裁判員制度と法務大臣の義務
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一方裁判員が下した死刑判決の確定や、裁判官だけの第二審(高裁)で裁判員裁判の結果が否定される事態もある。裁判員制度の経年とともに裁判員が、死刑という重大な判断を迫られたり、必死の思いで下した死刑判決が簡単に上級審で覆ると言う裁判ならば当然の事だ。
また複雑な事案ほど、裁判が長期化する傾向が顕著であり、首都圏での連続不審死事件では「100日裁判」が想定され「裁判員辞退者」が相次いだ。未だに多くの企業では、社員が裁判員を行う事への対応ルールが無いのが現状である。
識者は、この調子で行くと「重大事案の裁判員は時間の取れる暇人ばかり」と言うことになると危惧している。裁判員法には、必要があれば3年後に見直しを検討とされている。官僚用語辞典には"必要があれば…とは当分やら無い事"と書いてあるが、裁判員裁判が対象とする事件の選定基準や制度の運用の再考は早急に検討すべきテーマだと思う。さらに言うなら「法務大臣の職務の厳密化」である。
今回の内閣改造で更迭された法務大臣は『法務大臣は気楽な商売』という失言で辞任した法務大臣から数えて民主党政権で4代目。御託を並べて死刑執行を行わなかったので、昨年は19年ぶりに死刑執行がゼロの年であった。
死刑制度については賛否両論があるが、現在の日本は死刑制度を堅持」しており、国民の85%は"犯罪の最後の歯止めとしての死刑"を支持しているのが現状だ。
法は「死刑確定後半年以内の刑の執行」を定めており、法務大臣の命令が必要。だが、それは行政上規定された義務であり、時々の法務大臣が「自分の信念であれこれする類のものではない」のである。しかし130人余りの死刑確定者が滞留しているのが現実だ。
識者は、次のように述べる。死刑確定は「検察が勝訴した」と言うこと。このまま死刑執行が行われないなら死刑執行の権限を「法務大臣ではなく検事総長に」と言うのも一つの解決策であると。
これ以上、死刑執行の躊躇が続くならば、法務大臣の機能と権限への切込みが必要かもしれない…と感じている。
[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
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