8月15日は終戦記念日 | NewsCafe

8月15日は終戦記念日

社会 ニュース
きょう8月15日は、終戦記念日です。1945年、日本が「ポツダム宣言」を受け入れて、第二次世界大戦が終わりました。67年前の出来事です。
私が産まれたのは69年です。戦後24年で、高度経済成長の初期のころでした。戦争の記憶はあるのでしょうが、
伝えられた意識はありません。

子どもの頃、私と戦争を結びつけたのはおもちゃです。なかでも戦車や戦艦のプラモデルは気に入っており、よくお小遣いで買ったものでした。
ドイツ軍のジオラマは迫力がありました。また、野球少年だった私は、夏の甲子園で同日の正午になると、黙祷を捧げるのをテレビで見ていました。

私の年代だと祖父母が戦争話を聞かせてくれるものです。しかし、私が産まれたときには祖父母は他界していました。しかも、祖父は学校職員だったために戦地には行っていません。そのため、私の家族には「語り部」がいませんでした。

ただ、私が那須に住んでいる理由が戦争と関係しています。

祖父は都内の学校職員をしていました。日中戦争の頃、満州開拓の話が出てきました。祖父は生物に詳しい人でしたので、開拓団のメンバーに誘われていました。
同じ理由で、那須開拓の話も出ていました。那須は明治期に開拓されましたが、昭和20年代にも開拓事業がありました。祖父は那須を選んだようです。

祖父についてはほとんど何も分からないのですが、約20年間勤務していた都立戸山高校の「戸山高校新聞」(1957年9月16日号)の「先生列伝」に載っていました。
それによると、「植物赤十字」を作りたい、との思いがあったようです。「人間同士の戦いのために多くの植物が傷付く。植物は口が無いから何も言わないが苦しいにちがいない」と言っていたとか。

その戸山高校(戦争当時、第四中学)が那須に疎開します。そのときに祖父は那須の四中農場に行くのです。理由としては、前に勤務していた長野県の更科の農学校の校長の薦めと、祖母の頼みだったと、「新聞」には書かれています。そういえば、母には「おばあちゃんが反対したから、満州ではなく那須だった」と聞かされたことあります。それと一致します。

ちなみに、那須農場にはグラウンドがあります。私は子どもの頃、このグラウンドを「よんちゅう」と呼んでいたのを覚えています。なぜそう呼ぶのかは知りませんでした。子どもの頃は、夏になると、どうしてこのグラウンドに東京の高校生がいるんだろう?と思っていたのです。あとから分かることですが、「よんちゅう」が「第四中学」のことで、夏になると、部活の合宿があったのです。

戦後24年。「お金をばらまいてもタクシーが止まらなかった」というバブル景気(86年12月~91年2月)からの同じ年月はあと3年です。
私の頃でさえ、第2次世界大戦のリアリティがなかったのですから、その後の世代が戦争のことをそれほど考えていないのも無理はありません。このままで行けば、バブル景気も現実感がない昔話になっていくことでしょう。

戦争の記憶は絶対的に薄らぎます。戦後50年になる1995年、私は当時記者をしていた新聞社の企画で、中国人や朝鮮人が長野県の木曽谷でダム建設に携わった話を書きました。中国人が日本に来て軍事工場などで働いていましたが、長野県は北海道についで2番目に多かったのです。その長野県で一番多かったのは木曽谷でした。この取材過程で、実際に働いた人の話を聞きたいと思い、調査団体とともに中国に渡ったことがありました。

そのうちの何人かは、調査団体が木曽谷に招待しました。その際、同行したのですが、やはり、地形などが変わっており、働いていた現場を見ても、かつてそこで働いていた中国人は「ここではない」と言っていました。調査していた地元教員が「ここに間違いない」と言っていたのですが、記憶が薄らぎ、また、当時の風景とは違っていたのでは、思い出せないのも仕方がありません。

記憶を語り継ぐことの難しい。それは、阪神大震災でも言えます。もう17年が経ちましたが、あの年に産まれた人はいまは高校生になっています。出来事があったことの記憶があるでしょうが、どのように伝え残して行くかは課題となっています。6年前から、親から子へうまく伝わらないと知った静岡県の人形劇団「わにこ」の丹羽ちえこさんが、地震や津波について紙芝居や人形劇で伝え始めています。

記憶を語り継ぐことは、次に同様な問題に直面したときに、最悪の事態にならないようにするためのヒントを学ぶことです。戦争や震、事件は、誰かが語り継ぐことが必要です。すべての人が思い続けることもできないでしょうが、少なくともそのメモリアルな日には思い出したいものです。

[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]

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