梅雨シーズンです。雨の日の小さな所作には、その人の“心”がにじみ出ます。
憂鬱になりがちなこの季節こそ、さりげない心遣いで周囲を和ませる——。そんな“ふるまい美人”でありたいものですね。今回は「訪問する側」「お迎えする側」「公共の場」、この三つの場面で、育ちのいい人がするふるまいを（一社）日本プロトコール＆マナーズ協会松田玲子先生からご紹介していただきました。
【 気品を身につけるシンプルな教え／梅雨時のマナー編 113】
▶ 雨の日に訪問するときのマナー
＜その１．雨の日の「訪問時」にすべき心遣い＞
◆傘立てに入れるとき、きちんとベルトで止めないのはNG
雨の日こそ、人のふるまいに“にじみ出る”ものがあるように思います。訪問先の傘入れを利用する際、ベルトを留めずに無造作に置かれた傘が並ぶと、出し入れしづらくなり、残念な気持ちになったことはありませんか？ 傘立てを使う前に「ベルトを留める」心の余裕がほしいですね。たったそれだけで、後から使う人の気持ちも軽くなります。
◆激しい雨の時の靴について
近年、激しい雨の日を経験しますが、そのような時の道中には長靴が便利です。
そのまま訪問しても失礼ではありませんが、長靴のままで応接間までそのまま入るのは、少し気が引ける……という方もいらっしゃるはう。荷物になるかもしれませんが、履き替えの靴を持参し、訪問先の近くで履き替えるというのも手です。最近見かけたのは、「折りたたみレインブーツ」です。ひと工夫で、訪問の印象がスマートになり、好印象につながります。
▶雨の日のおしゃれルール
◆雨の日はおしゃれをあきらめる？ あきらめない？
着る服に悩んだら、ワークマン等で見かける撥水加工を兼ね備えた薄地のコートワンピースはいかがでしょうか。レインコートとワンピース兼用のものが人気です。ウエストを絞ってワンピース風に着てもいいし、ボタンを全部開けて、羽織としての着まわしでもおしゃれです。
靴は、普段使いにもぴったりな晴雨兼用シューズが出ています。雨の日にはお気に入りの傘を持って出かけると、憂鬱だった気持ちが「あの傘がある」と楽しみに変わります。
雨の日ファッションも、色や柄、好きなデザインを揃えて気分を上げて過ごしてはいかがですか。
◆ヨロヨロのビニール傘を愛用しているのはNG
例えば、綺麗にお手入れしている素敵な傘を持った女性を見たら。あなたはどう感じるでしょうか？ 逆に美しくておしゃれな女性が、なんだか汚れてお手入れもされていないビニール傘であったら？「たかが傘」と、あなどれません。そこから連想させるのはその人の生活ぶりだったり、内面のことかもしれません。なぜなら、傘はあなたの美意識を形にしたものでもあるからです。お手入れされた傘をお持ちになり、あなたの評価をグッと上げてください。
▶雨の日、自宅に客をお迎えするときは
＜その２．雨の日に「お迎えする側」の心遣い＞
◆「お使いください」とタオルを差し出してください
雨が降っている日に訪問客の予定があれば、タオルを用意しておいてください。到着されたらすぐにお使いいただけるように、人数分用意しておくといいですね。訪問客はバッグや服などが濡れたままの入室でしょうから、大変喜ばれます。
◆訪問客の濡れた靴には、さりげなくペーパーを詰めて
憂鬱なはずの雨の日に、ふと心があたたかくなる瞬間がありました。それは、濡れた靴にペーパーをそっと詰めてくださったことです。少しでも早く乾くようにとの心遣いですね。それ以来、私も見習って、雨の時にお越しになった方の靴の中にペーパーを何枚か入れておくようにしております。お迎えする側の優しさや思いやりは深く心に残ります。
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