[第7回] 秋葉原事件結審(後半) あっけにとられる裁判長、加藤被告に「それだけですか?」
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そして、
「今現在、事件を起こすべきではなかったと後悔と反省をしています。ご遺族や被害者の方には申し訳ないと思っています」
とだけ、述べました。
最終弁論が終わり、30分の休廷をとった後だっただけに、村山裁判長も「それだけですか?」とあっけにとられていたようです。
私自身も、加藤被告の最後の言葉になる可能性があっただけに注目していましたが、1分も経たずに終わりました。
私自身も、チャットやSNSに依存したことがあります。
この感覚は、ネット・コミュニティに依存したことがある人たちにとっては、ある程度、共感することでしょう。
「レス」があり、掲示板が活発になるのは「スレ主」にとってうれしいものです。
「レス」を求めるには、反応する「ネタ」を提供する必要があります。
加藤被告にとって、幼少期から培った人間関係のつくり方とマッチにしたのでしょう。
秋葉原事件結審(2) あっけにとられる裁判長、加藤被告に「それだけですか?」
この公判を何度か傍聴した女性(31)は、加藤被告に特別の思いを抱いています。
「私は、30歳までに、誰にも言わないで死ぬつもりだった。でも、この事件が起きたことで、この人(加藤被告)を知りたいと思ったんです。それが今は生きる理由なのです」
女性は北関東から上京、都内でアルバイトをしながら、ゲストルームで生活をしている。
抽選には外れてばかりだが、傍聴仲間に譲ってもらい、なんとか傍聴できている。
「最初は(被告の)人間性に惹かれたんです。苦しさを抱くような私たちの代弁者ではないかと思ったんです。
ネットでは彼を『神』と呼ぶ人もいます。ネットでの用語や雰囲気もそれ自体は理解できます。
しかし、傍聴を続けるうちに、最初の思いとは違ってきた。
所々、『何を言ってるの?』って、感じです。
自分を正当化しているだけじゃないかと思い始めた」
現在の若者たちが抱える将来への不安や孤独感、生きづらさといったものと事件が無関係だと加藤被告自身が話す姿をみて、「何の深みもない」と見えて来たのです。
公判を通じて、遺族や被害者と同様に、私自身も「真実がなかなか見えてこない」との印象を持ちました。
事件前から、逮捕されるまで記憶の一部をなくしているようですが、そこまでのストレスの原因は「なりすましや荒らしが現れたこと」だけなのでしょうか。
不安定な雇用や将来への不安といったことが本当に無関係だったのでしょうか。
その答えの一端が最終陳述で加藤被告自身の言葉で何が語られるのかを注目していました。
しかし、一分も満たない時間で終わってしまい、期待が外れました。
加藤被告はもう諦めに似た心情だったのかもしれません。(終わり)
《NewsCafeコラム》