日常的に死と向き合う暮らし。江戸では“切腹は許され、心中は罪”だった理由とは? | NewsCafe

日常的に死と向き合う暮らし。江戸では“切腹は許され、心中は罪”だった理由とは?

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日常的に死と向き合う暮らし。江戸では“切腹は許され、心中は罪”だった理由とは?
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*TOP画像/知保の方(高梨臨) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」17話(5月4日放送)より(C)NHK

 

「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」ファンのみなさんが本作をより深く理解し、楽しめるように、40代50代働く女性の目線で毎話、作品の背景を深掘り解説していきます。今回は江戸時代における「自殺」について見ていきましょう。

江戸時代は自殺者が多かった

本放送では、知保の方(高梨臨)が毒をあおったという報告が意次(渡辺謙)のもとに届きました。第9話では、うつせみ(小野花梨)との足抜けに失敗した新之助(井之脇海)は刀を手にし、割腹自殺を試みていました。

現代においても自ら命を絶つ者は悲しいことに少なくないといわれていますが、江戸時代においても自殺者は多くいました。また、当時は武家社会であるため武士の意地、士道を貫き通すために自死を選んだ者もいます。

1700年代前半、自殺を禁ずる法律はなかったものの、心中(=愛し合う男女が納得の上で自死)は禁じられていました。一方だけが生き残った場合は残った者が殺人罪に問われ、両方生き残った場合は身分を落とされました。

幕府が心中の禁止令を出したのには深い事情があります。当時、心中伝屍病(しんじゅうでんしびょう)といわれるほど、心中が流行していたのです。近松門左衛門は『曾根崎心中』『心中重井筒』など心中をテーマにした作品をいくつも発表しています。しかし、人間は社会的に禁じられており、かつ厳罰を受けるリスクがあったとしても、愛する人と添い遂げることをあきらめられるものではないのでしょう。幕府は心中を禁じ、厳しく取り締まったものの、心中の件数は減らなかったようです。

また、時代は少し先ですが、1850年頃、人気歌舞伎役者・8代目市川団十郎が32歳の若さで自殺しました。確かな理由は分かっていません。ファンとの関係性に悩んだ説、借金説、精神的な病説などがあります。現代でも芸能人が自殺したニュースが報道されるたびに、人びとに衝撃を与えていますが、当時においても才能に恵まれ、多くのファンがいる有名人も自ら命を絶つことがあったのです。

江戸時代における死に対する考え方

江戸時代は、死は多くの人にとって現代よりも身近なものだったように思います。現代であれば、子どもが生まれてすぐ、その子について進学費用なども含めて長期的なスパンで考えます。我が子がランドセルを背負う前に、この世を去る可能性を考える親は少ないでしょう。

一方、江戸時代は幼児の死亡率が高かったため、多くの親は我が子が大人になれるという確信を、幼児期を過ぎるまでは抱けませんでした。乳幼児の死亡率が高かったため、江戸時代の平均寿命は30代半ばという説もありますが、幼児期をのりきった人に限ればもう少し長いといえそうです。ただし、数々の飢饉が起こったり、病気が流行ったりしたことを考慮する必要がありますし、現代よりも医療水準が低かった点も見落とせません。

また、江戸時代の人たちは死体を目にする機会が珍しくなかったようです。死体が人目に触れないよう配慮されなかった場合もあったため、刑場付近やその周辺を通りがかると、見かけることもありました。さらに、道を歩いていると、鳥が死体をついばむ様子を目にすることもあったようです。

江戸時代の人たちにとっても死は悲しいものでしたが、死を自然の摂理として受け入れていたところもあります。

本編では、江戸時代における“死”と“心中”をめぐる価値観を紐解きながら、死を選ばざるを得なかった人々の苦悩に触れました。

▶▶「唐丸、おかえり」“鬼の子”と呼ばれた少年が“歌麿”になるまでの家族再生物語

では、母からの呪いと絶望を背負った少年が、愛によって“生き直す”までの物語を追います。彼の名は、のちの「歌麿」。

参考資料

河合敦『逆転した日本史~聖徳太子、坂本龍馬、鎖国が教科書から消える~』扶桑社 2024年

氏家幹人『増補 大江戸死体考』平凡社 2016年


《OTONA SALONE》

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