【慶應義塾】GFAP遺伝子の変異が認知症の発症に関わる大脳白質病変に影響
ポイント
- MRIで見られる大脳白質病変は脳卒中や認知症の発症に関わる重要な所見ですが、アジア人における遺伝的要因は明らかになっていませんでした。
- 大規模認知症コホート研究であるJPSC-AD研究に参加した約9,500人の脳MRI検査とゲノム情報を用いて、大脳白質病変に関連する遺伝子領域を検討しました。
- 東アジア人で比較的多く見られるGFAP遺伝子の変異が大脳白質病変に関連していることを示し、さらにこれまで報告されていなかった新たな領域を1か所同定しました。
大脳白質病変は脳MRI画像でよく見られる病変で、脳卒中や認知症の発症に関わる重要な所見です。大脳白質病変は高血圧などの生活習慣病があると出現しやすいことが報告されていますが、遺伝的要因も関与することが知られています。これまでの研究で大脳白質病変に影響する遺伝要因が明らかにされてきましたが、アジア人を対象としたものは数百人程度での小規模な解析に限られていました。
九州大学大学院医学研究院 衛生・公衆衛生学分野の二宮利治教授、病態機能内科学の古田芳彦助教、眼病態イメージング講座の秋山雅人講師、および弘前大学、岩手医科大学、金沢大学、慶應義塾大学、松江医療センター、愛媛大学、熊本大学、東北大学、理化学研究所生命医科学研究センターらの共同研究グループは、健康長寿社会の実現を目指した大規模認知症コホート研究:JPSC-AD研究の参加者9,479人の脳MRI検査とゲノムデータを用いてゲノムワイド関連解析(Genome-Wide Association Study [GWAS])を行い、大脳白質病変容積に関連する遺伝子座を検索しました。その結果、大脳白質病変容積に関連する遺伝子座として17番染色体のGFAP遺伝子の295番目のアミノ酸を変える変異を同定しました。さらに、英国のUKバイオバンク研究のGWASデータとの統合解析を実施した結果、20か所の遺伝子座が大脳白質病変容積に関連しており、そのうち6番染色体(SLC2A12遺伝子)に存在する1か所の遺伝子座が新規の遺伝子座であることを明らかにしました。
本研究成果は、2024年11月13日午後7時(日本時間)に国際学術誌npj Genomic Medicineオンライン版に掲載されました。
▼全文は本学のプレスリリースをご参照ください。
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/files/2024/11/14/241114-1.pdf
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