディ『ペンション・恋は桃色』。何気ない会話の中に笑いと涙、そして人と人との温かなつながりが息づく世界観で、多くのファンに愛されてきた人気シリーズ。season4では、ペンション「恋は桃色」のリフォームをきっかけに、シロウたちは海辺のペンション「UNITY UNITY」で働くことに。慣れない環境で巻き起こる出来事や、新たな宿泊客との出会いを通して、『ペンション・恋は桃色』ならではの、笑って、ほろりと泣ける温かな物語が再び紡がれます。
リリー・フランキー

1963年11月4日生まれ。福岡県出身。近作は、映画「ルノワール」、ドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』など。現在放送中のドラマ「Tシャツが乾くまで」(TBS系・金曜午後10:00)、笑福亭鶴瓶と共にMCを務めるトーク番組「素っ頓狂な夜」(不定期放送)にも出演。
長谷川京子(はせがわ きょうこ)

1978年7月22日生まれ。千葉県出身。雑誌「CanCam」の専属モデルとして活躍後、2000年に俳優デビュー。近年では、ドラマ「ストロボ・エッジ」(WOWOW)などに出演するほか、Podcast番組「長谷川京子のうちにおいでよ」の配信やライフスタイルブランド「ESS BY」のプロデュースなど多方面で活躍している。



