被災者の医療費負担、軽減を!
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この現状を、今週の「週刊女性」でルポを執筆した。
もちろん、震災前の格差を反映する面もある。震災だけのせいではない。しかし、社会的弱者は、自立に向けたベースがなく、むしろマイナスだったりする。その意味では、被災者ではない社会的弱者よりもハンディがあると言える。
そのハンディを支えるひとつは、東日本大震災での被災者への国保加入者の一部負担金の免除がある。つまり、医療機関の窓口で支払う診察代が無料になる。その対象者は以下の通りだ。
1)住家の全半壊、全半焼、又はそれに準ずる者
2)主たる生計維持者が死亡、または重篤な傷病を負った者
3)主たる生計維持者が行方不明の者
4)主たる生計維持者が業務を廃止し、又は休止した者
5)主たる生計維持者が失職し、収入がない者
6)原発事故に伴い、警戒区域、計画的避難区域、緊急時避難準備区域の対象になっている者
7)特定避難勧奨地点に住んでいるため、避難している者
この処置は12年9月までは国費で全額をまかなった。その後、同年10月1日からは、県と被災市町が分担して2割を負担すると、国が残りの8割を補助する仕組みだ。
このうち、岩手県と福島県は、県が1割、被災市町が1割を負担してきた。福島県で現在も継続中なのは、旧警戒区域等をのぞけば、相馬市、南相馬市、新地町の3市町だ。岩手県では来年1月からも達増知事は継続する考えを県議会で表明した。沿岸の被災自治体からの要望もある。議会で反対の声がなければ、来年も医療費の減免が続く。
一方、宮城県は、被災市町の負担を考慮し、県が2割を負担してきた。しかし、財政上の負担が大きすぎるとして、13年3月末日で打ち切った。その背景には、対象者の人数が、岩手県と宮城県では規模が違いがある。
13年3月末現在で、国保加入者の一部負担金の減免対象者は、宮城県は約15万8000人。これに対して、岩手県では約2万4000人。宮城県の石巻市の対象者(約2万6000人)とほぼ同じだ。そのため、被災自治体での負担ができない。
国保加入者は低所得者が多い。窓口無料の措置が終わったことで、宮城県では、医療機関へ行くのを躊躇する人も出てているという。なかには精神科に行く費用を節約するために、自殺者も出たという。
国保は震災以前から財政が安定していない。そのため、一般会計からの繰り入れを一時的にすることもできる。被災地の一般会計は、見かけの上では、予算は10倍以上にもなっているが、復興予算のため、使途が決まっている。国保財政の安定化には使えない。かといって、国保税をあげることもできない。
宮城県では岩手、福島の被災県とともに、12年9月以前の、国が10割負担をするように要望している。また、被災市町は保険者として、加入者の所得が著しく低下したために、保険料収入が落ち、不安定な財政基盤への財政支援を訴えている。さらに宮城県では、これらができない場合でも、対象者を限定してでも、国が10割を負担するよう訴えている。
[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]
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