[第16回]被災者にも訪れる日常生活(後編)小学校4年生の茜ちゃん
社会
ニュース
震災のため、春休みに予定していたディズニーランド行きがなくなってしまった。
楽しみにしていただけに、ショックだった。
震災当日は、家族で高台に避難していたため無事だった。
しかし、家が流されてしまった。
「家がなくなっていくのを見た。山の上から見てたんだ。おばあちゃんの車も流されたんだ」
茜ちゃんが住んでいた相馬市磯部は、もはや何もない状態になっている。
田んぼには海水があり、まだなお、ひかない状況が続いている。
自衛隊や警察による行方不明者探しもまだ行われている。
4月18日、磯部小学校の始業式があった。
もともと104人だった児童数は67人に減っていた。
茜ちゃんも引き続き、同小学校へ通うことになっている。
地域はまだ住めない状態のため、避難所から通うことになるが、距離があるために、スクールバスで通うことになっている。
スクールバスで通う姿を写真に収めようとしたら、茜ちゃんが声をかけて来た。
そこには、ピンクのランドセルを背負いながら笑顔でいる茜ちゃんがいた。
家が浸水したり、流された当事者の気持ちを推し量ることは簡単ではない。
大切な思い出が詰まっていた家が突如として奪われるのだ。
いくら自然の猛威だとしても、それは理不尽であることには違いない。
上を向いて歩けない人たちが多い地域もある。
悲しみや喪失感、不安がある中でも、日常生活は続いて行く。そこに「希望」があることを願いながら。(終わり)
《NewsCafeコラム》