絶対王者の"今"
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PRIDE消滅後は米国に主戦場を移すがその強さは変わらなかった。09年にはアフリクションで元UFC王者のアンドレイ・アルロフスキーを右フックでKO。PRIDE系ファイター達がUFCで苦戦するなかヒョードルだけは王者としての誇りを守り続けた。しかし、突如歯車が狂い始める。10年に行われたストライクフォースでのワンマッチでファブリシオ・ヴェウドゥムにまさかの1本負け。公式として残っている記録を見る限り総合格闘技では実に10年ぶりの敗戦だった。悪夢はそれだけでは終わらない。復活を喫したストライクフォースワールドグランプリ1回戦で今度はアントニオ・シウバにパウンドを浴びせられドクターストップ。絶対王者として君臨したかつての姿からは想像できない光景だった。
そして、7月30日に行われた元PRIDEウェルター級王者で現ストライクフォースライトヘビー級王者でもあるダン・ヘンダーソンとのワンマッチ。体重差からもヒョードル有利に思われた1戦だったが1R4分12秒にヘンダーソンのパンチの連打を浴びレフェリーが試合を止めた。まったく試合にならなかった訳ではない。1度は右の連打でヘンダーソンからダウンも奪った。しかし本来ならこの連打で確実に仕留めているのがヒョードルだ。試合後に進退を問われ「神のみぞ知ります」とコメントするのが精一杯だった。
偶然か必然かもう一人の絶対王者ヴァンダレイ・シウバは先日のUFC132で衝撃的なKO負けを喫した。どの世界でも世代交代は確実にあるもの。しかし、日本で王者として君臨し続けた彼らが米国でくすぶる姿をこれ以上見たくない。軽々しく「引退」という言葉を使うのは間違っているかもしれないが十分過ぎるほどファンを楽しませてくれた。どんな決断を下しても恥じることは全くない。これまで素晴らしいファイトを見せてくれたことに、ただただ感謝するだけだ。
《NewsCafeコラム》