[第20回]震災のかげで活躍した障害者施設(前編)津波数日後、県庁から電話 | NewsCafe

[第20回]震災のかげで活躍した障害者施設(前編)津波数日後、県庁から電話

社会 ニュース
3月11日の東日本大震災以降、麻痺したネットワークもあれば、うまくネットワークが機能した部分もあった。

その中で、障害者施設が果たした一つの役割があった。



地震や津波が起きた数日後、社会福祉法人「にんじん舎の会」(福島県郡山市白岩町)に宮城県庁から電話があった。



「宮城県の重度心身障害者施設で、人工呼吸器を発電機で維持している。その燃料は軽油だが、なかなか入手できない。そちらでバイオディーゼル燃料(BDF)を作っているという話を聞いた。まわしてくれないか?」



障害者の共同作業所のネットワーク「きょうされん」を通じて、宮城県は「にんじん舎の会」がBDFを作っていることを知っていた。

「にんじん舎の会」がバイオ燃料を作り始めて3年目が経っていた。



ちなみに、BDFは宮城県塩竈市内でも作っている。

しかし、中心になっていた塩竈市団地水産加工業協同組合は津波の影響で機能していない状況に陥った。そのため、「にんじん舎」に注文が入って来た。

「にんじん舎」職員でもある、和田庄司さん(54)は「きょうされん」の福島支部長も務めている。

「にんじん舎」では「もったいないSプロジェクト」という事業をしており、食品残渣(生ゴミ)、食廃油(使い終わった天ぷら油)を集めている。

配合飼料を使わずに、食品残渣を飼料に転用もしている。

また、天ぷら油を回収して、軽油の代替燃料を作っている。



「当初は原発事故のため、障害のあるメンバーは休んでもらった。

しかし、職員たちは2週間、ひたすらBDFを作り続けた。

自分たちの仕事が、こういう状況の中で、自分たちの仕事が必要とされている実感を得て、がんばりきることができた。

世の中に求められていると感じた」



通常の場合、「にんじん舎」にあるディーゼル車4台で生産量の65%を消費する。

残りの35%は農家の利用で消費されていく。



「震災ですぐに燃料不足になり、ガソリン車で動けない状況だった。

職員のヘルパーも動けない。そのため、通常の2.5倍の生産量にして、BDFを作り続けた。

ディーゼル車4台はフル稼働でした。物を運んだり、支援物資を運んだ。

でも、まさか、人工呼吸器に使う想定はなかった」(続く)

《NewsCafeコラム》

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