【共通テスト2025】地理歴史・公民の分析…東進・河合塾・データネット・代ゼミ速報まとめ
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地理総合、地理探究
東進
ファブレス企業、ウェーバーの工業立地論、ラニーニャ現象などが題材となった。大問数は昨年より1つ増加して6問に。設問数・マーク数30は昨年と同じだが、分野順は大きく変わり、「地理総合」と共通の地域調査は第2問に。マーク数の6割(18問)を、組みあわせ式問題が占める。やや面倒な6択式問題は昨年から1つ減ったものの、昨年出題されなかった8択式は今回1問出題された。図版点数は31で、2021~2024年の共通テスト「地理B」時代と比べてかなり減少した。難易度は昨年並み。
河合塾
分量・形式は試作問題と同様で、大問6題、マーク数30。大問2題(食料の生産や消費、地域調査)は地理総合分野から、4題(自然環境と自然災害、エネルギーと産業、産業構造の変化と都市の変容、環インド洋地誌)は地理探究分野から出題された。自然災害でハザードマップ、人口分布、避難所の分布を重ねあわせた分析結果を判断させるなど、図表の判読に重きを置いた出題が多い。地誌問題では個別の地域の知識はあまり必要とせず、地域間の関係などが問われた。産業では、立地論に基づく問題のほか、新課程で重視されている国際理解に関して、国際分業、脱工業化と経済のグローバル化にともなう変化などが出題された。
データネット
第1問と第2問が「地理総合/歴史総合/公共」の『地理総合』との共通問題。複数の資料や初見の資料が用いられた設問が多く、設問の主題をとらえる力や、具体や理論をあてはめて論理的に考察する力が求められた。基礎的な知識に加え、自然現象のメカニズムや産業・貿易の背景を踏まえた考察を要求する設問もみられた。昨年の地理Bよりやや難化。
代々木ゼミナール
昨年までの「地理B」同様に、図表を利用した問題が多かったが、判断に迷う問題は多くなく、正確な知識があれば解答できると思われる。図表の読み取りが難しい問題も一部にみられるが、総合すると昨年と同様の難易度である。なお、既卒生の多くが「旧地理B」を受験するため、平均点自体は下がる可能性が高い。
歴史総合、日本史探究
東進
大問数は6、設問数は33と、2024年度の「日本史B」と比べると設問数が1問増加した。また、2022年公表の試作問題と比較すると、設問数は1問減少した。2025年度から第1問は歴史総合からの出題となり、世界史との総合問題となった。解答に必要な世界史の知識は多くなかったものの、一部の設問で、従来の日本史Bの教科書に掲載されている情報のみでは対応しにくい設問がみられた。2024年度、2023年度までは高校生による「探究」を想定した大問が6大問中5大問だったが、2025年度はすべての大問が「探究」を想定したものとなり、一般的な問題文がみられなかった。設問数が試作問題より1問少なかったとはいえ、史資料の読解を求める設問が多く、時間が不足したのではないかと思われる。難易度は昨年並み(日本史Bとの比較)。
河合塾
全6題中、すべての大問が高校生の探究活動を素材としており、会話形式が多用されるなど、高校生の主体的な学びを踏まえた場面設定がなされ、多様な資料を用いて多面的・多角的に歴史事象を考察させる出題がみられた。これらの点は、旧日本史Bを継承したものである。2022年に発表された試作問題(歴史総合、日本史探究)の歴史総合では、世界史の知識を必要とする設問はほとんどみられなかったが、本試験では世界史の入念な学習を前提とする設問が複数みられた。日本史探究では、旧日本史Bに比べて多くの文献資料が現代語訳されるようになったが、学習した知識を前提とする資料解釈を求める傾向は継続している。
データネット
第1問は「地理総合/歴史総合/公共」の『歴史総合』と共通問題であった。大問数は6で昨年の日本史Bから変更はなく、解答数は32個から33個に増加した。蒙古襲来絵詞などの馴染み深いものから、ミルクキャラメルの広告まで多彩な資料が扱われ、受験生に身近な視点から出題された。資料読解を通じ歴史事象のつながりを考えるものが散見される中、踏み込んだ知識や時期判断を要するものも一定量みられ、難易は昨年の日本史Bよりやや難化。
代々木ゼミナール
歴史総合が第1問で出題され、日本史探究では学習しない世界史的な知識が求められるものが多かった。日本史探究は第2問以降で出題され、史料や図表などの読み取り問題の比重は高く、知識問題でも思考をともなうものが出題された。難易度は、昨年の「日本史B」に比べてやや難化した。新科目である歴史総合では日本史探究で学習しない世界史的な知識を問う問題の出題が多く、日本史探究でも判断に迷う問題が散見された。それに加えて、思考力・判断力を測る出題傾向は続いており、時間配分には苦労しただろう。
歴史総合、世界史探究
東進
大問は5問、設問数は32問と昨年度から大問が1問増加した一方、設問数は1問減少した。出題形式に関しては、資料(地図、絵画、写真、史料、グラフ・表)の数は19と、2024年の23、2023年の21より減少したが、会話文による出題数は11と、2024年の4、2023年の9に比べて増加した。資料を読解しつつ知識をもとに考えないと解答にたどり着けない「思考力」を問う問題も昨年と同様に多く出題されている。全体として、時代、地域、分野ともにバランスのとれた出題であったが、リード文や資料をしっかりと読解しなければ解けない問題が大半を占めたため、試験時間内に余裕をもって解き終わることは難しかったと思われる。しかし、解答を導くために細かい知識が必要なわけではなく、あくまでも基本的な知識のみで解答できる。模試などを活用して共通テスト型の問題に慣れていたかどうかが、高得点へのカギとなっただろう。
河合塾
大問5題で、第1問が歴史総合、第2~5問が世界史探究であることは試作問題と同じだった。マーク数は32で、試作問題の33より少なく、ページ数が減少した。「歴史総合、世界史探究」の授業場面など生徒の主体的な探究をテーマとする問題が大半で、資料(史料文・図版・地図・表・グラフ)の読み取り問題がすべての大問で出題。歴史総合は、試作問題でみられた日本史のみの小問はなく、世界史の割合が高かった。また近代化からの出題が半分を占めた。世界史探究は、形式は試作問題に近いが、問われる内容は昨年までの世界史Bに近い。欧米史とアジア・アフリカ史の割合はほぼ同じで、前近代史の比率が高かった。
データネット
第1問は「地理総合/歴史総合/公共」の『歴史総合』第2問と共通問題であった。複数の歴史事象の共通点や相違点に着目しながら大問全体の主題について考察する力が求められた。SDGsやジェンダーなどの探究活動を意識したテーマがみられ、設問単位でも具体的な探究活動の場面において、判断を求める問題が増加した。多様な資料の読解と知識を組みあわせて考察させる問題が出題されたが、求められている知識は基本的なものが多く、昨年の世界史Bよりやや易化。
代々木ゼミナール
第1問は新たに導入された歴史総合からの出題となり、日本史を絡めた小問が多かった。そのほかの面ではあまり変化が見られず、大量の史資料を読解させるという従来の共通テストや2022試作問題の傾向が踏襲された。歴史学の手法に関する問題がやや多かった。難易度は昨年の世界史Bと比較して同程度。要求される知識水準は易しくなっているが、歴史総合の導入により日本史の要素が増加したことや、歴史学の手法に関する問いが増加したことの影響があると思われる。なお、既卒生の多くが旧世界史Bを受験するため、平均点自体は下がる可能性が高い。
公共、倫理
河合塾
公共分野2題、倫理分野4題で、大問構成も全体の小問数も2022年に発表された試作問題と同じ。思考力や判断力にウェイトが置かれている点も試作問題と同じである。新課程の教科書で登場した認知の心理学の分野から出題された。思想については各分野からバランスよく出題されており、教科書を丁寧に学習した受験生には取り組みやすい問題となっている。
データネット
「地理総合/歴史総合/公共」の『公共』と「公共、政治・経済」との共通問題であった。倫理では、新課程で新たに追加された認知に関する心理学分野からの出題もあった。思想と具体例を結びつける問題や論理的思考力が求められる問題も出題され、多様な資料を用いて考察する問題も多くみられた。難易は昨年の倫理並み。
代々木ゼミナール
公共分野は、他の公民科目と共通。倫理分野は源流思想と西洋近現代思想をまとめた大問があり、また認知心理学の独立した大問も設けられるなど、編成が変わった。20世紀以降の思想家の文章などが多く出題された。新課程の公共分野や認知心理学分野などで対策の難しい設問が見られたほか、出題意図が掴めないであろう設問、正解に確信がもてないであろう設問が目立った。難易度はやや難化。全体を通して読解も多く、60分で解ける量とは言い難かった。
公共、政治・経済
河合塾
試作問題と同様、公共分野が25点で大問2つ、政治・経済分野が75点で大問4つという構成。マーク数は32で、昨年の公民科目とほぼ同程度。公共分野と政治・経済分野の両方でデータ読み取り問題が複数出題されているが、複雑なものではない。そのほか、公共分野で政治や倫理思想の知識が試された。また、政治・経済分野では標準的な知識問題が目立った。
データネット
第1問・第2問は「地理総合/歴史総合/公共」の『公共』と「公共、倫理」との共通問題であった。全体として、資料を読み取り分析・考察する出題が目立った。時事的な現実社会の課題と知識を結び付けたり、解決に向けて構想したりする力が求められた。資料の単純な読み取り問題や4択の問題が増加し、難易は昨年の政治・経済より易化した。
代々木ゼミナール
公共分野は2022年の試作問題に近く、男女共同参画社会などテーマ型の第1問と哲学の小問が主体の第2問で構成。政治・経済分野の第3~6問は多くが両分野の融合問題だが、小問数では政治分野が少なく、経済分野が多数を占めた。また、新型コロナ禍を考慮した出題など、時事的な出題が多かったといえる。難易度はやや易化。前年の本試験「政治・経済」の平均点がセンター試験以降の最低だったのに比べると、ヒントになる各小問のメモ・会話文などが多用されているほか、「公共」2問題に知識を要しない図表読解問題が各1あるなど、若干易しくなった。ただし旧課程科目を受験する過年度生がいなくなるので、顕著な変化はないだろう。
地理総合/歴史総合/公共
東進
「公共」について、第1問では「男女共同参画社会」をテーマとして、問1で憲法を含む穴埋め、問2、問3で統計資料読解、問4で形式的平等と実質的平等について問われた。第2問は「ビジネス」をテーマとした経済分野中心の出題で、問1で文章読解、問2でクラウドファンディングを含む資金調達方法、問3で為替の計算問題、問4で金融政策が問われた。第3問は「裁判所の役割」をテーマとした政治分野中心の問題で、問1で簡単な計算を含む「一票の格差」、問2で違憲法令審査権、問3では裁判の種類、問4では冤罪について問われた。第4問は「公共空間の形成」をテーマとして、問1では倫理分野から現代思想のアーレントとハーバーマスが問われた。問2は統計資料の読み取り問題。問3は帰納法にあたるものを選ぶ読解問題。問4は概念と具体例を問う思考力・判断力の問題だった。第1問と第4問は「公共、倫理」、「公共、政治・経済」との共通問題である。
河合塾
「地理総合」では、食料問題、地域調査、日本の自然環境と防災、世界の生活文化の4題で、第1問、第2問は「地理総合,地理探究」との共通問題。地理総合の学習指導要領に沿った出題であり、地図や統計表などの読解と基本的知識に基づく判断力が問われている。
「歴史総合」は、第1問は「歴史総合、日本史探究」の第1問と、第2問は「歴史総合、世界史探究」の第1問との共通問題。資料(史料文・グラフなど)を多用するのは試作問題と同じ。日本史に比べて世界史からの出題、時代では近代化からの出題の割合が高かった。
「公共」では、「公共」という科目らしく、現代の社会問題を積極的に取り入れている。設問の多くは基本知識が問われており、おおむね教科書の学習で対応できる。思考力を問う問題は図表の読み取りが中心で、資料文などと具体例を結びつける設問もみられた。
データネット
「地理総合」の第1問と第2問は、「地理総合、地理探究」と共通問題であった。多彩な資料をもとに、地理的な考察力が求められた。第2問は生徒の仮説をもとにした探究活動の場面設定で出題された。初見資料の理解に時間を要する問題もみられたが、全体としては基本的な知識と、資料を丁寧に読み取ることで判断できる問題が中心で、難易は標準。
「歴史総合」では、第1問「歴史総合、日本史探究」、第2問は「歴史総合、世界史探究」との共通問題であった。多様な資料から情報を読み取り、知識と組みあわせることで判断する出題がみられた。また、探究的な学習場面で、主題について探究するための問いに適した学習活動を判断することや、資料の時期を推定する思考力が問われた。難易は標準。
「公共」の第1問・第4問は「公共、倫理」「公共、政治・経済」との共通問題であった。人権や司法などの分野、企業や為替などの分野から政治・経済に関する基本的な知識が幅広く問われた。公共空間の形成に関するハーバーマスやアーレントの思想に関する理解も問われた。多様な文章資料や統計を読解する力を問う出題がみられた。難易は標準。
代々木ゼミナール
「地理総合」では、地理総合の全分野について満遍なく学習することが求められた。図表の分析問題は、正確な知識があれば正解にたどり着きやすいため確実に解答したい。各小問とも学力が直接反映されやすく、工夫された良問が多かった。見慣れない図表も一部見られたが、教科書の知識をもとに考察すれば解答可能な問題が多く、2022年の試作問題と同程度の難易度。
「歴史総合」では、リード文に関連する歴史事項について、その年代や地理に関する理解が求められるとともに、提示された史料や図表をもとに知識に基づく思考力や判断力を問う問題もみられた。難易度は試作問題と同程度。史資料の出題は多いが、読取り一辺倒ではなく、歴史総合の確かな知識と理解が求められており、受験生の学習成果が試されただろう。
「公共」は、問題の形式の大きな変更はなし。教科書の知識を習得したうえで、2022年の試作問題を踏まえて思考力・判断力が問われる問題への対策をしてきたかどうかで差がつくだろう。
今後、塾・予備校や新聞社は1日目の試験科目について本日中に詳細な分析や解答速報を掲載するとしている。また、各予備校のWebサイト上では情報が追加修正されることもある。
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《木村 薫》