加害者家族支援を考える | NewsCafe

加害者家族支援を考える

社会 ニュース
7月に起きた佐世保女子高生同級生殺害事件の加害者少女の父親が自宅で死亡しました。
首をつった状態だったため、自殺したと見られています。これを受けて、加害少女の弁護士が7日、佐世保市内で記者会見し、父親の死を少女に伝えたことを明らかにしました。
その上で、「成育環境を知る人を失い、事情の把握も困難になった。更生を考える上でも大きな痛手だ」と話しました。

事件は7月26日。少女が一人暮らしをしていた市内のマンションで、同級生を殺害。遺体をバラバラにしていました。頭と左手首が切断されていました。
逮捕後、少女は「人を殺して解体してみたかった」などと話していました。同級生とのトラブルがあったかどうかは不明ですが、少女は「誰でもよかった」と供述したそうです。

少女は佐世保市内の高級住宅街で育ちました。父親は早大出身で弁護士。県内でも有数の事務所でした。実母は東京大学を卒業。
子育てサークルを主宰し、県内で活躍する個人を紹介する本を出版していました。また04年の佐世保小6同級生殺害事件後に「いのちの教育」を掲げてきた市教委にもかかわっていました。
しかし、ガンを患い、亡くなっています。その後、実母の喪中に、婚活をし、再婚します。

この事件を起こす前にも問題行動を繰り返していました。小学校6年生のときには、給食に薬物を混入させる問題を起こしています。
中学時代には、実母を殺したいと思っていたようです。祖母が亡くなってからは猫を解体していました。事件の4ヶ月前に父親を金属バットで殴打し、負傷させています。
事件の数日前には継母に「人を殺したい」と打ち明けていたといいます。

もちろん、「人を殺したい」という気持ちを持つことと実行に移すことには大きな壁があります。
それを知り抜けた要因は、一人暮らしで両親の目が行き届かないという環境があったことと、学校や児童相談所との連携がうまくいっていなかったことが、外部的な要因としてはあるでしょう。
一方で、加害少女自身の、少なくとも犯行時の人格についても考える必要があります。

加害少女の人格形成と家庭環境がどのような影響があったのでしょうか。現在、精神鑑定をすすめていますが、最も多くの情報を持っていた父親が亡くなりました。
父親がどんな情報を持っていたとしても、情報を記憶し、解釈するのは少女自身です。少女自身が感じている「物語」が成立していれば、真相を知る上で問題はありません。
しかし、少女の口から出ない、あるいは忘れている情報の中にも、非言語のメッセージや深層心理を知ることができます。その意味では、父親の自殺はとても大きいと言えるでしょう。

なぜ父親は自殺してしまったのでしょうか。友人はTBSの取材に「なんで、お前逃げたんかという気持ちも強い。僕は本当に彼は一生償い続けて生きていくべきと思っていた」と語り、
「逃げた」という表現を使っています。たしかに「逃げた」のかもしれません。
加害者家族は、ときに、マスコミや世論、近所、親族から、加害者と同一視されて、社会的な排除の対象となってしまうことがあります。
その場合、逃げるしかないと思うほど、追いつめられていくことがあります。

犯罪被害者家族の場合、犯罪被害者等基本法があります。法務省や警察庁が専用のホームページを作っています。
検察庁が「被害者支援員」を配置していることや、被害者ホットラインという専用電話があること、裁判やその後の処遇についても知る制度、公判段階での被害者参加制度を紹介しています。
民間では犯罪被害者の会もあります。そして、被害者には支援が必要との社会的な合意もあるでしょう。
一方、犯罪加害者家族にはそうした支援制度はありません。どちらかといえば、なぜ、そんな風に育てたのか?という批判が強いことでしょう。
ある意味、仕方がない面がありますが、そうした批判にさらされてばかりでは、追いつめられる一方です。
そのため、加害者家族支援が必要になります。NPO法人「World Open Heart」(仙台市)はホットラインやメディア対応、転居相談、専門家の紹介などをしています。

秋葉原事件の加藤智大被告(最高裁に上告中)の弟も自殺しています。婚約相手がいましたが、彼女の両親に交際は反対されなかったものの、結婚は反対された。
そして彼女からも「一家そろって異常なんだよ、あんたの家族は」と言われます。両親は事件後に離婚。兄には手紙を50通以上書きましたが、返事はありませんでした。
恋人と別れ、家族もバラバラ。孤独感を増していったことでしょう。そこには何も支援はなかったのです。

加害者家族の支援についてのあり方を考えていく必要があるのではないでしょうか。

[ライター渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]

《NewsCafeコラム》

アクセスランキング

  1. 【オトナ星占い】4/25のかに座は7位

    【オトナ星占い】4/25のかに座は7位

  2. LinQ高木悠未、博多弁の意外な事実明かす「本当は使わないんです」

    LinQ高木悠未、博多弁の意外な事実明かす「本当は使わないんです」

  3. 篠崎愛、豊満バストにうっとり ハイレグ姿で美ボディ開放

    篠崎愛、豊満バストにうっとり ハイレグ姿で美ボディ開放

  4. 清瀬汐希、一糸まとわぬ姿も ラストグラビアで大胆美ボディ魅せ

    清瀬汐希、一糸まとわぬ姿も ラストグラビアで大胆美ボディ魅せ

  5. 【オトナ星占い】4/25のおうし座は9位

    【オトナ星占い】4/25のおうし座は9位

ランキングをもっと見る