[第7回] 秋葉原事件結審(前半) 傍聴券めぐり255人が並ぶ
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加藤被告は「遺族や被害者の方々には申し訳ないと考えている」と述べました。弁護側は死刑回避を求めました。判決は3月24日です。
この日、傍聴券55枚をめぐって、255人が並びました。約5倍でした。
同事件での被告人質問は約3倍でそれよりは倍率が高かったのですが、渋谷区の女子短大生バラバラ殺人事件の被告人質問の時には約7倍でしたので、その事件よりは社会的関心が少ないと言えるでしょう。
私は抽選に外れてしまいましたが、当選した友人に譲ってもらい、入廷することができました。
起訴状などによりますと、加藤被告は2008年6月8日午後0時33分ころ、東京・秋葉原の歩行者天国の交差点に2トントラックを突入させて、5人に衝突。うち3人を殺害しました。
また、トラックを降りると、ダガーナイフを使って、その場にいた4人を殺害。8人に重軽傷を負わせました。
基本的な事実に争いはありません。
最大の争点は責任能力です。
検察側は「完全に責任能力がある」とし、弁護側は「なんらかの精神障害の影響で、心神喪失か心神耗弱の状態だった」という点です。
また、1月25日の論告では検察側は、起訴前の精神鑑定で「完全責任能力がある」とされたことを前提に、加藤被告に対して「死刑」を求刑しています。
一方、弁護側は記憶の一部が欠如している点にふれて、「解離性健忘」であり、「正常な精神状態ではない」。
また、「殺害目的ではなく、計画性もなく、金銭目的でもない」といい、「終生をかけて責任の重大さを考えさせるべき」と、「死刑を回避すべき」と主張しました。
対立する理由としては、動機についての理解が対立していることもあります。検察側は、就労状況が不安定だったこと、容姿にコンプレックスがあったこと、交際相手が見つからなかったことで悩んでいた。
そのことを携帯電話でアクセスできる掲示板に書き込み、「唯一の居場所」と感じていましたが、その場が「偽物」や「荒らし」によって「自分の存在が殺された」と感じるようになった、としています。
一方、弁護側は「携帯電話の掲示板サイトに現れた、偽物や荒らしに対して、『やめてほしい』と思った。その手段として、事件を起こすかのような書き込みで警告した。人を殺すことが目的ではない」と述べました。
また、「掲示板」は「本音を言える大切な場」と位置づけ、「荒らされるのは、家族や友人を奪われることと同じ。警告をしたが収まらず、サイトの管理人にもメールをしたが、無視されたと思った」として、不安定就労や容姿のコンプレックスなどが原因になったとする検察側の主張を批判しました。
(続く)
《NewsCafeコラム》