関西中学受験で最難関校・難関校の合格をめざすには…かしこい塾の使い方
子育て・教育
リセマム/教育・受験/小学生
中学受験専門個別指導SS-1と名門指導会による中学受験情報ポータルサイト「中学受験情報局かしこい塾の使い方」は、関西での中学受験を検討中の保護者に向けたオンラインセミナーをPeatixにて配信。同サイトの主任相談員である西村則康氏がインタビュアーとなり、「志望校の選択肢を広げるには? いつまでに何をすべき? 関西中学受験3年間のマイルストーン」をテーマに、関西担当の主任相談員である都関靖治氏に問いを投げかけていくスタイルで進められた。
セミナーでは最初に6年生受験直前期における理想の受験生像を掲げ、そこから6年生夏・5年生・4年生とさかのぼっていき、それぞれの時点での到達目標を見ていくことで、志望校の選択肢を広げるために、5年冬・4年冬に取り組むべきことや各時期に対策すべき3年間のマイルストーン、得点差がつけにくい関西受験ならではの必勝法などを把握できる内容となっている。
詳細なセミナーの内容を以下にレポートする。
6年生後半、中学受験生のありたい姿とは
このセミナーが配信されたのは2024年12月14日~2025年1月10日。関西の中学受験にのぞむ6年生にとっては本番である入試統一日まで残り1か月を切っている状況だ。この状況において「何をすれば合格基準点に近づけるのか」と問われた都関氏は、「今の受験直前期には単元学習を終えて最後の仕上げに入っている必要がある」と答える。
「最後の仕上げとは、テストでの点数の作り方に特化した学習のこと。この学習に過去問などの演習を通して取り組むうえで注意しておきたいのが、どんなことで点数を落としているかの分析です」(都関氏)。
知識的な部分で足りないものがあった場合は、その部分の弱点強化をする必要がある。しかし、多くの場合で点数を落とす原因はミスだと都関氏は続ける。
「そのミスをどんなタイミングで、どんな形で起こっているのかを把握し、対策していく。それと共に、時間配分などのテクニックを磨くことに、この時期は集中していってほしいですね」(都関氏)。
しかし、12月になっても単元学習や弱点対策ばかりやっていて、過去問演習に手が回らない受験生もたくさんいるという。そのようにならないために、6年生の夏が終わった段階であるべき状態とはどういうものだろうか。都関氏は「どの教科でも全単元のおさらいをひと通り終え、算数で言えば基本の公式や志望校の入試問題で求められるテクニックが、当たり前に使えるように仕上がっている状態が理想です」と話す。
「具体的には、規則性の問題だと気づいたら、数列を書き始められる。そういう行動ができれば問題を解いていけるので、問題を読んだらすぐに行動に落とし込めるようにしておくことが大事。それには『規則性なら数列』などキーワードで覚えていくこともひとつの手です」(都関氏)。
プロの手を借りるなら6年スタート時までに決断を
次に、最難関校・難関校を志望校とするには、6年生の夏前にどういった状態であることを求められているかに話は移った。6年生は「1学期までは問題の解き方をはじめ、いろいろな知識をインプットする時期。夏の講習以降は、定着させた知識を使って演習に取り組むことで解答力を高める時期にあたる」と西村氏。それを受けて、都関氏は「秋以降の理想とする中学受験生像につなげていくためには、6年生の1学期が終わった段階で問題を読んだ後に、できるだけ早く行動に移せる状態にしていくことが大事だ」と言及する。
続けて、塾のカリキュラム上で6年生のスタートとなる5年生の2月時点で、志望校レベルに対して偏差値が10ポイント足りない、もしくはクラス帯が1つ下の子がこれからの頑張りで合格まで到達することは可能かを問われた都関氏。一般的にはかなり厳しいと前置きしたうえで、子供の状況を分析し苦手を補うために勉強の仕方を変えていくことを家庭で考えて進めていけるのであれば見込みはあると述べる。
「苦手の分析をする、勉強の仕方を変えるための計画を立てて、管理する。これがご家庭でうまくできるかが鍵となります。お父さん・お母さんががんばって対応できているご家庭もありますが、難しいのが実際のところでしょう。その場合、プロの手に委ねることも手段のひとつ。6年が動き始めてしまうと、いろんなことをやってみるのは難しくなります。6年生に入る段階で、ご家庭でがんばる・プロにお任せするといった決断をきちんとすることが必要です」(都関氏)。
4・5年生では手を動かす習慣を早期に身に付けることが大事
次は5年生の1年間での学びについて。特に算数は、5年生での学びを定着させることが非常に重要だと言われている。では、定着を図るうえでどのようなことに注意して学習を進めて行けば良いのだろう。都関氏は「塾の内容を追いかけるあまり、難しいことまでやりすぎて結局何も身に付かなかったということが起こりがちだ」と指摘し、続ける。
「それを防ぐためには『この学年で学んでおかなくてはいけないことは何か』を保護者がしっかりと把握していることが大事。公式やテクニック、勉強の仕方もそうです。低学年であれば頭の中で処理が済んでいた問題も、5年生後半からは頭の中だけでは間に合わなくなり、手を動かさないといけなくなります。お子さんに必要な勉強を絞り込み、勉強スタイルを定着させることができれば、(問題が難しくなる5年生後半以降も)うまくいくのではないでしょうか」(都関氏)。
ただ、家庭だけで、必要な学習内容を把握する・求められる学習スタイルを定着させることは難しい。都関氏は「何らかの形で受験に携わっている人との相談の場所が必要だと思います。塾の先生に相談することでも解決する部分でもあるでしょうし、それで足りなければ(家庭教師や個別指導を利用して)セカンドオピニオンの機会をお作りになれば良いと思います」と話す。
ここまで6年生の受験直前期から6年生夏の終わり、6年生夏前、6年生スタート時、5年生と遡って、マイルストーンを確認してきた。最後は多くの子が通塾を開始する4年生だ。
4年生になると塾のカリキュラムがより受験に即した内容へと変わり、問題を解くうえで処理しなくてはいけないことが増える。そのため子供たちには、「ある程度まとまった時間を落ち着いて机に向かう」「暗記分野を積極的に覚えていく」「勉強のスタイルを変える」といったことが求められるようになるという。ここで言う勉強のスタイルとは、これまでも何度か話題に出た、「問題を解くときに手を動かして考えること」。
「手を動かす習慣を4年生から身に付けておくと最難関校・難関校に合格する可能性が非常に高まります。反対に、手を動かさないお子さんは4年生で塾のトップクラスにいたとしても、6年生では真ん中より下のクラスにいることが往々にしてあります。ですから、4年生の間に手を動かす習慣を身に付ける訓練をしておくことが大事です」(都関氏)。
関西中学受験で、社会は必要か?
4教科受験が主流の関東に対し、算国理の3教科受験も可能な学校が多い関西。特に男の子の場合、入試統一日午前の入試ではほとんどの学校で3教科受験ができる。その一方で、受験科目を3教科と4教科から選べる学校では、4教科受験の方が合格者は圧倒的に多い。となると、社会を取る方が有利なのではないかと考えがちだ。しかし、都関氏はその考えに疑問を呈す。
「社会は点を取れる子にとっては取りやすい科目。社会で点数を稼ぐ発想はやはりあります。ただ、苦手な子・嫌いな子に荷物を余分にもたせて頑張らせることに意味があるかは疑問です。社会については早い段階で、やるかやらないかの割り切りが重要です」(都関氏)。
特に最難関校の入試では、どの教科でも多くの演習を積まなくては対応できない問題がほとんどだ。社会が足を引っ張って、他の教科に影響が出るのは大きなマイナスとなる。「塾の先生とよく相談し、社会をする・しないの判断を適切な時期にしておくことが重要になってくる」と西村氏も言葉を重ねる。
手を動かし考える子に導くコツ
これまでのセミナー内容を振り返って、「(最難関校・難関校をめざせるかは)問題の取捨選択と伸びて行くために必要な学習スタイルを、いつの時点で身に付けることができるのかにかかっている」と西村氏。
伸びて行く学習スタイル=手を動かす学習スタイルが早期に身に付いた場合と、身に付かなかった場合で比べると、子供の伸びには当然大きな差ができてくる。ただ、学習スタイルを保護者の力のみで変えていくには困難もともなうだろう。多くの中学受験生たちの学習スタイルをより良いものに変えてきた都関氏は、具体的な手立てについて次のように説明する。
「ひとつは実際に指導の中でお子さんに手を動かしてもらう機会を作ること。そして、その手の動き方を見て『それで良いんだよ』『簡単に解けたね』と承認の機会を作ることが重要です。それと同時に、プロが直接見る時間以外の過ごし方にも注意が必要です。たとえば、塾の宿題を消化するにあたって、どのような形でやり遂げているか。ノートやプリントを確認し、やり方に注文をつけることもとても大事です」(都関氏)。
その言葉に西村氏もうなずき、「学習には、『何をやるのか』と『どのようにやるのか』という2つの重要な要素があります。『何をやるのか』は塾で指導してもらえる。しかし『どのようにやるのか』は家庭に任されていると感じます。その部分にしっかりと関わってあげると、お子さんは伸びていくんです」と述べた。
4・5年生が冬期講習前に気を付けておくこと
次に西村氏は都関氏に、4・5年生が冬期講習を受けるうえで気を付けておきたいことについてたずねた。都関氏は、冬期講習はどの塾でも、基本的にはそれまでの復習になっていることが多い点に言及。事前に「習った時点でできなかったこと」「今できないこと」の2つをきちんとピックアップしてのぞむことが大事だと話す。
「以前この問題が解けなかったから、冬期講習ではテキストのこの問題が解けるようにしようね、とそこまで落とし込んであげることができればすごく良いですね」(都関氏)。
また冬期講習では新出の難問に取り組むことは少なく、その分、子供たちの負担も少ない。ゆえに、「どのようにやるか」の部分を注意して取り組める良い機会だと続ける。
「ピックアップした問題をできるようにするのと同時に、講習期間中にキチッとここを書けるようになろうね、という目標をもてると良いと思います。講習をうまく使うには、事前にそれなりの準備が必要となってきます」(都関氏)。
セミナーの最後に都関氏は正しく読むことの大切さを伝えてくれた。
「正しく読めていなくて、問題を解けていないケースがとても多いんですね。これは高学年になって変われるものではないので、低学年からきちんと意識して勉強する必要があります」(都関氏)。
今回のオンラインセミナーには、灘中学校をはじめとする最難関校の合格に多くの子供たちを導いてきた都関氏ならではの具体的なエピソードや到達目標が盛り込まれていた。視聴した保護者たちは、これからの塾生活でどのような点に気を付けて過ごさないといけないか、がよくわかったのではないだろうか。「中学受験情報局かしこい塾の使い方」ではオンラインセミナーを定期的に開催している。興味がある方は、同サイトをチェックしてほしい。
《木村りこ》
この記事の写真
/