【第九回:編集後記~Newsスナック】男らしさって何だろう
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昔であれば狩りで巨大な獲物を仕留めるであるとか、盗賊などから女性や子供、財産を守るという場面があっただろう。それに成功することにより、「男の中の男だ」といった賞賛と尊敬を得ることができたに違いない。
しかし現代ではそうはいかない。
大概のことは男らしさを発揮する必要なく、社会制度と文明の力により解決される。便利な世の中になったのはよいが、やはり男として「男らしさ」をアピールする場面がないというのは寂しい。
現代に残された、数少ない男らしさアピールの場面として、キャンプやバーベキューなどにおいて、「火をおこす」が挙げられる。
もちろん女性が火をおこすこともあるだろうが、男女が混合で参加するキャンプ、バーベキューにおいては、火をおこすことは、もっぱら男の仕事とされている。
炭や薪が安定して燃え続ける状況までを速やかに、そして颯爽とやってのけることにより、女性から「すごい!」「頼りになるわね!」そして夢にまで見た「男らしいわ!」という賞賛を得ることができるのだ。
最近ではよい着火剤など火おこしのための便利なグッズがあったりする。しかし男らしさアピールするのであれば、そのようなグッズは使わないのが得策である。
うちわ一つで火をおこしてこそ、「男らしい」という称号が得られるのだ。
昨年の夏、実家の庭先にて家族でバーベキューをする機会があった。
妻に私の男らしい一面を知ってもらう、絶好のチャンスである。
思えばジャムの瓶の蓋を開けるぐらいしか妻の前で男らしさを見せたことがない。最近ではその役目すら結婚してから次第にたくましくなった妻が自分でやっている。
新聞紙を焚き付けに、私は果敢にもうちわ一本で炭に火をつけるべく格闘した。少し炭が湿気ていたので、なかなか手強い。妻も不安の中にも応援するような目で私を見てくれている。「頑張れ!」などと声もかけてくれる。妻よ…見ていてくれ。君の夫が男らしい男であることを思い出させてやる!
あと少し、あと少しで安定した火が炭につく…その時であった。
父親が家の中から庭先に扇風機を持ってきた。そして炭に強風をあて、一瞬にして炭に火をつけてしまった…。
現代において男らしさをアピールするのは大変に難しい。
[編集後記~Newsスナック/NewsCafe編集長 長江勝尚]
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