なぜ貧困殺人が頻発するのか?(後編)
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■仕事は選ばなければいくらでもある。自分のしたい仕事がないから生活保護をもらうなんて、とんでもないことだ! 本当に苦しいなら、仕事を選ぶな! みんなやりたいことばかりやってる訳じゃないんだよ![40代男性]
■夫は、生活保護、児童手当をひとりで使います。バイクを他人名義で買ったり、何万もしても機種変を何度もしたり、毎月マッサージに行ったり、好きなラーメン屋さんで毎日ラーメンを食べたり、食材がない時でも煙草を毎日買いたいだけ買ったり、なので、区役所にずーっと話していますが、いつまでも夫に払われています。夫が変な使い方してるって言っても生活保護を切ってはくれません。ちなみに板橋区役所です。[20代女性]
そして、数多いコメントの中でも最も重みが感じられたのはやはり「生活保護を渇望したときに受けられなかった」という実体験談だ。いつどんな病や事故に見舞われるかは誰にもわからない…明日は我が身である。
■命にかかわる病気にもかかわらず「歩けるから」という理由で断られた長期治療中の友達がいます。貯金も治療費で底を尽き、難病申請も障害申請も通らず、うちに住んで治療費も負担しています。先月入院し、おととい手術しました。お金もなく気を遣う生活で、いつ自殺してもおかしくない状況です。頑張れば頑張るほど国は冷たい。[30代男性]
■私の母は何度お願いしても生保を受けられませんでした。さらには役所の担当者にバカにされ見下されました。恐怖で申請しに行けなくなった母は、病気の体をおして働き亡くなりました。姉は今病院に勤めています。なんでもないのに受診しにくる受給者。高価なアクセサリー、スマホにタバコ、ブランドの洋服とバッグ。すぐにクレームをつけ騒ぎ、我が物顔だそうです。殴りたくなる感情を抑えて働いています。私はその話を聞いて母の顔を思い出し、怒りと悲しみでいっぱいになりました。[20代女性]
■私も苦しんで二度自殺を考えた、妻は難病、義母は癌、なんとか生活していた会社もふたりの付き添いのため休みがちになりクビに。派遣にて現在底辺の生活しているが、義母亡くなり葬式も満足に出せないまま食べるものもあまりない。妻の看病に疲れ仕事にも疲れてきた、毎日涙が出てきて仕方がない。寝付かれず精神的にやられ死ぬことを考える日々多い。[40代男性]
今回で6回目となる「NewsCafeユーザーによる事件アナリシス」だが、過去5回のテーマと今回与えられたテーマには、非常に大きな隔たりがあった。殺害事件の理由を、加害者の心情以外に求めている点である。
特定の事件に焦点を絞らず"貧困"…つまりは生きづらいがために起こってしまった事件全般を対象にした考察だ。どこまで追い詰められての結果であるかは事件ごとに違うだろうが、結局のところ"最後のセーフティーネット"である生活保護制度についての論争になる。
制度の仕組み自体が悪い、不正受給をする人間が悪い、受給者を見定める役所の仕事が悪い、外国人に受給させるのがおかしい、ホームレス受給者から金をかすめ取る暴力団組員の存在…。過去最多のコメントが寄せられたが、どれもこれも一理あると思わされる内容だった。大雑把に過ぎるまとめだと言われるかもしれないが、すべての要素が絡み合い、渦を巻くように悪い方へと進んでいるように感じられた。
印象に残ったコメントも数多いが、なかでひとつだけ挙げるとすれば「こういうの見るたびに、何も払いたくないと思ってしまう。できるなら、直接困ってる人たちを助けたい」という声だ。この意見に「じゃあ直接助ければいい、できもしない偽善だ」と言う人もいるかもしれないが、筆者はそうは思わない。
今こうして働いている我々が、わずかばかりでも納めた税金が、どうせ"狡い人間"に渡ってしまうのだという虚脱感…。それは勤労の意欲さえ損なう。働く者のモチベーションを保つためにも、本当に困窮している人を救うためにも、制度の抜本的な見直しが必要なのではないだろうか。
[文・能井丸鴻]
《NewsCafeコラム》