着エロやJKビジネスのさらなる強制強化は可能か?
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要望書では、児童福祉法34条の「禁止」行為に、
『満15歳未満に満たない児童の半裸あるいは水着その他それに類する衣服を着用した姿を被写体とした写真、映像を撮影し、あるいは販売、頒布する行為及びこのような行為をさせ、又は勧誘する行為』
『児童を名目の如何を問わず、撮影、接客、散歩、マッサージ、添い寝、会話その他の性的好奇心に応じたものと認められるサービスを提供する業務に従事させ、又は勧誘する行為』
を追加することを求めている。
「着エロ」に関しては、前回の児童買春・ポルノ処罰法で、児童ポルノの定義が曖昧で対象が広すぎることが一部では批判の対象だったが以前の条文「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、性欲を興奮させ又は刺激するもの」に「殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり」が加わった。対象が限定され、明確になっていた。
しかしこれを後藤弁護士は評価しない。
「立法の主旨はわかるが、特に検察では、なかなか適用したがらない。法執行するときに、子どもの側に立ってほしい」
「ジュニアアイドルは低年齢の被害者が多い」というが、厳密に適用すれば、地下を含むアイドル業界のビジネスモデルは崩壊していく可能性がある。このあたりは、児童ポルノの定義を巡って、法制定時から表現の自由との兼ね合いの中で議論されてきている問題だ。何が禁止すべき「着エロ」なのかは広範囲に議論すべきだろう。
一方、JKビジネスに関しては同じ条文の中にある「児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的をもつて、これを自己の支配下に置く行為」を当てはめて摘発した例がある。
また警視庁は2013年4月からJKビジネスで働く18歳未満の少女を補導するようにした。そして15年1月からは高校や専修学校に在籍していれば18歳~19歳でも補導の対象となった。ただし、学校に通っていない18歳~19歳の少女は対象外。こうしや方法論は非行防止を目的にした補導の運用の問題なのだろう。
愛知県では、JKビジネスを禁止するために、青少年保護育成条例を改正した。水着や制服での接客(JKカフェ)、個室で異性の客への接触(JKリフレ)、水着や制服等を着用した人の姿態または着以内の下着を客が見ることができること(JKのぞき部屋)、異性の客に同伴させること(JK散歩)を店舗型有害役務営業として、それらの無店舗型の形式のものを禁止した。
後藤弁護士が言うように、規制強化の方法論として国の法律で一律に禁止するものと、地域の実情にあわせて各都道府県条例、各市町村条例で禁止していくものがある。たとえば、ブルセラやテレクラの規制は各都道府県条例によって定められた。一方、出会い系サイトや児童買春・児童ポルノは法律による規制だ。
「愛知県などの先進的な県は条例が作れる。地域の実情に応じて、というやり方もあるが、これは国がやるべき問題ではないか」(後藤弁護士)
児童福祉法の改正でJKビジネスの一掃をするのは一案だろう。しかし、そうすると、児童相談所の仕事が増えることになる。虐待対応が増えている中で、JKビジネスを「福祉問題」とするのなら、人材を増やすなど、予算措置が伴わなければならない。条文を改正したところで、児童相談所の現状を前提にすれば、十分なケアができない状況をさらに悪化させるのではないか。このあたりの議論も必要になるだろう。
[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中
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