「失電時代を生きる」と言う試練
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昨年と大きく違うのが電力不足に怯えながらの節電の夏と言う事であり、戦後初の「電気が減る=失電時代」を生きるということである。政府は東京電力・東北電力管内の大口需要化に対して電気事業法に基く電力使用制限令を発令し、ピーク時の最大使用電力を「家庭を含め15%~削減」としている。
中部電力・九州電力も政府の不手際で電力危機の連れ合いになり、大げさに言えば「日本全国失電時代」の連鎖である。企業では休日の振替え・始業時間の多様化・冷房温度の高め設定・照明の間引きなどの努力をしている。この為に街のネオンや街頭の自販機の明かりも消え、なんだか暗い街である。街では男性の"暑苦しいクールビズ"に比べて"女性人の涼やかなファッション"が目に付く。羨ましい限りである。
寝室にも扇風機…と慌てて家電量販店に行ったが、お目当ての国産の扇風機は売り切れで"輸入の扇風機・一人一台"の割り当てで我慢。報道によると「扇風機の5月の輸入台数は321万台と前年同月比60%増で過去最大」との事である。多くの国民が「節電に協力しなければ…」と言う事でがんばっている様は、まるで戦前の『欲しがりません・勝つまでは』を想起してしまう。
昔、TVのゴールデンタイムの人気時代劇で「明るい○○、ラジオ、TV何でも○○」のCMソングが流れていたが、まさに世の中を明るくする事・家事を電化商品に任せる事は日本人の夢であった。そのお陰で単身生活が快適になったのも事実。識者は「現在の日本は照明一つを取っても電気の過食症である」と言う。それがいまや"電気をつつしみ深く使うのがマナー"へと大きく変わったのである。
家事評論家は「こまめな節電対策より消費電力の大きいものの見直しが効く。10年経過した冷蔵庫やエアコンの買い替えが一番効果が出やすい」と言う。3台のエアコンと大型冷蔵庫を買い換えた人に聞くと「電気代は昨年夏の半分以下」との事である。
毎日のTVでの電力予報にも慣れてきたが、最近の政府と電力会社の言う事は嘘が多い、の伝で行くと本日の東京電力の供給電力なる表現は「本当か・何を言っているのか」といささか意味不明の脅迫的な予想とも聞こえる。
辞めない総理大臣が「原発のストレステストや埋蔵電力」と言い出したのも事態を悪化させ、まさに日本の電力問題は漂流中の感が深い。最近の家庭では「冬もエアコンで暖房」である。「夏だけ節電」は読みが甘いと思うのである。
[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》