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脱原発と地域の復興の両立

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野田佳彦首相は12月16日、首相官邸で記者会見を開きました。東日本大震災に伴う東京電力・福島第1原発が「原子炉が冷温停止状態に達し、発電所の事故そのものは収束に至ったと判断をされる」と述べ、"冷温停止宣言"をしました。

ここでいう冷温停止状態の定義は、圧力容器底部の温度が100以下で、格納容器から放射性物質の放出を管理できるようになって大幅に抑制できる、という2点。これにより「ステップ2」が完了したというのです。つまり、原発周辺の警戒区域などではまだ課題は多い一方で、事故のあった原子炉は技術的に問題が解決した、という意味です。

これが本当であれば、「福島の再生なくして、日本の再生なし」と明言してきた野田首相にとっても、福島県民にとっても、ましてや日本国民、世界の人々にとっても安心材料となります。しかし、この首相会見でビデオニュースの神保哲生さんが、「(外に)出た燃料がどうなっているのか分からない状態でなぜ収束宣言をされるのか」と質問した際、野田首相は燃料棒については明確に答えませんでした。原子炉内の状態を確認したわけではないのです。

こうした状態での「冷温停止宣言」について、国内外から批判が相次いでいます。たとえば、福島民報は論説で「『ステップ2の年内完了』という日程を優先した対応になってはいないか。『事故収束』との政府見解が一人歩きし、安全対策や事故への関心を薄れさせる恐れはないのか」としています。福島民友も「今後は廃炉に向けた具体的な工程に移ることにしていますが、原子炉内の状況については、はっきりと分からず、県民の疑念と不安は解消されていない」と社説で書いています。

こうした野田総理の姿勢が国への信頼感を希薄化させ、より脱原発ムードを高めているのではないかとも思えます。

そんな中で、関西電力の筆頭株主である大阪市の橋下徹市長は19日、記者会見を開きました。ニコニコニュースの亀松太郎編集長は「脱原発依存について、どのような姿勢で望まれるのか」との質問しました。橋下市長は、脱原発に向けた関電の株主提案権行使について、「6月の株主総会に向けてやる」と強い姿勢を示しました。「関電と対立するのではなく、原発は株主にとって大変なリスク。毀損しないためにどうするのか。関西府県民の暮らしを守るためには、今の原発体制を見直さなければならない」と述べたのです。

しかし、地元の「選挙」では、原発容認派が当選する傾向もいまだにあります。9月の山口県上関町の町長選挙では、原発建設計画推進派の現職候補が3選。10月の海道岩内町の町長選挙では、泊原発の再稼働問題が争点になり、容認派の現職候補が3選しました。11月の選挙では、福島県の大熊、双葉の両町の町議選では、東電の社員が当選しています。

これは脱原発が容易ではないことを示しています。原発はいわゆる「迷惑施設でありながらも、町おこし、村おこしの起爆剤ともなっています。財政も豊かになり、立地市町村の人口は増えます。雇用も増えます。若い人達を中心に、都市部に人口が流出していく地域に原発が立地される傾向があります。原発の問題は、エネルギー問題だけでなく、都市と地方の関係、労働問題、町づくりといった問題が複数絡んでいる問題なのです。

脱原発の世論が高まりつつある中で、エネルギー問題としての原発のみが話題の中心になっているように思えます。ぜひ、原発立地地域の町づくり、雇用情勢をどう克服していくのかも含めて脱原発を考えてほしいと感じています。

[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]

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