「第7回ヘルスケア・イノベーションフォーラム」開催 認知症の対応は喫緊の課題

・認知症と共生する社会の実現には、関係者間の「新しい認知症観」に基づいた協力が必要 ・医療イノベーションが共生社会の実現に寄与するには、その価値を最大限に享受できる早期発見・診断・治療体制の整備が急務 ・更なる認知症の革新的な診断と治療の実現に向けて、研究開発の推進を促す環境整備も重要


(写真左から)デイビッド・A・リックス、三浦公嗣氏、岩坪威氏、鎌田松代氏、古和久朋氏、シモーネ・トムセン、乗竹亮治氏(*登壇者の肩書は第7回ヘルスケア・イノベーションフォーラム 概要をご覧ください)

日本イーライリリー株式会社(本社:兵庫県神戸市、代表取締役社長:シモーネ・トムセン、以下「日本イーライリリー」)と米国研究製薬工業協会(PhRMA)は、10月11日(金)、東京都内で「第7回ヘルスケア・イノベーションフォーラム」を開催しました。

同フォーラムには、政策関係者、有識者、産業界関係者、メディアなど合計317名が参加しました。独自の認知症対策を進める神戸市、認知症関連の研究者、日本医療政策機構、当事者団体の代表者、米国イーライリリー・アンド・カンパニーのCEO デイビッド・A・リックスが、認知症とともに生きる社会体制の構築に向けて果たすべき役割や求められる変革について、アルツハイマー病を含む認知症における医療の現状を交えて活発に議論しました。

政府は、日本の認知症または軽度認知障害(MCI)の人の数が、2022年時点で約1,000万人、2024年には約1,200万人に上ると見込んでいます。また、2022年の若年性認知症の人の数は約3.6万人、18~64歳人口10万人当たり約50.9人と推計しています。政府の認知症施策推進関係者会議は、本年9月2日に公表した「認知症施策推進基本計画(案)」で、「国民一人一人が認知症を自分ごととして理解し、自分自身や家族が認知症であることを、周囲に伝え、自分らしい暮らしを続けていくためにはどうすべきか、考える時代が来ている」と指摘しています。認知症は、自分自身、家族や友人、職場の同僚など、身近な人の誰もがなり得る状態であり、認知症の対策は、日本にとって喫緊の課題です。

認知症の原因となる疾患はさまざまですが、その60~70%を占めるのがアルツハイマー病です。昨年から、アルツハイマー病の病態そのものに作用する抗アミロイド抗体薬が日本でも承認され、認知症治療の新たな可能性に期待が集まっています。ただ、その恩恵を最大限に活用するには、認知症の早期発見・診断・治療の重要性に対する理解と、それを実現するための医療体制の整備が必要です。

今回のフォーラムでは、革新的な診断・治療を適切に活用していくためにも、認知症や認知症の人に関する正しい知識・理解を促進していくことの重要性を改めて共有した上で、「認知症神戸モデル」を事例に、地域社会が認知症の早期発見・診断・治療の一貫した医療体制を構築することや、関係者間で連携を強化して支援体制を整備することの重要性が話されました。また、認知症の診断・治療に関する更なる研究開発の推進、研究開発における当事者の参画、日本における国内外イノベーションの実用化、当事者に確実に届く環境整備の必要性などが提言されました。

以下、本フォーラムの共催者のコメントをご紹介します。

<共催者のコメント(一部抜粋)>

米国研究製薬工業協会(PhRMA) 日本代表 ハンス・クレム
PhRMAは、日本の皆さんが命と健康的な生活を守るための革新的な医薬品に早期にアクセスできるよう、日本のすべてのステークホルダーと協力して、イノベーションを促進する医療政策を推進しています。

PhRMAは、日本イーライリリーとともに、本フォーラムを過去6回共催してきました。7回目の今回は、認知症やアルツハイマー病におけるイノベーションをテーマに、有識者の皆様に認知症政策、早期発見・診断・治療、研究開発など、多岐にわたる議論を行っていただき、国民皆保険制度におけるイノベーションの役割の重要性が共有できたことは、大変有意義であったと考えます。

PhRMAと会員各社は、国内外で研究開発に取り組み、革新的な治療法が迅速かつ的確に当事者に届けられるよう、今後とも、様々な関係者と対話を重ね、協同してまいります。

日本イーライリリー株式会社 代表取締役社長 シモーネ・トムセン
これまで多くのアルツハイマー病の研究が取り組まれてきました。リリーも30年以上にわたり創薬活動に巨額の投資を行っています。その結果、当社は早期アルツハイマー病当事者の認知機能や日常生活機能の低下を遅らせる抗アミロイド抗体薬の臨床試験データを示すことができ、承認取得に至りました。日本においてこの約1年で早期アルツハイマー病に対し、複数の抗アミロイド抗体薬が承認されたことは、当事者やそのご家族に新たな選択肢をもたらしています。

さらに、2024年1月に施行された「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」に基づき、認知症施策推進基本計画の策定と実行に向けた議論が進んでいます。このように、科学技術と政策の両面で新たな展開を迎えつつある日本は、これから認知症の分野で国際的なリーダーシップを発揮することが期待されています。

認知症の早期発見・診断・治療に向けた国・地域双方のレベルにおける取り組みに焦点を当てた今回のフォーラムでは、神戸市の「認知症神戸モデル」をはじめとする「認知症の人にやさしいまちづくり」の取り組みが紹介されました。これらの取り組みは、地域の認知症を巡る幅広い関係者が密接に連携・協力し、早期発見・診断・治療までのシームレスな仕組みを整備するとともに、認知症の当事者とその家族への支援を充実し、認知症になっても安心して暮らすことができる社会を目指すものです。パネルディスカッションでは、神戸市の経験を参考に、早期発見・診断体制の整備や治療の普及に向けた具体的なアクションプランが提案されたほか、更なるイノベーションを実現していくための研究開発のあり方について議論がなされました。今後、各関係者の取り組みが進むことを期待いたします。

日本イーライリリーは、これからも認知症を巡るステークホルダーと連携し、革新的な診断と治療の提供、認知症に対するスティグマの解消や認知症と共生する社会の実現に向けて貢献してまいります。

以上

第7回ヘルスケア・イノベーションフォーラム 概要

ヘルスケア・イノベーションフォーラムについて
「ヘルスケア・イノベーションフォーラム」は、持続的な国民皆保険制度と健康寿命の延伸における創薬イノベーションの役割を議論する場として、日本イーライリリーと米国研究製薬工業協会(PhRMA)が共催で、2018年より毎年開催しています。同フォーラムでは、その時々の政策課題に応じたテーマを設定し、日本のオピニオンリーダーによる議論を通じて、政策にかかわる関係者が取るべきアクション等についてメッセージを発信しています。

米国研究製薬工業協会(PhRMA)について
PhRMAは、世界の主要な研究開発志向型革新的医薬品企業を代表する団体です。PhRMA加盟企業は、人々の生活を変革し、健康的な人生を送ることができる世界を創るために、革新的な医薬品の開発に注力しています。PhRMAは、患者さんが疾患の予防、治療、および治癒に必要な医療にアクセスし享受できる解決策を求めて活動しています。直近10年間で、PhRMA加盟企業は新たな治療・治癒の研究開発のために8,000億ドル以上を投資しました。

日本イーライリリーについて
日本イーライリリー株式会社は、米国イーライリリー・アンド・カンパニーの日本法人です。日本の患者さんが健康で豊かな生活を送れるよう、日本で50年にわたり最先端の科学に思いやりを融合させ、世界水準の革新的な医薬品を開発し提供してきました。現在、がん、糖尿病、アルツハイマー病などの中枢神経系疾患や自己免疫疾患など、幅広い領域で日本の医療に貢献しています。詳細はウェブサイトをご覧ください。
https://www.lilly.com/jp

【プレスリリースはこちらのPDF版でもご覧になれます。】
https://prtimes.jp/a/?f=d5823-150-6705d78e0745da84917401ebd711e111.pdf

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