こんにちは、ライターの岡本ハナです。
私の長女は、ADHDと強迫性障害を併せ持つ、いわゆる発達障害児ちゃん。
超ド級のマイペースで、自分の好きなことにはとことん突き詰めるタイプです。人に流されない姿勢は私もリスペクトしているのですが、その一方で、周囲から「空気が読めない」と思われてしまうこともあります。
今回は、そんな長女が家族の中で“空気を読まず”炸裂させた、ある日のちょっとした事件についてお話しします。
突然の流血騒動！そのとき長女が……
ある休日、子どもたちと一緒に参加したスポーツイベントでのこと。当時小学3年生だった長男は、自他ともに認めるスポーツ少年。運動神経が良く、障害物を飛び越えながら走る競技では、年上の子たちをおさえて一等賞を獲得しました。
初めての挑戦にもかかわらず、軽やかに駆け抜けるその姿があまりにかっこよく、親バカ全開で2回連続で参加させてしまったのですが……。疲労が出たのか、2回目の挑戦で足元がふらつき、顔から障害物に激突。
勢いよく走っていたため傷はぱっくり開き、眉間から血が止まらない大惨事に。和気あいあいとしていた会場の空気が一瞬で凍りつき、スタッフさんたちは真剣な表情で止血にあたってくれました。
痛みに耐えながら泣かずにじっと我慢していた長男。その隣で、なぜか目を輝かせている人物が――。
「えー、やば〜！ ぱっくりいってるじゃん！ ちょっと見せてみ？」
そう、どんなときでもマイペースな我が家の長女です。
「……うっせぇ」
このくらいでは動じない長男は、一言で一蹴。
でも長女は、空気を読まず、さらに傷を覗き込もうとするのでした。
混乱の病院で、長女が放った“空気読めない”爆弾発言とは
その後、私たちはタクシーで救急病院へ向かいました。その車内でも、長女は変わらず絶好調。
「血のニオイやば～。気持ち悪くなる～」
そう発言して、痛みと不安に耐えている長男の横で、いつものマイペースぶりを貫いていました。
■「縫うところ見たい！」まさかの発言に兄、激怒
病院に到着し、診察の結果、傷の深さからしっかりと縫合が必要だと判明。普段は我慢強い長男も「縫う」と聞いた瞬間には弱気になり、「ママ、手握ってて……」と私に助けを求めてきました。
そのすぐ隣で、テンション高めな長女はと言えば
「こんな機会めったにないじゃん♪ 縫うところ見たい！」
目を輝かせながら、興味津々でのぞき込もうとする長女に、ついに長男の怒りが爆発します。
「空気読めよ！ おまえ、あっち行けよ！！」
病室に響き渡る怒号。きょうだい喧嘩が勃発しかけたその時、場をおさめたのは、意外にも冷静な医師でした。
「まあまあ。僕が集中できなくなっちゃうから、お姉ちゃんは病室の外で待っててね」
長女は渋々退室。そのおかげで、無事に縫合処置は完了しました。
■そして最後に、まさかの“とどめの一言”
ホッとひと息……のはずが、ここで長女がまたしても爆弾発言。
「やっと終わったか～。もうこんな時間じゃん！ 長男のせいでご飯遅くなっちゃったんだけど～」
思わず固まる私。長男は静かに一言「……話す価値ナシ」と言い残し、完全にシャットアウトしてしまいました。
「マイペース」だけでは語れない長女の個性
きょうだい喧嘩は日常茶飯事とはいえ、まさか流血しているときにまでこの調子とは……。笑い話にしてしまいたくなる出来事ですが、「マイペースだから」で済ませてしまっていいのか、時折考えてしまう自分もいます。
発達障害のある子どもたちは、それぞれに「自分のペース」や「感じ方」を持っています。
その中でどこまでが“個性”で、どこからが“配慮が必要なこと”なのか――親である私も、まだまだ模索中です。
本編では、発達障害のある長女が巻き起こした“病院での一件”についてお伝えしました。
▶▶ 「もうそんなことしないよ〜」と笑う長女に、私はどう向き合えばいいのか？発達障害育児のリアル
では、事件のあとに見えてきた“娘の個性”と、“親としてどう支えるか”の模索についてお届けします。
