「高齢社会」と言う現実
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今までは、統計上の話で実感が無かったが、いよいよ社会現象としての高齢化が目立つ様になってきた。その顕著なものが高齢化社会の必須アイテムである"旅行"である。
平日の行楽地は60才以上とおぼしき夫婦や高齢者のグループで占拠されていてとてもにぎやかだ。過日、皇居の噴水が見えるレストランでランチ会があったが、場違いのわれわれグループを除くと全てが60才以上の女性客であった。平日の都心のレストランは中年以上の女性でもつことを実感。
そして足しげく乗る郊外の駅からニュータウン行きのタクシーの運転手さんの殆どは、年金を貰いながらの運転手さんである。話を聞くと「タクシーの台数増による過当競争で収入が減り、若い人はタクシーでは食ってゆけない。年金がある我々でないと無理」と言うことである。逆に言うと、年金だけでは無理だし働く意欲はあると言う元気な高齢者のお陰で需要と供給がつりあっているのだと思う。
そんな現象の中、政府は、65才以上が総人口の23.3%=過去最高を更新を内容とする「2012年版・高齢社会白書」を決定した。65歳以上の高齢者は、約3000万人(前年比50万人増)。総人口に占める割合は23.3%(前年比0.3ポイント増)となり、過去最高を更新した。
更にこのまま行くと、団塊の世代が65才になる2015年には高齢者は3395万人、2042年には3878万人のピークを迎え、2060年には人口減もあり高齢化率が39.9%に達し、2.5人に1人が65歳以上になる。2060年には当方は存在していないが、今年社会人になった若者は「まさにその渦中にいる」と言う事だ。
また一人暮らしの高齢者が、間もなく500万人と言うのは驚いた。
2009年で見ると高齢者の生活保護受給者は約69万人。昨今の景気や大震災を考えると高齢者の受給者は80万人を超えていると思う。ホームレスの30%は65才以上の高齢者である。60才以上の70%の人が「65才以上も働きたい」と希望しているが、65才~69才の就業率は30%強に留まっている。
労働力人口の減少が見込まれる中、日本の成長力を維持するには「高齢者が意欲と能力に応じ、労働市場や社会活動に参加できる社会の実現が必要」である。若者の就職も大切だが、高齢者の就業を促進しないと、日本の財政は破綻し消費税を25%にしないとならなくなるのではないだろうか。
「後世にツケを残さない」が消費税アップの殺し文句であるが、事はそれほど単純ではないのである。
[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》