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具体的ないじめ救済策を

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滋賀県大津市のいじめ自殺などを受けて、ニコニコ生放送では「『いじめ』についての100万人アンケート」を行ないました。それによると、「いじめられたことがある」は57%で、そのうち、27%が「自殺を考えたことがある」と回答していました。このアンケートを受けて、ニコニコ生放送では、8月20日からいじめ連続特番を5夜連続で組んでいます。

アンケートの実施期間は8月5日から8日で、ニコニコ生放送の、1ユーザーアカウントにつき1回答を集計しています。参加したのは107万2014人でした。

それによると、「学校(幼稚園、保育園を含む)でいじめられた」のは57.2%、男女別で男性が54.1%であるのに対して、女性は60.5%。年代別では30代が最も多く65.1%でした。いじめは4層構造(いじめる側、いじめられる側、傍観者、はやし立てる側)が指摘されています。また、その構造は流動的で、いじめる側もいついじめられる側になるかわからない。いわば、ローテンションいじめも起きていることが言われています。

そのため、「いじめた経験」を問うと、「ある」と答えたのは15.9%ですが、「あとで振り返ってみると、被害者はいじめだと感じていたと思う」も26.7%います。合わせると、42.6%が「いじめた側」になったことがあるとのこと。このうち、いじめられた経験があるのは68.9%、約7割が両方を経験しています。いつ、いじめの構造が代わり、いじめる側といじめられる側が交代するのかが分からないといった現状もあるのです。

私も、ジャーナリストの井上トシユキさんの司会のもと、評論家の宇野常寛さん、また、電話出演の東京都副知事・猪瀬直樹さんとともに、ニコニコ生放送のいじめ連続特番第二夜の「100万人アンケートから見えた『いじめの処方箋』」に出演しました。宇野さんは日本的な文化構造が生み出すいじめという論を述べていました。私はこれまでの取材をふまえた意見も交えて、意見を言いました。

私がアンケート結果や番組出演をふまえて思ったのは、中長期視点で「いじめを生まない学校をどうつくるべきか」という点と、短期的に「どういじめの被害者を救済すべきか」はわけて議論する必要があると思いました。学校や教育、いじめといった問題は誰もが通る道のために、経験則で語られることが多くあります。また、絶対的な正しさのようなものを求めても、教員やクラス単位で正解が変わってしまいます。そのため、教育問題は議論すればするほど、抽象的になりやすいと思います。

中長期視点で語るのはいつでもできます。しかし、現にいじめの被害をうけている子どもをどのように救うのかは「今」しかできません。もちろん、猪瀬副知事が提示したように、いじめの相談ダイヤルを告知することも大切です。たとえば、東京都教育相談センターには「いじめ相談ホットライン」(03-5800-8288、24時間対応)があります。こうした窓口を知らせることも必要です。ただ、相談先があるということと、解決に導くことは別の話です。相談したとしても、すぐに解決するとも限りません。

そのために、短期的な救済の場が必要です。その一例がシェルターやフルースペースの活動です。本来、こうした場は公的な機関が用意すべきですが、予算や人員の配分が十分ではありません。そのため、民間団体に頼らざるを得ないのですが、そうした団体も活動資金や場所が確保されるのも難しいのです。私が取材をしていても、結局、誰がいじめを解決に導くのか、また、解決されるまでにどこに逃げていればいいのか、という具体策が不足しています。

いじめ自殺が最初に報道されたのは1979年です。もう30年以上も経っています。そろそろ、具体的な救済策があってもいいはずです。これまで何人の犠牲者を出して来たのでしょか。国や地方自治体は、いつまで「あり方」の議論ばかりしてはいけないのではないでしょうか。

[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]

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