「占い」依存症
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日本は占い大国。携帯電話のサイトでは、占いは課金サイトの王者だ。
またテレビの朝7時台のニュースでも必ず「今日の運勢」なるコーナーがあり、これで今日の指針を得ている人も多いと思う。
筆者が愛読している夕刊紙にも「明日の運勢」があり、筆者もついつい「明日はついているからジャンボ宝くじを買うか」」などと思ってしまうから、おそるべし!占いコーナーだ。
日本に長くいるアメリカ人の友人は次のように話す。
「日本の占いは干支・星座・血液型に由来するものが多いように見える。干支で考えると毎日1000万人が同じ運勢にあるということになる。血液型では3000万人になる。良くそんな非科学的なことを信ずるものだ」
メディア上の「今日の運勢」は、その日の戒め・生活のトランキラィザーだから冗談で済ませられるが、街角の占い師や占いの館での相談や占い・インターネット上の占い型有料サイトでの相談になると冗談ではすまなくなるのである。
これらが不況や震災騒ぎで先が見えず、多くの人が不安を感じている時代の「悩み相談の窓口・占いは救いを求める人の駆け込み寺」になっているのだ。
周りを見回すと若い女性を中心に「恋愛や転職やこれからの進路をどうすればよいのか」の具体的なアドバイスや助言を占い師に求める人は意外なほど多い。
占い師の「どうすればよいのか」という問いへの答え・鑑定は占い師の経験談や確率論とは違って「未知の世界からの言葉」として相談者に受け取られ、信じられ易い。この積み重ねが占い依存症ともいうべき人を増加させているのだ。
この現象の裏には、身近かに、親身になって相談に乗ってくれる人のいない孤独状況があるのではないだろうか。会社でも地域でも、多くの人が孤立していると聞く。
国民生活センターは「年々占いや運命鑑定のトラブルの相談が増えている。全体の80%が女性・世代別では30才代が多い。料金に関するクレームや霊感商法的な内容に関するクレームも多い」という。
「都会の孤独・孤独に生きる事の不安が占いに走る」という現象を止める事は難しいと思う。
しかし「占いは魔法ではない」のである。
[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》