鎮魂の一週間
社会
ニュース
あの日から67年が経つ。今や戦争を体験した人たちは少数派である。年々「広島・長崎の原爆の日」や「8月15日の終戦記念日」がセレモニー化してきているのは残念な事であると思う。
昔はこの日をテーマとした映画やTVドラマが良く作られたが、最近は「受けないテーマ」なのか取り上げられる事も少ない。だからこそ、8月15日の事実を確認する事は重要な事と思うのである。
昭和天皇の足跡をトレースしている識者は次のように語る。
1945年8月15日正午にNHKラジオは天皇の肉声により日本の全国民に「日本が戦争に負けた」というお知らせを流した。これが太平洋戦争の終結である。日本に無条件降伏を迫るポツダム宣言は7月26日に発表されたが。これに対して、政府はこれを「黙殺する」と声明した上で、ソ連に対して和平を斡旋してくれるよう依頼した。
「黙殺」は海外では「無視」と誤訳されて報道され「8月6日広島に原爆投下。斡旋を頼んだソ連は日ソ不可侵条約を破って9日参戦。
この日長崎にも原爆投下」となった。万策尽きた政府は昭和天皇の判断を仰ぐ。天皇は「ポツダム宣言受諾しかない・外相と同じ意見だ」と言い「このままでは日本という国がなくなってしまう。ここは忍び難を忍んで降伏するしかない」と補足した。この方針を連合国に通知。するとその返事が12日あったが「降伏の時より天皇および日本国政府の国家統治の権限は連合国最高司令官の制限の下に置かれるものとする」との条項を巡り再び紛糾。天皇は「私の考えはこの前と同じだ。これ以上の戦争継続は無理である。
この降伏によって日本が連合国に蹂躙されたとしても種子の一粒でも残れば再生は可能だ。しかし今のまま戦い続けたら日本は完全に抹消されてしまう。私がすべきことがあれば何でもする。国民に私が呼びかけるのがよければすすんでマイクの前に立とう。将兵には動揺があるだろうが必要なら自分が説得に当たる。詔を出す必要があるだろうから政府は早速起案して欲しい」。これで全ては決したのである。
その後の天皇のメッセージの録音・保管・反乱騒ぎ・放送…と言う「最も長い一日」はよく映画になる。「朕深く世界の大勢と帝国の現状に鑑み非常の措置を以て時局を収拾せむと欲し、故に忠良なる爾臣民に告ぐ。朕は帝国政府をして米英支蘇4国に対し其の共同宣言を受諾する旨通告せしめたり…」と言う天皇の肉声が流れたのである。日本は天智天皇の「白村江の戦い」以来の敗戦を経験したのである。しかし日本国民はこの終戦をバネにして日本を真の超大国へと成長させてきたのである。
日本の戦死・戦病死者数155万人、一般国民の死者数30万人。
多数の犠牲を出して終戦を迎え、国民の頑張りで今日の日本があるのである。改めて「日本のこれからのあり様」を考えたいものである。
[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》
