構図が見えて来た都知事選
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細川氏は小泉氏との会談後、立候補を決断した理由について記者団に聞かれて、「今の日本の様々な問題、特に原発の問題について、非常に私なりに、国の存亡に関わるという危機感を持っている」と話し、脱原発を主な争点にしたい考えを示しました。その一方で、都政の課題についてはまだ見えてこない面があります。民主党は推薦や支持はしないものの、民主党都連としてまとまった行動をすることになり「実質支援」となる見込みです。
細川氏の立候補にあたっては、小泉氏の支援が大きな話題になっています。「元総理連合」とも言われています。小泉氏が「脱原発」を言いだしてから、初めての選挙支援です。かつて、自身が総理のとき、郵政改革に反対する勢力はすべて抵抗勢力だ、としたフレーズがありました。単純化し、わかりやすくすることによって支持を得てきました。今回も小泉氏は会談後、記者団に対して「原発ゼロでも日本は発展できるというグループと、原発なくして日本は発展できないんだというグループとの争い」と単純化させました。
一方で舛添氏は、「脱原発」が争点になることを避けたいとの印象をうけます。14日の出馬会見で最初に発言したのは「史上最高の五輪にしたい」ということでした。2020年の東京五輪にきっかけに災害に負けない東京を作りたい考えを示しています。そして、「脱原発」か「原発推進」かの争いとした小泉氏の発言については、「圧倒的多数の国民は原発依存をやめようと思っているが、即時ゼロは無理という方が多い。みな同じ方向を向いている」などと、争点化を避けています。
元日弁連会長の宇都宮健児氏(67)の支援団体「希望のまち東京をつくる会」は、細川氏の出馬に関して13日、見解を発表しました。脱原発が争点となることは歓迎しながらも、「細川氏が脱原発を唱え始めたのは最近のことで、具体的な内容は不明」としています。また、脱原発で一致する宇都宮氏と細川氏が立つことは、推進派に有利になるのではないかという声もあるとしながらも、「福祉や雇用、まちづくり、教育、憲法と平和といった重要なテーマで細川氏の政策は現時点で明確ではない」としています。そして、細川氏にオープンな場での対話と討論を呼びかけました。
宇都宮氏を推薦する社民党の吉田忠智党首は15日の会見で脱原発候補が、細川氏と宇都宮氏の二人になったことに懸念を表明し、「話し合って一本化してほしい」と述べました。
元航空幕僚長の田母神俊雄氏は12日、秋葉原で街頭演説をしました。原発政策については都知事選の争点にはしないとしつつも、「日本の景気回復をさせるためには必要なもの」と、脱原発の陣営との違いをアピールしていました。14日にはブログで安倍政権との距離を示し、「安倍総理の進める『日本を取り戻す』ためには、石原元東京都知事の強い東京路線を受け継ぐことが必要と考えた」「政府と東京が同じ方向で努力することが、やがて日本再興、戦後レジームからの脱却につながっていっくと思っている」と書いています。安倍政権や石原慎太郎元都知事の距離に近いことを表明しました。
こうした状況の中で、一時は出馬はしない方向だったマック氏も出馬を考えているとの情報が入って来た。インディーズ候補の中では知名度は高い。サンケイスポーツの取材には「迷っている」と回答しています。しかし、フリーライターの畠山理仁さんがTwitterやFacebookで「【速報】マック赤坂氏、東京都知事選挙出馬へ」とつぶやくと、まとめサイトに掲載されました。前回のコラム「13年の参議院選挙に出馬した際、『5万票を下回ったらもう出ない』といい、約1万2000票だったことから、今後は選挙活動を行わないことを表明しています」と書きました。そのため、畠山さんのFacebookに「公約違反では?」と反応してしまいました。
東京新聞は都知事選の世論調査を実施しました。それによると、「次の都知事にふさわしいと思うのは誰か」と聞いたところ、半数は「決めていない」「わからない・無回答」でしたが、名前をあげた中では舛添氏がトップで、次いで細川氏、宇都宮氏が続いているようです。また、重視する政策としては「医療・福祉」、「教育・子育て」「原発・エネルギー政策」「雇用対策」の順だったといいます。私も有権者の一人ですが、まだ決めかねている人が多くいます。投票日までに、実のある政策論争を見てみたいと思います。私としては、従来から取材をしている領域から考えて、生きづらい社会からの脱却が出来そうな候補を探したいと思います。
[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]
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