「形のないものを売る」営業の心得
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4月には新入社員が入社し、新人研修のシーズンとなる。企業の研修担当者に聞くと「今年は営業マインドの研修に重点を」が多い様である。昨今の景気の厳しさを考えると、営業力の強化が大きなテーマである事は当然だ。一口で「営業力」と言うが、中々難しいテーマである。
一般的に形のある商品を売るのに比べて、形のない商品を売るのは難しいと言われている。その理由として、形のある商品は「見せることができる」が、形のない商品は「見せることができない」からである。
営業の初心者は、モノがあったほうが売りやすいと思うのは「何が売りたいのかすぐわかる」から。しかし、ある程度営業の経験がある人なら、形のない商品のほうが売りやすいのではないだろうか。それは形のある商品を買う場合、顧客は「売り物」のことを見るが、形のない商品を買う場合、顧客は「売る人」のことを見るからである。
形のある商品は、売り物次第であるが、形のない商品は、売る人次第であると言える。営業経験のある人にとっては「自分を売る」方が簡単なのである。
形のある商品では、人によって営業成績が何百倍も違うということはほとんどないが、形のない商品の場合、「人によって営業成績が何百倍も違う」という現象がよく起こる。人間は、「確信を持っている人に引きずられる」という傾向がある。
営業活動は、「顧客の不安」と「営業マンの自信」との綱引きである。顧客の不安が勝れば売れない。「営業マンの自信」が勝れば売れる。営業マンは、まず商品・サービスに自信を持つ必要があるといえるだろう。
私はよく、「形のない商品を、よく売ることが出来るね」と言われる。これは、私が「自分の提案が企業にとって有益である」ということを心の底から確信しているから売れるのである。
まず自分が扱っている商品の有益性を実感し自信を持つこと。
営業活動でこれほど大切なことはないと思う。漫然と営業活動をしているだけでは、自分が扱っている商品の有益性を実感し自信を持つことは出来ない。
"ジャパネットたかた"では、「この商品は、こういう人にとって、このように有益である」ということがハッキリと確信出来るまで、その商品を、「イジリ倒す」、そしてその使い勝手や有益性を実感してから臨むそうである。
口先だけのセールストークの研究や、仲間内でロープレなんかをやるよりも、徹底的に自社の商品の有益性を実感したほうが売れるようになるのだ。
「売上を伸ばすのに、どうしたらいいのか?」と悩んでいて、教育に期待しているなら、自社の商品やサービスの有益性を徹底的に実感させる事の方がはるかに大切と言う話である。
[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》