日本の気候変動、極端な大雨・猛暑増加…気象庁ら報告書公表
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この報告書は、気候変動対策の基盤情報として、文部科学省と気象庁が最新の観測結果や科学的知見を取りまとめたもの。環境省がおおむね5年ごとに作成する「気候変動影響評価報告書」などにも活用されている。
最新の観測結果によると、年平均気温は1898年~2024年の間に100年あたり1.40度上昇。東京など大都市の平均気温は、ヒートアイランド現象が加わることで全国平均を上回る割合で上昇した。2018年(平成30年)7月の猛暑、2023年(令和5年)7月の猛暑などの近年の猛暑事例のいくつかは、地球温暖化による気温の底上げがなければ起こり得なかった事象であったことが、イベント・アトリビューションによって示されている。
平均気温1度上昇というのは、過去から現在までの平均的な気温変化を示しており、日々の寒暖差などの変動が長期的に高温側に偏ることになる。そのため、地球温暖化による実際の日々・各地の気温はより高温の日や地域も出現する。こうした変化は極端現象の発生にも影響し、高温側への偏りは猛暑日や熱帯夜などが発生しやすくする。 また、地球温暖化の影響は気温だけにとどまらず、降水、海水温、海面水位などにも影響を与える。
極端な大雨の発生頻度も増加している。観測結果によると、1年でもっとも多くの雨が降った日の降水量(年最大日降水量)が増加傾向にある一方で、日降水量が1.0mm未満の日も増加。雨の降り方が極端になっていることがわかった。たとえば、2018年7月豪雨(平成30年(2018年)6月28日~7月8日)では、地球温暖化の影響により、瀬戸内地域における「50年に一回のレベル」の3日間降水量の発生確率がが約3.3倍となっていた。また、この約40年間における日本域の気温上昇により、西日本の期間積算降水量6.7%底上げされていた。
将来予測をみると、年平均気温は「2度上昇」と「4度上昇」のいずれのシナリオにおいても上昇すると予測。気温上昇の度合いは、2度上昇シナリオより4度上昇シナリオの方が大きく、同じシナリオでは、緯度が高いほど、また、夏よりも冬の方が、気温上昇の度合いは大きい。また、いずれのシナリオにおいても、多くの地域で猛暑日や熱帯夜の日数が増加し、冬日の日数が減少するという。
工業化以前の気候での「100年に一回の大雨(日降水量)」は、4度上昇時の気候では100年に約5.3回発生すると予測。一方で、4度上昇時の気候での「100年に一回の大雨」の日降水量は、工業化以前の気候での「100年に一回の大雨」の日降水量と比べて約32%増加すると予測された。
報告書「日本の気候変動2025」は、気象庁のWebサイトで公開。本編、詳細編のほか、概要版と解説動画が用意されている。
《川端珠紀》
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