「鎮魂の一日」と地域エゴ | NewsCafe

「鎮魂の一日」と地域エゴ

社会 ニュース
東日本大震災の発生から1年が経った。都心に住む私はあの日、10時間かけて我が家に帰った。そんな記憶は徐々に薄れつつあるが、14時46分の揺れは今でも脳の根幹に記憶されている。

「鎮魂の一日」の報道を見ると、いまさらながら巨大地震とそれに伴う津波災害の無残さ、無慈悲さと、多くのものが一瞬で失われると言う世の無常を多くの人に思い出させたと感じる。

更に思い出すのは、混乱の極みにあった3月16日にテレビを通じて全国民に語りかけられた天皇陛下のメッセージだ。多くの国民を励ました後世に語り伝えられるべきメッセージであったと思うのである。11日の追悼式に病身をおして出席された天皇陛下・皇后陛下の姿は、多くの人が「日本の精神的な要」の存在を再確認したものと思えた。

多くのメディアが鎮魂の日に取り上げたのは「そのとき何が」「震災の後」、そして「復旧と復興の遅れ」への問題提起であった。

産経新聞が大学と共同で行なった「仙台市と岩手県宮古市田老地区の仮設入居者計200人にアンケート」では『被災地の復興が「全く進んでいない・緒についたばかり」と答えた人は8割を超えた。阪神大震災から約1年後にも、被災地の約600人に対して同様のアンケートを実施したが、「全く進んでいない・緒に就いたばかり」の回答は計49・9%、「3割がた復興した・半ばまで復興した」との回答も計38・9%あった。大きな違いである』と解説している。


「対応の遅れの原因が政府そのものにある」

こう感じた人は多いのではないだろうか。

巨大災害の対応に必要な「果断な決断・結果責任を負うと言う姿勢・衆知を集めると言う努力・全てをオープンで進め隠さない姿勢」と言う、基本的なことが今の政府には欠けていた。

震災のがれき処理と放射能汚染物の処理に関して、漸く「全国の自治体へのがれき受け入れの要請と被爆エリアでの処理」を明言したのは一歩前進であるが、極論すれば半年遅い。がれきや除染で出た物の処理がすすめば被災地の復旧は進むのであるが、強制力のない要請では難しいのが現実だ。

多くの自治体でのがれき受け入れの説明会を見ていると、口では絆と言いながら「一部の人たちの猛烈な発言で受け入れ拒否」の例が余りにも多いのが目に付く。がれきや放射能汚染物の処理に関しては「地元処理+全国への分散処理」を組み合わせる以外に物理的に処理は不可能。国民一人ひとりの心ある対応が求められる。

個人的には被災している福島の友人からの「何もしなくても良いから忘れないで」と言うメッセージの重さを大切にしたいと思う。

[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]

《NewsCafeコラム》

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