2011年の自殺者~女性が増加~ | NewsCafe

2011年の自殺者~女性が増加~

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警察庁によると、2011年の自殺者は30,584人。年間自殺者は1998年以降14年連続で3万人を超えた。
性別では男性は20,919人(前年比、1,364人減)、女性は9,665人(同、258人増)。男性は減少した一方、女性は微増だった。ちなみに女性の自殺率はワーストに近くなっている。

警察庁は月別の自殺率を発表している。1月には年間の月別統計「23年の月別の自殺者数について」(1月13日集計)が発表された。その統計では都道府県別と、男女別が書き込まれている。自殺の動機・原因や職業別、より詳細な統計は3月ごろに発表される予定だ。

月別では5月が最多で3,371人。次いで6月の3,033人、最少は12月の2,077人。次いで、2月が2,150人だった。通年、年度末のため3月に自殺が多くなることが多いが、11年は東日本大震災の影響もあったためか、例年とは違った傾向が出た。

一方で、5月に多くなったのは、有名な芸能人の自殺のセンセーショナルな報道を指摘する意見や、東京電力・福島第一原発のメルトダウン報道があったことも誘発した可能性を指摘する声もある。

原発事故があった福島県では5月、68人が自殺で亡くなったが、前年同月は49人で、1.4倍増加している。しかし、年間525人で、前年の540人から減少した。ただし、警察庁のデータは「発生場所」であって、「居住地」ではない。「居住地」での発表はまだなため、原発がメルトダウンした影響と自殺、居住地との関係は、このデータでは明らかではない。

また岩手県では年間401人で、前年の467人を下回った。宮城県でも年間483人で、前年の620人を大きく下回った。5月の自殺者は岩手県では34人で、前年の35人よりも微減。宮城県では前年と同じ50人だった。一方、通年、自殺者が多いとされている3月でみると、岩手県は31人で前年の33人の微減。宮城県は33人で、前年は60人だったことから半分ほどに減った。福島県も41人で、前年の50人から大きく減少している。

一方、増加したのは東京都で3,102人。前年の2,953人から微増した。5月は331人で、前年の256人よりも増えている。3月は234人で、前年同月の257人から減少。ちなみに、東京都で前年より上回った月は2月(231←212人)、4月(264←249人)、6月(329←269人)、7月(304←251人)、9月(273←237人)、10月(239←236人)だった。

性別でみると、男性は4月(1869←1825人)、5月(2276←1989人)の2ヶ月が増えたが、女性は1月(724←715人)、4月(840←760人)、5月(1095←793人)、6月(963←868人)、7月(925←880人)、8月(847←812人)、9月(796←751人)と半分の月が増加している。

男性は2003年の自殺率40.1をピークに徐々に減少傾向。しかし、女性は1998年の15.3がピークで減少はしているものの、減少幅は男性ほど明確ではなく、増減を繰り返している。女性の自殺者では若年層に特徴が見られる。厚生労働省の人口動態統計によると、自殺が死亡原因一位というのは、2002年までは、「20~24歳」と「25~29歳」だった。しかし、2003年を過ぎると、20代に加えて、「15~19歳」と「30~34歳」も死亡原因一位が自殺となった。

もちろん、数字だけみれば、日本の自殺は男性の問題だ。性差を見ても、男女比は2:1になっている。しかし、女性の自殺、特に若年女性の自殺が増加傾向にあることも見逃せない。しかも、全体として減少傾向にあった2011年だったものの、女性の自殺は増えた。

経済社会総合研究所自殺分析斑の「平成23年5月の自殺者の動向(分析結果)」の補足資料によると、5月の全体増加数(472人)に対する女性の増加数(267人)の比率は56.6%だった。20代・30代の増加数(472人)に対する20代・30代の増加数(251人)は、53.1%。20代・30代女性の増加数(127人)の比率は27.0%だった。

5月の20代・30代女性の自殺の原因・動機については、最も増加したのは「健康問題」。なかでも最も多いのは「病気の悩み・影響(うつ病)」で、99人。前年同月比で30人増えた。他の要因を突出していることになる。

ちなみに、2011年の自殺率の男女差は約2.3倍。1990年の時は約1.6倍。93年に初めて、男女差が2倍を超える。自殺者が3万人を超えた98年は約2.4倍。年間自殺者が最も多かった2003年は約2.7倍とピークとなった。その後、女性の自殺率はそれほど変動がなく、男性は低下していくため、差は縮まる。女性の自殺率も増加傾向だが、男性の影に隠れて注目はされてきていない。

女性の自殺率が減少しないのは、女性に特化した自殺問題の語られ方、対策のとられ方をしていないからではないだろうか。これまで自殺問題といえば、中高年の男性をターゲットにした対策がとられて来た。借金問題をはじめとする経済問題へのアプローチがその一つだ。しかし、女性をターゲット、特に若年女性を中心に見たときに、その世代の生活の変化をいかに見極めるかが重要ではないかと考える。

[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]

《NewsCafeコラム》

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