こんにちは、オトナサローネ編集部イノイチです。この3月に3家族でオーストラリアのケアンズに卒業旅行に行きました。3家族でワーワー行くという意外性もあり、手前みそですが記事はとっても好評でした。
この旅行でアクティビティ選定の相談に乗ってくれたのがケアンズ観光局のサムさん。あたかもオーストラリア人のようなお名前ですが、「もうかりまっかー」と登場するようなコテコテの関西弁男児、坂本さんです。
そのサムさんから「すいませんイノイチさん、ちょっとご相談があって……」とLINEがきたのは4月下旬のことだった。
世界最大の生命体?グレートバリアリーフが「ヒト」以外ではじめてノミネートされた!
「実はこのたび、ケアンズが誇るグレートバリアリーフが、国連の『生涯功労賞』(Lifetime Achievement Award)にノミネートされまして……」
と語り始めたサムさん。おお、なんだかよくわからんが、おめでとうございます!
ちなみにまで「グレートバリアリーフ」とは、全長2300を越え、宇宙からも見えると言われるオーストラリアの巨大サンゴ礁。日本列島の面積に匹敵する海域に600を越える島が点在し、600種を数えるサンゴ、1625種もの魚類が生息、世界遺産にも登録されています。
ですがその前に、その横文字がいまひとつ読めないLifetime Achievement Awardって何なんです? 以下「生涯功労賞」で失礼しますが。
「国連環境計画(UNEP)が運営する『地球大賞』(Champions of the Earth)の最高位の環境賞が『生涯功労賞』です。2005年の創設以来、地球規模の環境リーダーを毎年1名・1組表彰しています」
なるほど、世界遺産みたいな感じですかね?
「うーん、ちょっと違います。世界遺産は国がユネスコに推薦書を提出しますが、『生涯功労賞』は自薦でエントリーできるんです。で、UNEPの専門官がエントリーに対して定量・定性データをチェックし、『ふさわしい』と認められたものが春にノミネートされ、秋に賞が決まるんですよ」
でも、過去の受賞を見てみると、これってヒトに対する賞ですよね。
「そうなんです、通常はヒト、個人しかエントリーできないのですが、なんとこのたびグレートバリアリーフが『ふさわしい』と認められ、めでたくノミネートされまして」
ごめんちょっと意味がよくわからなかった。ヒトじゃないのにヒトの賞にノミネート?
「ケアンズ観光局は、世界に最も大きな影響を与えた『個人』とは、世界最大の『個体』であるグレートバリアリーフであると固く信じており」
「とんでもない賞にノミネートされたが、当のオーストラリア人がそのすごさに気づいていない」
そこ議論するところじゃない気がするので流しますが、とにかくグレートバリアリーフがとても大きな賞に、しかもヒトじゃないとノミネートされない賞にノミネートされたんですよね。地元はもうお祭り騒ぎみたいな感じですか?
「そこなんすよ、ご相談は。あんな、オージーってあんまりお祭りパリピって感じではないですよね、のんびりしてて」
どうかな、サムさんはお祭りが服着て歩いてるようなコテコテの関西人ですから、余計にそう思うだけだとは思いますが。
「いやそれは関係ない、そもそもグレートバリアリーフってあまりにもたくさん環境保全活動をしてさまざなま賞や認定をもらってるので、みんなもう慣れてしもてて」
えええ? だって、これ、違うとは言ってもインパクト的には世界遺産みたいな何かですよね?
「しかも定義に挑んでまでノミネートを勝ち取ったのですから余計すごいと思うんですが、『知ってるかいサム、グレートバリアリーフは宇宙から見ることができる唯一の地上の生命体なんだよ、ノミネートは当然だねHAHAHA』とか流されてしもて。いやおまえ宇宙から見たことないやろ」
まあ確かに、ケアンズってわざわざSDGsという言葉を使うまでもなく素でサステナになっている奇跡の街だなとは、この3月にお邪魔した際にも思いました。ごく普通に脱プラスチック省カーボンしてましたし、産学連携の保全研究も多数走っていて、環境保全活動はもう暮らしの一部という感じですよね。
「そうなんですよ、素のレベルが高いせいで、こんな素晴らしいことなのにHAHAHA当然だよねってスルーされちゃって。ぼくは観光局の人間やから盛り上げてもらいたいのに、ほんまに困ってんねん」
まあわからんでもないです。
「それでな、ケアンズの人たちってめっちゃ親日で、いまだとみんなシドニーのレストランより大阪万博の人気パビリオンのほうが詳しいくらいなんで、なんかもう日本の人たちからすごいですね!って声かけて、地元に気づかせてくれへんかなぁ??」
えええ?
「なんならもう1回きてくれてもいいんですよ」
いやごめんなさい、まとめて1週間休めるのは次は秋以降かな……
「ほなよろしくたのんます」
ええええ……
というわけで、世界でいちばん大きな生命は「グレートバリアリーフ」!オーストラリアの人に教えてあげて…
改めて、2025年4月22日、アースデイの日に、グレートバリアリーフが史上初の「非人間」候補として、UNEPの最⾼環境栄誉賞である『生涯功労賞』にノミネートされました。
同賞は過去にはサー・デイビッド・アッテンボロー(2021)なども受賞している、「数十年スケールで地球環境に不可欠な貢献を続けた人物・団体」を称えるものです。受賞対象は存命の個人に限られ、「個人」は明確な実体として定義されます。そこで今回は、ユネスコ(世界遺産)がグレートバリアリーフを「世界的に卓越した重要な存在」と定義した点を根拠に、グレートバリアリーフが応募資格を満たしていると主張したのだそう。
このノミネートは、グレートバリアリーフ海洋公園管理局のリーフ・ガーディアン協議会が主導。長年にわたりグレートバリアリーフと共に生き、働いてきた先住民コミュニティ、海洋科学者、学生、観光事業者など、地域社会と産業界が一体となって取り組んでいます。この関わるプレイヤーの幅の広さもインパクトを与えているとのこと。
私の手元のChatGPTは本件を「近年広がる『Rights of Nature(自然の権利)』の潮流と呼応し、『人新世の受賞者像』を再定義する象徴的ケースとなり得る」と評価しています。生命とは何かを考えるきっかけにもなりそうな、議論を巻き起こすノミネート、みなさんもぜひ応援してください! 「ケアンズ 応援」で検索するとXのアカウントが出てきます!
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