世界中を巻き込んでの「トランプ関税」に、大混乱! トランプ大統領の発言を受けていちいち乱高下する株価には、ヒヤヒヤしっぱしです。
「新NISAで投資を始めたばかりなのに、すごいマイナス!」
「S&P500はやめて、オルカンにかえたほうがいい?」
と不安になっている方も多いのではないでしょうか。
2025年1月に亡くなられた経済アナリスト・森永卓郎さんは、最後の著書となった『日本人「総奴隷化」計画 アナタの財布を狙う「国家の野望」1985-2029』(徳間書店)の中で、トランプ関税による混乱を既に予測していました。
今回は森永さんが著書で語っていた「混乱後にやってくるもの」や、「生き残る方法」についてご紹介します。
※この記事は『日本人「総奴隷化」計画 アナタの財布を狙う「国家の野望」1985-2029』(徳間書店)から一部を抜粋・編集してお届けします。
「アメリカ1強」の時代が終わる。アメリカVSアンチの衝突が、もたらすものとは?
就任1年以内にアメリカファーストを掲げるトランプ政権により自由貿易は元より地球環境保護や核兵器の不拡散条約(NPT)も国益にかなわなければ、すぐにでも破棄してしまう。世界の警察と言われたアメリカ1強の時代は、トランプ在任中の2029年までに、いよいよ終焉します。
そうなれば、アメリカに不満を持つ陣営とアメリカの同盟国による衝突が起きるでしょう。すると様々な価値観が対立し、人種や国家を超えて百家争鳴の時代が来る。
その結末が世界戦争になるのか世界恐慌になるかはわかりませんが、はっきりしているのは「グローバル資本主義」の終焉です。グローバル資本主義が行き詰まり、ガラガラと音を立てて崩壊し、新しい経済社会が誕生するのではないかと期待しています。
やってくるのは、これまでの資本主義とは真逆の「隣人の原理」
どういうことかというと、グローバルとは真逆の「ローカルな経済社会」が世界の潮流になるのではないでしょうか。大都市一極集中から地方分散へ。そして中央集権から地方分権へ。イメージ的には、小さな集落がクラスターのように無数にできて、その中で経済循環が起きるような社会です。
こうしたローカルな経済社会への移行を主張していたのが、「インド建国の父」マハトマ・ガンジーです。彼はとかく、自由貿易や工業の近代化に反対したことで知られていますが、その卓越した先見性は今こそ高く評価されるべきです。
ガンジーは資本主義に対抗して、どうしたら世界から格差がなくなり皆が幸せに生きることができるのかと考えました。そこで体系化したのが「隣人の原理」でした。
これこそまさに、私がこれまで主張してきた「自産自消」「地産地消」「国産国消」の経済です。近所の人が作った食物を食べ、近所の人が作った服を着る。そして、近所の人が建てた家に住む。この小さな経済循環をいくつも作ることで格差は解消される。ガンジーはそう主張したのです。
「トカイナカ」生活こそが、これからの世界を生き残る唯一の方法!?
私が「一人社会実験」と称して実践したこと(※注釈:都心から2時間ほどの埼玉県所沢へ移住し、畑を耕しながら過ごした、ほぼ自給自足の生活)は、ガンジーの教えが単なる理想主義ではなく、日本人奴隷化計画から逃れ、グローバル資本主義崩壊後の社会で生き残る唯一の方法だと思っていましたから、私の経験を通じて、「隣人の原理」を世の中に知らしめたいという野望もありました。それが「トカイナカ」生活でした。
新型コロナウイルスという「100年に一度の危機」により始まった「トカイナカ生活」は手前味噌ですけど大成功に終わりました。
戦後一貫して食料自給率の低下が叫ばれる食糧安全保障についてもグローバル調達が崩壊し、隣人の原理への流れに一気に転換しないといけない時期が到来しつつあると考えています。
★【関連記事】では、「トランプ関税」の影響を受けた場合、日本があっという間に陥るであろう「食糧危機」についてほか、森永卓郎さんのお話をご紹介しています。
>>>【森永卓郎最期の「忠告」】「トランプ関税」が招く日本の「地獄」とは? なぜまた「コメ不足」?あなたを救うのは新NISAではないという事実
■BOOK:『日本人「総奴隷化」計画 アナタの財布を狙う「国家の野望」1985-2029』森永卓郎・著
■著者略歴:森永卓郎(もりなが・たくろう)
1957年東京都生まれ。経済アナリスト。獨協大学経済学部教授。東京大学経済学部卒業後、日本専売公社(現JT)、経済企画庁、UFJ総合研究所などを経て現職。テレビ・ラジオなどのコメンテーターとしても積極的に発信。常に庶民の目線で数々の経済書を執筆し、03年『年収300万円時代を生き抜く経済学』がベストセラーに。2023年11月、ステージ4のガン告知を受けたものの、以降も精力的に執筆。2025年1月28日逝去。著書に『ザイム真理教』『書いてはいけない』『がん闘病日記』『投資依存症』(いずれも三五館シンシャ)など多数。