今年8月にメジャーデビュー15周年を迎えたきゃりーぱみゅぱみゅ。15周年当日の8月17日にはニューシングル「月姫」を配信リリースしたほか、8月22日には神奈川・ぴあアリーナMMでアニバーサリーイベント『PAMYU FES ~Kyary Pamyu Pamyu 15th Anniversary~』を開催。木村カエラ、氣志團、MONGOL800、新しい学校のリーダーズ、FRUITS ZIPPER(フルーツジッパー)という豪華なアーティストが集い、15周年を祝福した。さらに、2027年1月29日には6thアルバムをリリースし、同年3月からは約5年ぶりとなる国内ツアーを開催することも発表。大きな節目を迎えながらも、きゃりーは現在進行形で新たな活動へと向かっている。2011年のデビュー以降、音楽やファッション、映像を通じて独自の“KAWAII”を発信し、原宿カルチャーを世界へと広げてきたきゃりー。本記事では15年間の活動を振り返りながら、彼女が日本のポップカルチャーに残してきたもの、そしてその精神が現在どのような広がりを見せているのかに注目してみたい。
【関連】アソビシステムが広げる“原宿カルチャー”の今 『ASOBIEXPO 2026』から考える総合フェス化の意味
【音楽、ファッション、映像で作り上げた唯一無二の世界観】
きゃりーは2011年8月、中田ヤスタカプロデュースによるミニアルバム『もしもし原宿』でメジャーデビュー。同作に収録された「PONPONPON」は、その後の活動を象徴する一曲となった。
中田によるポップかつエレクトロニックなサウンドはもちろん、楽曲とともに大きなインパクトを与えたのがミュージックビデオだ。カラフルなセットの中に奇妙な小道具やキャラクターが次々と登場し、“かわいい”だけでは収まらない少し不気味でユーモラスな世界を作り上げた。「PONPONPON」はYouTubeを通じて海外でも注目され、きゃりーの名前が日本の外へ広がっていく大きなきっかけとなった。
その後も「つけまつける」「ファッションモンスター」「にんじゃりばんばん」など、次々とヒット曲を発表。楽曲ごとに衣装やアートワーク、映像まで作り込み、音楽だけで完結しない独自の表現を確立していった。
きゃりーの活動を振り返ると、常に“見た瞬間にきゃりーだと分かる”世界観が存在している。楽曲や歌声はもちろん、ファッション、ヘアメイク、ステージセット、映像までを含めたトータルの表現によって、一人のアーティストとしてのイメージを作り上げてきたことは、15年間にわたって支持されてきた大きな理由の一つだろう。
【“原宿から世界へ”を体現してきた15年間】
そして、きゃりーのキャリアを語る上で欠かせないのが“原宿”という存在だ。
そもそもデビューミニアルバムのタイトルは『もしもし原宿』。モデルとして活動していた時代から原宿のストリートファッションと深い関わりを持ち、その感覚を音楽にも持ち込んできた。原宿には、さまざまなファッションや趣味を持つ人々が集まり、既存の価値観にとらわれず、自分が好きなものを自由に表現する文化が根付いている。
きゃりーが発信してきた“KAWAII”も、単にかわいらしい衣装やビジュアルを指したものではないだろう。奇抜な色使いやモチーフ、時にはグロテスクにも映る要素を組み合わせながら、自分が面白いと思ったものを自由に形にする。その姿勢自体が、原宿から生まれてきたカルチャーと強く結びついていたように思う。
そして、その表現は日本国内だけに留まらなかった。2013年には初のワールドツアーを開催。その後も海外公演を重ね、これまでに5度のワールドツアーを実施してきた。2022年には世界最大規模の音楽フェス『Coachella Valley Music and Arts Festival(コーチェラ・バレー・ミュージック・アンド・アーツ・フェスティバル)』にも出演。日本独自の“KAWAII”や原宿カルチャーを、その個性を保ったまま世界へ届けてきた。
今では日本のアーティストがSNSやストリーミングをきっかけに海外へ進出することも珍しくなくなった。しかし、きゃりーがデビューした2010年代前半から世界へ積極的に飛び出していたことを考えれば、その活動がいかに先駆的だったかが分かる。
【15周年の『PAMYU FES』に表れたきゃりーの歩み】
そんな15年間を象徴するイベントとなったのが、今年8月に開催された『PAMYU FES』だ。出演したのは、木村カエラ、氣志團、MONGOL800、新しい学校のリーダーズ、FRUITS ZIPPER。これまできゃりーが活動する中で関係を築いてきた先輩や、同じアソビシステムに所属する後輩世代まで、幅広いアーティストが顔を揃えた。
ステージでは、木村カエラの「Jasper」からきゃりーの「PONPONPON」へと繋ぐコラボレーションや、MONGOL800との「TRY ME ~私を信じて~」、氣志團との「One Night Carnival」での共演も実現。さらに、きゃりー自身のステージでは「キミに100パーセント」にFRUITS ZIPPER、「にんじゃりばんばん」に新しい学校のリーダーズが参加するなど、15年間の歩みと現在の繋がりが随所に表れたイベントとなった。
周年イベントには、そのアーティストがどのような道を歩んできたのかが表れるものだ。長く活動を共にしてきたアーティストと、新しい世代が同じ場所に集った『PAMYU FES』は、きゃりーが15年間の活動を通じて築いてきた関係性の広さを示すものだったと言えるだろう。
【きゃりーが切り開いた先に生まれた新たな“KAWAII”】
さらに、『PAMYU FES』に新しい学校のリーダーズやFRUITS ZIPPERが出演したことは、きゃりーが発信してきたカルチャーのその後を考える上でも興味深い。
新しい学校のリーダーズは“青春日本代表”を掲げ、パワフルなダンスを武器に独自のパフォーマンスを展開。2021年には88risingから世界デビューし、2024年には『Coachella』にも出演した。一方、FRUITS ZIPPERは「原宿から世界へ」をコンセプトに掲げ、“NEW KAWAII”を発信している。「わたしの一番かわいいところ」がTikTokを中心に大きな広がりを見せるなど、SNS時代ならではの方法で幅広い層へ支持を拡大してきた。
もちろん、両グループはきゃりーとは全く異なる音楽性や表現を持つ。それでも、日本で生まれた独自の感覚を武器に海外へ挑戦する新しい学校のリーダーズや、原宿から新たな“KAWAII”を発信するFRUITS ZIPPERの存在には、きゃりーが15年前から歩んできた道との繋がりを感じることができる。
きゃりーが世界へ届けた原宿カルチャーが、そのままの形で残っているわけではない。時代やアーティストによって解釈され、それぞれ異なる表現へと変化しながら広がっている。そうした現在の状況も、きゃりーが長年発信を続けてきたからこそ見えてきたものなのかもしれない。
そして、15周年は決して一つの到達点ではない。きゃりーは2027年に6thアルバムをリリースし、約5年ぶりとなる国内ツアーを開催する。長いキャリアの中で築いてきた独自の世界観を、これからどのように更新していくのか。次のステージへ向かうきゃりーぱみゅぱみゅの活動にも、改めて注目したい。



