「LCC」が日本の空を変える
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7月1日に就航したイースター航空は成田・ソウル往復が10000円(サーチャージ込み)──。
このLCC現象の背景には1県1空港を標榜して進めてきた地方空港からのJALやANAの撤退がある。この穴を埋めたのが、韓国、中国、マレーシャなどの東南アジア系のLCC。現在日本に就航するLCCは「9社21路線」だ。この1年で11路線増えており、今後も急増が予想されている。
世界的なLCCブームを受けてJALもANAも先行している海外LCCと手を組み"LCC子会社"を創立。年明けにもまず国内便でサービスを始める様だ。
このコラムを担当している「旅好きの女性編集者」にLCCの事を聞くと「格安を売り物とする航空会社・機材が古そうで怖くて乗る気がしない」との返事。まだまだ日本人には馴染みが薄く、誤解もある様なので「LCCとは何か」を整理してみよう。
LCCは規制緩和の産物
航空運賃は長い間IATAの統制化で、航空会社・各国政府の間で決められた事実上のカルテル料金体系を維持しており、乗客は割高な国際航空運賃を押し付けられていた。その後、機材の大型化に伴う供給過多が起こり「団体割引料金を口実とした割引販売」が日常化。HISもそうした団体割引料金でのチケット販売で成長した会社だ。その後"格安料金のチャーター専門航空会社"が誕生。その後世界的な規制緩和で格安航空専門会社の誕生に結びつく。
LCCはいかに運賃を合理的に安くするかを考えて設立された航空会社
今までの航空会社のやり方を踏襲するのではなく、とことん安くするための仕組みを追求している。デパート全盛時代に価格を武器に成長した「スーパー」と似ている。キーワードは"徹底した合理化"。機材は最新の1機種に絞り整備とメンテナンスと燃費を節約。古くなるとコストがかかるので、即座に新機材に入れ替える。パイロットも1機種だから訓練が楽だ。機内サービスは殆ど行わず、食べ物も原則は有料である。客室係も一人三役で、機内掃除まで行い、まるで熱海の格安旅館の合理化と同じで「お高く留まる良家の子女」ではなく「肉体労働者」という風情が特徴的だ。自動チェックインやチケットレスの会社もある。
難点は「座席が幾分窮屈・便の変更が難しい・他の航空会社との接続が考慮されていない・マイレージがつかない」
運用が最新の機種だから、特段「危ない」とは思われない。もしLCCの補償が心配なら個人で保険に入れば良い。筆者は"機内では熟睡"が癖であり、成田・ソウルなどはいつの間にか離陸・インチョン上空でお目覚め、なので、殆どのサービスはいらない。こんな客が近距離便には多いと思う。
JALもANAも、よほど頑張らないと「日本に乗り入れるLCCや子会社LCC」に客を奪われる事になりかねないと言えるだろう。
[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》