「あとどれくらい使える?」、EV時代の不安を解消へ EV蓄電池の劣化診断と残存寿命を予測する実証実験を開始

~EV社用車から取得するデータから劣化を予測~

大阪ガス株式会社(代表取締役社長:藤原 正隆、以下「大阪ガス」)と100%子会社の株式会社KRI(代表取締役社長:重定 宏明、以下「KRI」)は、2024年10月より、Daigasグループで利用する電気自動車(以下「EV社用車」)から取得するデータを用いて、EV蓄電池の劣化診断および寿命予測モデルの実証実験を開始します。



 2050年のカーボンニュートラル実現へのカギを握るEV(電気自動車)。Daigasグループは、「エネルギートランジション2030」の中で、2030年度までに社用車のCO2排出ネット・ゼロを掲げ、2024年8月から社用車へのEV導入をスタート。2025年9月までに約15台の導入を目指しています。
 しかし、EVバッテリーは、スマートフォンと同じように、使う人や環境によって劣化の進み方が大きく異なります。外気温、充電の頻度、運転の癖など、様々な要因が複雑に絡み合うため、これまで「あと何年使えるのか」を正確に予測することは困難でした。日本全体のCO2排出量の約2割を占める運輸部門では、EVへの転換が脱炭素化の切り札とされていますが、このバッテリー寿命への懸念が、ユーザーの背中を押す上での課題の一つとされています。
 この課題解決に向けて、大阪ガスとKRIは、長年の研究開発で培ってきたバッテリーの分析・評価の知見を活かし、個々のバッテリーの劣化診断と寿命予測を行う技術の開発を進めてきました。
 本技術の特長は、特殊な検査機器を必要とせず、EVの日常的な使用時に得られる充電データ等だけで劣化診断が可能な点です。さらに、バッテリー残存能力(SOH:State of Health)の予測において、使用環境や時間経過に伴って徐々に進む通常の劣化(一次劣化)だけでなく、劣化メカニズムの変化による突然の大幅な性能低下(二次劣化)のパターンも分析できます。
 本実証実験では、実際のEV社用車から得られるデータを解析し、この診断・予測技術の実用化に向けた検証を行います。

本実証実験の概要


実証期間:2024年10月~2025年9月(予定)
実証体制:大阪ガス、KRI、大阪ガスオートサービス株式会社
実証内容:1.EV社用車からデータを取得、2.KRIでデータを解析し、劣化診断・寿命予測モデルを構築(図1参照)

今後の展望


 本技術が実現すれば、「今のバッテリーの健康状態」と「残り寿命」を可視化できるようになります。さらに、バッテリーへの負担が大きい使い方をしている場合には、適切なアドバイスを提供することも可能になります。これにより、EVを長く安心して使えるようになり、普及の後押しになると期待されています。

 2025年度を目途に、まずはDaigasグループ内で本技術の実用化を目指しています。その後、リース会社や中古車販売店などへのサービス提供も計画しています。また、この技術は電気自動車に限らず、再生可能エネルギーの普及に欠かせない大規模蓄電設備など、様々な分野での活用(※1,2)も見込んでいます。

 Daigasグループは、2021年1月に発表した「カーボンニュートラルビジョン」、2023年3月に示した「エネルギートランジション 2030」のもと、脱炭素社会の実現に向けた革新的な技術・サービスの開発に挑戦しています。気候変動という人類共通の課題に真摯に向き合い、その解決に貢献することで、暮らしとビジネスの持続可能な進化を支える企業グループを目指してまいります。

*1:NEXT-e Solutionsとの資本業務提携について~リユース替電油を活用した茶統用蓄電池の事業化を目指して~
(2022年9月発表)
https://www.osakagas.co.jp/company/press/pr2022/1309569_49634.html

*2:EVメーカーフォロフライ株式会社との資本業務提携について(2023年1月発表)
https://www.osakagas.co.jp/company/press/pr2023/1316395_54087.html

大阪ガスとKRIが開発している蓄電池の劣化診断・寿命予測技術について


・KRIは1993年の蓄竜池関連部署の設立以降、蓄電池分野の幅広い領域(電極、セパレータ、電解液、システム
など)を対象に、大手メーカーを始めのべ約 370社の研究開発支援実績あり。

・本技術の特長は、EVバッテリーの「現在」と「未来」を見通す3つの革新的な機能にあります。

1.データ収集の革新
特殊な検査機器などを用いることなく、使用中のEV蓄電池から収集される通常のデータ(充電データ等)だけで、劣化診断が可能です。

2.2つの劣化パターンを予測
・使用状況や運用環境の変化も踏まえた使用状況や時間経過などに伴う
 経時的なバッテリー残存能力(SOH※)の低下(一次劣化)を予測
・劣化メカニズムの変化による突然の大幅なSOH低下(二次劣化)を予測
※SOH: State of Healthの略

3.最適運用をサポート
蓄電池の使用状態が適切でない場合には、運用方法のアドバイスを行うことで、電池寿命の延命などが可能。

会社概要


企業名 :大阪ガス株式会社
本社所在地 :大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号
代表 :代表取締役社長 藤原 正隆
設立日 :1897年4月10日
事業概要 :ガスの製造・販売、電力の発電・販売 等
WEBサイト :https://www.daigasgroup.com/ 


企業名   :株式会社KRI
本社所在地 :京都市下京区中堂寺南町134 京都リサーチパーク
代表 :代表取締役社長 重定 宏明
設立日 :1987年2月20日
事業概要 :材料分野、エネルギー・環境分野を中心とする
  研究開発の受託、分析及び試験評価
  上記に関わる調査・業務支援・その他付帯事業 など
WEBサイト :https://www.kri-inc.jp/

企業プレスリリース詳細へ
PRTIMESトップへ