「ポンツーン」という言葉をご存じでしょうか。私は知りませんでした。「水上に浮かべた箱状の浮体構造物」を呼ぶようで、「浮島」「浮き桟橋」に相当するようです。ケアンズの場合、沖合に広がるサンゴ礁の「真上に」この浮島が作られています。
先月(25年3月)、子どもの小学校卒業のタイミングで3家族で出かけたオーストラリア・ケアンズ。私にとっては2日目、ポンツーンへのツアーが今回のケアンズ滞在いちばん期待のアクティビティだったのですが……?
【ケアンズ3家族旅行記】#2
ポンツーンとはいったい何なのか…?「ケアンズまで行ってポンツーン寄らないのは大損!」
ケアンズ発、サンラバー社ポンツーン pic.twitter.com/mZaAqywtcb
— MihoIno (@InoichiMiho) March 30, 2025
ケアンズを含み、クイーンズランド州はブリスベン付近までの海側2000ほぼ全域が「グレートバリアリーフ」です。サンゴ礁ですね。船で1時間ほどの沖まで浅瀬が続き、さまざまなアクティビティが楽しめます。ポンツーンはそのメジャーな楽しみの1つです。
ケアンズから訪問できるポンツーンは3つ。いずれも船で1時間ほどの沖、リーフのいちばん外端の美しい部分に位置します。ケアンズといえば「グリーン島」がメジャーな観光地の一つで、パッケージツアーではグリーン島とキュランダ鉄道を1日で巡るものが人気だそうです。それもいいけれど、せっかくだから「モアリーフ」のポンツーンもぜひ行ってほしい。絶対幸せになるから。
なんだけども、今回ご一緒した皆様とアクティビティを決める際、どれだけポンツーンが素晴らしいかを説明しても、まったく伝えることができませんでした。
そりゃそうだよね、私も昨年11月の訪問時には「うきしま……とは……?」と思っていました。国内に同じものがないから想像できなかったのです。が、いちど行ったらもう虜、今回も帰路の船の中で「……美穂さん、私、ポンツーンがこんなに素晴らしいものだとは思ってなかった! 誘ってくださってありがとうございます!」と絶賛されたので、間違いありません。絶対みんな行ったほうがいい。
さて、今回お世話になったのは3つのうちのひとつ、モアリーフに位置するサンラバー社のポンツーン。決め手は3つのうち唯一ウォータースライダーがついていること! 子ども大喜びです。
朝8時すぎ、ケアンズの船ツアーが発着する「リーフフリートターミナル」に集合しました。チェックインは7時半スタートなので、すでに大勢のお客さんが。
なお、ターミナル横、シャングリラ前の駐車場に車を止める場合は、17時30分帰着と見て20ドル満額払っておいたほうが安心です。というのも、ケアンズのパーキングチケットはもし超過が見つかるとかなり高額の罰金を科せられるのだそう。パーキング用のアプリがあるのであらかじめインストールしておき、アプリ上で払ったほうが「もしもの時間超過」のときに追加もできてはらはら感がないと思います。
モアリーフに向けて、いよいよ乗船します!船は揺れに強い「双胴船」タイプ
モアリーフまで乗船するのはこちらの船。わくわくしながら乗り込みます。
船内はテーブル席とソファ席。無料のコーヒー・紅茶が飲めるカウンターもあります。上の階のほうが揺れを意識しないで済むかな。
子どもはちょっと緊張してます。サンゴ礁の内側とはいえ、船酔いを心配しているのですが、先に結論を言うと夏の雨の多い時期、1~3月は風がなく、揺れにくいのだそう。逆に晴れている冬の7~11月は風があり、揺れる場合もあるそうです。
サンラバー社のポンツーンまでは片道約90分。朝10時に出航して、60分ほどでいちど途中のフィッツロイ島に立ち寄ります。島が見えてきました。
桟橋の正面の建物はホテルなんですって。ワンアイランド・ワンリゾートですね。この島もまた、ウミガメのサンクチュアリがあったり、登山やカヤックができたりと、魅力たっぷり。ホテルは1泊1室2万円くらいからと案外お手頃なので、次回は3泊くらいの島滞在も狙いたいです。空港→直接ターミナル→そのまま船というルートですね。
ケアンズの海の特徴として、「雨が続くと海がエメラルドグリーンになる」という点が挙がるそう。というわけでこの日、前日までの雨の影響でフィッツロイ島のビーチはグリーンでした!
海路約90分、いよいよポンツーンに到着!みんなまだ「うきしま…?」と半信半疑ですが
フィッツロイ島からもう20分ほど走ると、いよいよ見えてきました、サンラバー社のポンツーンです。イメージしにくいと思いますが、船のようなサイズの桟橋が大海原にぽつんと浮かんでいます。この日は天気がいまひとつなので写真では海が鮮やかさに欠けますが、実際はこの時点で青く美しい海に息を飲んでいます。
後述のグラスボートからポンツーンを見たところ、中央が乗ってきた船です。ポンツーンと船は自由に行き来できますので、荷物は船上に置いてOK。基本的に盗難は心配ありませんが、コインロッカーもあるので貴重品も安心。船かポンツーン上の更衣室で水着に着替えますが、水着は下に着ていくといいでしょう。
基本的にポンツーンは、ダイビングやヘリコプターなど特殊アイテム以外はオールインクルーシブです。サンラバー社の場合も、お昼ご飯、シュノーケリングセット貸出し、グラスボート、半潜水艇がツアーに含まれています。確約はありませんが同社の船舶には日本語を話すスタッフが常務している確率が高いそうですし、下写真のアクティビティスケジュールボードのように日本語での船内案内も豊富です。今回は到着して、テーブル席を確保したらスケジュールを確認して、最初に服を着たままでグラスボートに乗船しました。
実は子どもたちは、親と一緒とはいえ、日本語の通じない英語圏に行くことに緊張していたようです。しかしケアンズは長い間日本人客を歓迎してくれてきた街ですので、日本語表示があちこちにあります。「特に観光すぽっとは、困っても探せば日本語があるから」と、戸惑わずリラックスできたと言っていました。また、私たちも街のあちこちに日本人のスタッフが存在していることがとっても心強かった。頑張って英語を話さなくていいの、すごくいいです。
美しすぎる!序の口、グラスボートだけでもクライマックス
サンラバー社ポンツーンのグラスボートと潜水艇 pic.twitter.com/CgOdQ8mVvY
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さて、ご一緒した牧野・松木ファミリーは先の夏に石垣島に旅行して、川平湾でグラスボートに乗船し、白化現象を目の当たりにしたばかりだったそう。「正直グラスボートって聞いて、なんでわざわざ?とナメてました。まさか、グレートバリアリーフがこんなに美しいなんて……」と下船時につぶやいたくらいに、このグラスボートが素晴らしく美しいのです。
え。これグラスボートで見ていいの???というレベル。美しくゆらゆらと揺れる一面の白いソフトコーラル、青い枝サンゴ、見え隠れする赤や青の魚。たまに底のほうをのんびり横切っていく大きな黒い魚、その脇をくるくるまわるホンソメワケベラ。行けども行けどもずっとハイライト、瞬きすら惜しいくらいです。それもそのはず、この海域にはソフトコーラル、ハードコーラル取り交ぜ、400種類以上が生息しているのだそう。
沖縄は残念ながら、水温上昇による白化に加えて、私たち観光客が近寄ればどうしても起きてしまう「踏み荒らし」の影響も受けていますよね。そうした影響を、ゼロではなくても、最小限に抑えることができているのがグレートバリアリーフなのだと思います。こうした環境問題にはさまざまな視点があり、何が正しいとは即断できませんが、聞くと見るではリアリティがまったく違います。いまのうちに子どもに「体感させておくべき」と感じるのは、この肌感です。
いよいよ私としてはメインのアクティビティ、シュノーケリングが始まります!
もうグラスボートだけで相当堪能、クライマックスがきたかのようでしたが、本日私にとってのメインはシュノーケリングです。これがケアンズの主目的と言ってもいい。その魅力を詰め込んで、一緒に行った牧野パパが動画を作ってくれました。
どのポンツーンもシュノーケリングはブイの内側からは出ずに楽しむルールになっています。クラゲ防止の黒い全身スーツ、ライフジャケット、シュノーケルマスクとフィンはすべて無料貸し出し。こんなウェアを着ます。
ポンツーン内はこんな感じ。学食みたい? いろんな国の人がワイワイしています。
上階はサンデッキ。西洋の人たちは日焼けが大好き、みんなビーチチェアでお昼寝しています。かつてはこのポンツーンにオーバーナイトで泊れる企画があったそうで、このデッキから見上げる星空がとても美しかったとか。
サンラバー社のポンツーンは本当にシュノーケリングスポットの真上にあります。ブイの内側を右手のほうからぐるっと一周するのがいちばん楽しめるのだそうです。
ダイバーの皆さんはダイビングもしたいかもしれないですが、浅瀬で浮いてサンゴを見るのが大好きな人ならばずっとシュノーケリングをしていてもよい。私も潜れなくはないがむしろシュノーケリングを選ぶ。そのくらい、とんでもなく美しいのです。
ウミガメ(ミドリガメ) pic.twitter.com/r2wjeMrcKy
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1つ目の動画にも入っているウミガメが出てくるシーン。牧野パパはGoPro装着でずっと動画を撮ってくれたのですが、もう全編どこを見てもクライマックスです。できれば1日5時間くらいはシュノーケリングしていたいくらい。
そして忘れちゃいけない、サンラバー社ならではのウォータースライダー。子どもは全員、着替えている最中から「ねえ、スライダー行っていい?」「もういい?」とうずうずしていました。背は伸びたけど中身はまだ子どもなんだなとほほえましい。
基本、ケアンズはどこももれなくキッズフレンドリーです。オーストラリアが、と言うべき、かつキッズに限らずヒューマンフレンドリーなのでしょう。他の国ならいるであろう「いやな感じの店員さん」がおらず、スーパーのレジスタッフのおばちゃんも「あらー、たくさん買ったのねー、私が詰めてあげるから待ってな!」と助けてくれます。コンビニでもお客さんと店員さんが最後にhave a lovely day!なんて挨拶をしています。
ポンツーンでもライフセイバーはじめいろんな人の目が子どもを見守ってくれています。もちろん無責任に目を離すのは世界のどこでも絶対NGですが、子どもが存在しているということに超ウォーム。遊んでいる子どものことも誰かしらが複数の目で見張ってくれている安心感があります。
疲れ果てるまで遊べる。お昼も美味しい!
そんな中、お昼タイムが始まりました。思いのほか本格的なビュッフェです。エビをメインに、サラダ、フルーツ。
こうして、泳いで食べて泳いで、あっという間に帰りの時間になりました。案内に応じてお客さんが船に集まります。子どもはもうクタクタで、船が走り出すやぐーぐー寝てしまいました。またフィッツロイ島に寄って日帰り客を乗せて、船は17時すぎにケアンズに帰着しました。
なお、メンバーのうち牧野パパは普段から乗り物酔いが酷く、今回も「私だけヘリで行こうかな……いやヘリも高くて怖いな……」と迷っていたのですが、レインボーシーズンと呼ばれるこの雨の時期は風がない分だけ波が静かだそうで、今回はまったく酔いませんでした。「普段から酔いやすくて船を避けてる人に、日本の冬~春のケアンズはオススメとお伝えしたい!」と熱弁。「私のように死活問題というほど酔う人たちは、船というだけで逃げたくなります。今回はかなりの覚悟で参加したのに全然大丈夫でした。双胴船だということもあると思いますが、もう幸福というレベルでした」。
さて、気になる料金ですが、今回の「モアリーフ1日ツアー」は大人1人295ドル、15歳までの子ども1人169ドル、4歳未満の子どもは無料です。サンラバー社はこのほか、オールインクルーシブの「フィッツロイ島ツアー」大人185ドル子ども126ドル、朝早くにポンツーンに着いてお昼にフィッツロイ島に移動する「モアリーフ&フィッツロイ島ツアー」などさまざまなプランを用意しています。アクティビティセレクト次第ではかなりお安く抑えることも可能。公式サイトは日本語表示も可能ですのでぜひチェックを。
ナイトマーケットに寄って帰りました。治安がいいって、本当に素晴らしい
この日はナイトマーケットを見たい!というリクエストで市街を散歩して帰りました。ナイトマーケット入り口にはフードコートがあります。ナイトマーケットから3軒右のケバブ店、Oasis Kebab & Pizzaが美味しいと教えてもらい、そこでご飯を食べてから行きました。
ケアンズ、ナイトマーケット。 pic.twitter.com/91LZw8TQTL
— MihoIno (@InoichiMiho) March 31, 2025
子どもはナイトマーケットでシールのインスタントタトゥーを入れてもらって大喜び。よく見ると右端の女子、サリーの右鎖骨あたりに転写されていて、日を追うごとに色が濃くなっていきます。
ナイトマーケットの反対側の入り口にあるマンゴースイーツ店、THE MANGO BARには日本のスタッフがいます。ここ、厳選された地元産のマンゴーを使っているのだそう。さすが南国だな!と感じます。個人的おすすめはスムージー!
このあと向かいのスーパー、ウールワースに寄って朝ごはんを買って帰ろうとしましたが、なんと前日のコールズに続いてここでも卵が品切れでした。due to egg shortageという札が出ています。いま鳥インフルのほか、洪水で橋が流れた影響で、卵を輸送できないのだそうです。でも、前日買ったベーコンがとんでもなく美味しくて、朝ごはんはベーコン炒めがはかどりました。
さて、続く3日目は一転して、山へ向かいます!
つづき(4月12日20時配信)>>>>「コアラ抱っこ」も「カンガルーにタッチ」も!『世界の車窓から』でおなじみ「キュランダ鉄道」でネイチャーツアーに出かけます【ケアンズ3家族旅行記】#3