「人口減時代」の到来
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成人式の日は朝から新成人の女性のきらびやかな和服姿が目に付き、打ち合わせで行った都心のホテルのコーヒーハウスも華やかである。
「成人式は女性の門出」と言う感じがする。最近では、着付け・メークアップ付き記念撮影パックを売り出した写真館がにぎわっているという話も聞く。インタビューで多くの新成人が「世の中の役に立つ人になりたい」と言うのを聞くとホッとし時代の変化を感じる。
新成人になった皆さんには心からおめでとう…であるが、その言葉に続いて「頑張って・これからの日本をよろしく」と付け足さざるを得ないのが現状だ。1000兆円に迫る国と自治体の借金・若年層にしわ寄せされる雇用の悪化・国内産業の空洞化…今年の新成人の先行きには困難が予感される。
ギリシャ時代から「前の時代は良かった・我々の時代は…」が若者のなげきであったが、今はそれが現実の様な気分になる。日本を含む先進国では"ドリーム"はすでに死語化しつつあり、アメリカやイギリスでは若者の反乱が起っている。
日本の若者が怒らないのは、世界の不思議といわれている。民主主義の原則は「意見を言う・多数を占める」ことにある。権利を声高に主張する高齢者に対して、意見を言わず寡黙な若者では日本の高齢者シフトは益々進むと案じられるのだ。
総務省が年末に発表した人口推計では『2012年1月1日現在での新成人は122万人・前年より2万人減・5年連続で過去最少・1970年のピーク246万人に比べると半数以下・男性が62万人・女性が60万人』とのこと。また別の統計では2011年の日本の人口減は20万人超で5年連続で死亡数が出生数を上回っていたことが明らかとなった。
いよいよ、日本の基礎体力である人口数も衰退モードに入ったのである。東日本大震災を契機に、絆結婚&出産が増えたとの明るいニュースも報じられていたが、データで見ると2011年の婚姻件数は67万組・前年比3万組減と戦後最少となる見通しとの事だ。出産数は推定で105万人強。20年後の新成人は今年の新成人より20万人位減ることになる。
まさに、連続する人口減時代の幕開け。人口の推移を考えると「益々若者にしわ寄せが行く」のではないかと心配になる。若者の将来を応援できない現代社会を一刻もはやく正せねばならない、と強く感じた。
[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》