[第11回]東日本大震災 被災地を取材(2)
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■千葉県旭市(3月19日)
―千葉県旭市では、沿岸を津波が襲った。気象台によると最大の津波が到達したのは地震から2時間半後の午後5時過ぎ。この間に家の様子を見に行った人も含めて12人が亡くなった。
●津波で家が全壊した女性の話
――当日はどのように避難したのですか?
「小学校へ歩いていった」
――避難命令が出たのですか?
「出た」
――その時家では何をしていたのですか?
「2時半ごろだよね。(胸のあたりに手を添えて)ここまで水が来た。(津波で家が)潰れちゃったから」
――その時は津波が家まで来て…
「わしらは小学校へ逃げちゃったから、(潰れたところは)見てない。もう涙が出っ放しだよ」
――(女性は夫と2人暮らし)お父さんは大丈夫でした?
「大丈夫でした。年寄りは避難させて、若い人らが2人死んじゃったって。波の力っておっかねえな」
●渡辺訓光さん(61)(写真)
地域の区長さん。津波警報が出て、地域の人に声をかけた。
「(津波警報が出て)年寄り連れて避難した。とにかく危ないから年寄りだけは学校へ避難させようと思って、周りの年寄り連れて一緒に小学校まで。こっから100メートルくらいな、そこまでとにかく連れてこうと思った」
「あんな大きい津波はないよ。まさかこれだけの堤防越えてくると思わなかった。だからみんな飲まれたりした。ちょっとみんな、津波をバカにしていて、安心しきっていたところがあったからね」
――食事は足りていますか?
「足りてますよ。宮城や岩手、青森のことを考えたら、3食食べられて毛布もあるし、寒いったってそれはそれで済んでるしね。そこを考えたらね。(東北の人たちは)1日1食とかで暗いところにいるんだし」
□少しでも報道してほしい
「向こう(東北の地震)がなかったらこっちの被害も新聞1面に載るくらいの事故なんだけどね。向こうがあまりにもね。ただちょこっとでもね、少しでもいいからこっちの被害をもう少しね(報道してくれたら)。全然知らない人もいるしね」
□地域の人に声をかけた
「町内の区長ですから、誰かいないと思ったら声をかけて、○○の家は大丈夫か、◎◎は来てるか、とかね。それはやりますよ」
□逃げ遅れた人も
「避難所に逃げ遅れて、気がついたときには波が来て。それで急いで2階に上がって、2階で1晩過ごした後に救助された人もいる。姿が見えないからって探したらまだ家にいて、2階から声かけて、消防の人に助けてもらってね」
このたび東北地方太平洋沖地震に関して、被害を受けられましたみなさまに心よりお見舞い申し上げます。また、震災によって亡くなられた方のご冥福をお祈りすると共に、一日も早く被災された方々が救出されることをお祈り申し上げます。
取材・撮影:渋井哲也
《NewsCafeコラム》