数学・物理を学ぶ、AIチャットボット公開…金沢工業大
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「KIT STEMナビゲーション」は、高校と大学1、2年次に学ぶ数学、物理の内容が中心となった学習教材。「数学ナビゲーション」は、基本となる数学の公式を整理しており、数学の辞書のように利用できるほか、問題を解くためのノウハウも掲載している。「物理ナビゲーション」は、物理のeラーニング教材として活用されている。いずれも、在学生だけでなく、入学予定者、高校生や社会人、他大学の学生にも広く利用されている。
今回開発されたAIチャットボットは、数学の質問に答える「マスコ(Mathko)」と、物理の質問に答える「カンタ(Quanta)」の2種類。スマートフォンでの利用も可能で、学習者が抱える疑問や質問に対し、対話形式で回答することで、学習内容の理解促進をねらう。
数学担当の「マスコ」は、微分積分学、線形代数、微分方程式、数列・級数など、大学初年次教育を中心とした数学分野の質問に対応する。たとえば、合成関数の微分法や置換積分の考え方、行列計算、テイラー展開、ベクトル解析などについて、利用者の理解レベルに応じた説明を行う。具体例や途中式を含めた解説も可能だという。
物理担当の「カンタ」は、力学、電磁気学、波動、熱力学などの物理分野の質問に対応する。ニュートンの運動方程式や自由落下運動、力の合成と分解、電磁気学の基礎概念、ビオ・サバールの法則といった内容について、概念説明から数式を用いた解説まで行う。
同チャットボットの最大の特徴は、金沢工業大学が運用する学習支援システム「KIT STEMナビゲーション」と連携している点にある。利用者が質問を入力すると、チャットボットは「KIT STEMナビゲーション」内に蓄積された学習コンテンツや関連ページを検索し、それらの情報を参照しながら回答を生成する。回答内には参照番号が表示され、利用者は回答の根拠となったページを直接確認できる。これにより、回答の信頼性向上や学習内容との整合性確保、関連教材へのスムーズな誘導を実現している。
開発の背景には、近年の生成AI技術の発展がある。教育分野におけるAI活用の可能性が広がる一方で、一般的な生成AIは誤った情報を生成する場合があり、教育現場での活用には専門分野に特化した知識基盤や回答の信頼性向上が求められていた。同研究では、生成AI技術や大規模言語モデル(LLM)、検索拡張生成(RAG)などの技術を活用し、学習者が必要とする知識へ効率的にアクセスできる学習支援環境の構築を目指している。
チャットボットには、学習用途に配慮した機能も実装されている。質問内容に応じて回答方式を切り替えることができる「思考モード」があり、ONにすると複雑な問題や詳細な説明に、OFFにすると簡潔かつ迅速な回答に対応する。
今後は、「KIT STEMナビゲーション」との連携機能をさらに強化し、学習履歴や学習状況に応じた個別最適化学習支援の実現を目指すとしている。また、回答精度の向上、新たな学習支援機能の追加、教育効果の検証を進めながら、生成AIを活用した次世代型学習支援環境の構築を推進していく予定だ。
同AIチャットボットは、科学研究費補助金(基盤研究(C)「生成AIを活用した数理教育支援チャットボットの開発とeラーニングシステムへの導入」)の研究の一環として、金沢工業大学基礎教育部数理・データサイエンス・AI教育課程の教授で、同科研費研究の研究代表者である西岡圭太氏が開発したものだ。
《風巻塔子》
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