山田裕貴、全人間力を注いだ“理想の自分”秘める役作り「君が心をくれたから」で体現したい想い語る<インタビュー前編>
芸能
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【写真】永野芽郁&山田裕貴、渋谷降臨で神対応
◆永野芽郁主演「君が心をくれたから」
今作は、主人公・逢原雨(永野芽郁)が、かつて心を通わせた男性のために自分の“心”を差し出す宿命を背負うことから始まる、“過酷な奇跡”が引き起こすファンタジーラブストーリー。山田は、雨が高校時代から想いを寄せる朝野太陽を演じる。
◆山田裕貴「君が心をくれたから」で伝えたい想い
― 同作の出演にあたり「ただのラブストーリーだったらオファーを受けていなかった」とお話していましたが、それは五感を失うという特別な設定があるからでしょうか?
山田:僕自身、去年頃から日常や自分の心をもっと大事にしなければならないと思い始めるようになりました。語弊を生んでしまうかもしれませんが、自分が仕事を続けていくにあたり要求されることが増えて、自分が自分でいられなくなる瞬間が多くなっているんです。もちろん全部がメディアで話していることが嘘というわけはないですが、求められることで“こうでいなきゃいけない”と縛られてしまい、みなさんが思う“理想の山田裕貴”ばかりが一人歩きしていて、僕はそれに合わせてお仕事をしている感覚なので、頑張れば頑張るほど無理が重なっていって「この流れだと自分はいなくなる」とどこか感じています。
きっと世の中には物事を表面的に見て判断してしまう人がすごく多くて、人の目によってどんどん自由が失われている気がします。表面的にものを言うのではなく、どういうことが大事なのか、本来人間が心健やかに生きるにはどうすればいいのか、ということを考えることが大切だと思います。相手のことを「こうだ」と決めつけるのではなく、「何かあるんじゃないか」「何か抱えているんじゃないか」と考える心を養える作品があってほしいと思います。以前出演したドラマ「ここは今から倫理です。」(NHK総合/2021年)は、「良い心を持った人が少しでも増えたらいいな」というお話で「自分がやりたいことはこういうことなんだろうな」と感じていました。この「君が心をくれたから」というドラマもそれができると信じています。
そして、これがラブストーリーとカテゴライズせず、僕は“心のドラマ”だと捉えながら演じています。自分の心をもう1回見直すことができる作品だと感じました。僕は太陽として、雨ちゃんをそばで見守る側ですが、こういう作品だったら今年34歳になろうと制服を着ようかなと思いました。
― 永野さんは、もし雨と同じ立場だったら、愛する人のために心を差し出すことは「難しいと思う」とお話しされていました。想像のお話になってしまいますが、山田さんはどのように考えられますか?
山田:大切な人がいれば、僕はすっと渡してしまうタイプだと思います。この世に未練も後悔も何もないので迷いなく差し出してしまうかもしれないです。
◆山田裕貴、永野芽郁とのセッションで生まれた“涙”
― 約1ヶ月間ほど長崎でロケが行われたとのことですが、撮影中の思い出や印象的なエピソードを教えてください。
山田:しっかりみっちり撮影していたので観光はできませんでしたが、撮影では朝日や夕日、雨が降っている空、晴れている空…とすごく細かな絵を狙ったシーンが多くてそのときに一緒に映る綺麗な長崎の景色が印象的でした。
芽郁ちゃんとは「こんなに入り込めるんだ」というぐらい、と台本に指示がなくても涙が溢れたシーンがいっぱいあるので、セッションしてみて「こういうシーンになったんだ」と驚くことが多いです。「ここ変だよね?」と一切違和感を覚えることがない台本がありながら、台本以上のものが生まれているので、すごく真摯に撮影に取り組めているんだと思います。それはもちろん長崎という地や景色がそうさせてくれる部分もあるだろうし、自然の中でセリフを交わしている2人の空気は、「役を生きている」と感じられて、僕はすごくありがたかったです。エキストラさんもシーンによっては800人ぐらい来てくださったり、ドローンもいっぱい飛ばしたりと大規模な撮影になって、いろいろな意味ですごいドラマだと感じています。
◆山田裕貴、太陽役は「僕の全人間力を注いで」
― 太陽を演じる上でどのようなことを考えられていますか?
山田:これから雨ちゃんがいろいろなものを失っていく中、太陽はそれに気づかないので、きっと「太陽気付けよ」と思いながら観る方もいると思います。でも太陽にはそれを言えないくらい、みんなから「絶対的に良い人」と思われるような存在であるべきだと考えています。「早く気付けよ」「こんな人に好きになられても…」と思われたら物語が終わってしまうので、僕の全人間力を注いで、どんな一瞬の表情も声色もたった1音も含めて嫌われないようにしないといけない。つまりお芝居というよりは、太陽は僕の人間力が試された役で、理想の自分に生まれ変わった存在なんです。太陽をただ明るい人間として演じるだけでも作品は成立しますが、すごく薄っぺらくなってしまうので、ちゃんと悲しい場面では悲しんだ顔をするけど、雨ちゃんの前では悲しくても笑っていることができるような感覚がないと成立しないと思っています。そして、雨ちゃんにも観ている方にも愛されるような人であるよう意識しています。ただ、それを表現するのが難しいんですよね。これから先、一つずつ五感を失っていく雨ちゃんを前に、僕はずっと笑顔で「大丈夫だよ」とそばにいるので、太陽として良い顔でいられるのか、今からものすごく心配ですし、いずれ僕のせいだと分かるとき、どういう顔でいるのかは、多分やってみないと分からないと思います。あまりにも苦しすぎてスタッフさんも毎回現場で「しんどいね」と言いながら雨ちゃんと太陽を見てくださっていて、一方の当人2人は気持ちが抑えきれずボロボロ泣いています。
― 現在パートが辛くて苦しい場面が多いからこそ、高校時代の回想がより刺さりますよね。
山田:特に高校時代のシーンは、「こんなに素敵な時間があったのに…」と観ている方に思ってもらえるよう完璧な思い出でないといけないので、ものすごいプレッシャーと、その言葉だけでは言い表せない気持ちがあります。
― 作品には甘酸っぱいシーンがたくさんありますが、ご自身で恥ずかしさや戸惑いを感じることはあるのでしょうか?
山田:それに関しては、僕は成長したと思います。少し前までだったら、「こんなこと言わないよ」と思っていたかもしれませんが、今は「それが太陽なんだろうな」と受け止めています。甘酸っぱいシーンも、20代の頃だったら「やりたくない」と言っていたかもしれませんが、この作品は“心のドラマ”だと考えているからこそやりました。逆に純粋なラブストーリーで2人が上手くいくまでの話だったら絶対にやっていなかったと思います。
★後編では、主題歌への想いや自身が役者を始める前から一途に考えていることについて語ってもらった。(modelpress編集部)
◆山田裕貴(やまだ・ゆうき)プロフィール
1990年9月18日生まれ、愛知県出身。2011年、テレビ朝日系「海賊戦隊ゴーカイジャー」で俳優デビュー。2022年、エランドール賞新人賞を受賞。主な出演作に「夜、鳥たちが啼く」(22)、「ブラックナイトパレード」(22)、「女神の教室~リーガル青春白書~」(23)、「ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と」(23)、「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-/-決戦-」(23)、「キングダム 運命の炎」(23)、「ゴジラ-1.0」(23)、「どうする家康」(23)など。「山田裕貴オールナイトニッポンX」ではパーソナリティを務める。
◆「君が心をくれたから」第2話あらすじ
逢原雨(永野芽郁)は、かつてただ一人心を通わせた男性・朝野太陽(山田裕貴)と高校時代以来の再会を果たす。しかし再会を喜んだのも束の間、太陽が事故に遭ってしまう。悲しみに暮れる雨の前に“あの世からの案内人”を名乗る男・日下(斎藤工)が現れ“奇跡”を提案する。それは「雨の五感を差し出す代わりに、太陽の命を助ける」というものだった。そして雨は、太陽のためにその“奇跡”を受け入れた。
最初に奪われる五感は味覚。日下は雨の味覚はあと14日ほどで失われてしまうと告げ、奇跡のことや案内人のことは口外してはならない、と忠告する。真実を話してもいいのは太陽だけだという。もう1人の案内人・千秋(松本若菜)は、1人で乗り越えられるほど五感を失うことは簡単ではないのだから、正直に話すべきだと雨に助言する。しかし雨は、真実を話せば太陽が自分を責めてしまう、と言って拒否する。
太陽を見舞った雨は、彼の妹・春陽(出口夏希)が差し入れで持ってきたマカロンをもらう。マカロンは高校時代に太陽がある“お菓子言葉”と共にくれた、想い出の味だった。
雨は、味覚を失う前に好きなものを食べようと食べ歩きに出かける。そんな折、週末に「長崎スイーツマルシェ」が開催されることを知る。そのゲストに招かれていたのは、かつて雨を「必要ない」と切り捨てたパティスリー『レーヴ』のパティシエ・田島守(ジャン・裕一)で…。
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《モデルプレス》