閉経の前後5年を一般に更年期と呼びます。日本人の閉経の平均年齢は一般的には50歳といわれていますが、新しい研究での平均値は52.1歳とされています。となると、47~57歳の世代は更年期に当たる人が多くなります。身体の不調に苦しみ「更年期障害」の状態に至る人もいます。
私ってもう更年期なの? みんなはどうなの?
オトナサローネは同世代の女性100人がいまどのような更年期を迎えているのか、そのあり方を取材しています。(ご本人の年齢や各種の数値は取材時点のものです)
【100人の更年期】
◆きなこさん 54歳
大阪府在住。夫、28歳の長男、22歳の長女と4人暮らし
40代半ば、「子宮筋腫」と「耐え難い腰痛」
43歳のある日、生理の終わり頃に経血がドロっと出たことに驚いて、翌日すぐに婦人科の門を叩いたきなこさん。子宮筋腫の大きさが「6.5cm」と診断されたものの、2日ほどで出血は止まり、事なきを得ました。子宮頸がんと子宮体がんの検査では「良性」と診断されたので、婦人科で治療を開始することはありませんでした。
婦人科では「閉経すると、子宮筋腫も小さくなるから大丈夫ですよ」と言われただけで、「経過観察」で済みました。その後、定期的に診察に通っていますが、最近も「筋腫は大丈夫ですね」と言われて、何事もなく月日が過ぎていきました。
ただし、40代中盤から腰痛がひどくなりました。その痛みは、ぎっくり腰のときのような「じわーっとした重い痛み」なのだそうです。
42歳のとき、10歳の娘さんとともに一緒にモダンバレエを習い始めたきなこさん。子育ての合間に自分の楽しみができたことが嬉しく、レッスンにも熱が入りました。発表会にも参加し、ステージに立つことが励みになっていたといいます。ところが、腰痛の悪化とともに、レッスンを休む日が増えていきます。振り付けを覚えるのが大変になり、みんなの動きについていけなくなると、気持ちの上でもつらくなっていきました。
「休んだ分を取り戻すのが大変で……。48歳のとき、3回目の発表会を前に、バレエはお休みすることになりました」
体の痛みだけでなく、「好きだったことを手放す」ことのつらさも、きなこさんには重くのしかかっていたのです。
マッサージと鍼でしのぐ日々。改善しても、すぐ痛くなる……
その頃、近所の整骨院で「マッサージと鍼」の治療に通い始めました。良心的な料金なのに腕もよく、何回か通っているうちに痛みが軽減していきました。
「でも、しばらくすると、また痛くなってきちゃうんです」
そんな状態を繰り返していました。
夜寝る前には、Youtubeを見ながら腰痛予防のストレッチを続けて、それなりの効果が出ました。バレエをやっていたので、腰痛はあっても膝の痛みは出なかったのだそう。
「50代中盤を迎える今になって振り返ると、『あれ? あの腰痛は何だったの? もしかして更年期だったの?』と感じます」
と語るきなこさん。
「当時、バレエを習っていた女性の先生は、今は70代になっていますが、今も昔も元気そのもの。『更年期なんて、自分にはなかった』という感じで……。他の生徒さんたちも更年期がきつかった人はいなかったですね」
周囲が元気な人ばかりだったので、自分が更年期だと気付けなかったのかもしれません。
「これは何?」40代半ば過ぎで、肌に赤いポツポツも出てきて
また、腰痛と並行して皮膚の不調も現れました。若いときは吹き出物に悩まされることは一切なかったきなこさんですが、更年期を迎え、40代半ばで赤いポツポツが頬に現れてきました。それまではオリーブオイルを塗ればすぐ治っていたそうですが、湿疹が治らず、皮膚科に通いました。
皮膚科ではあれこれ塗り薬が処方されたものの効かず、
「うちの病院のこの化粧品シリーズを使ってみては?」
と勧められたものを購入しても、一向に治りませんでした。
それが……
「娘が探してきた”角質層を整える働きのある美容液”を塗ったら、炎症が治ったのです。なーんだ、美容成分が足りなかっただけかって……。そのときは娘が救世主に見えましたね」
と、今はカラリと語る、きなこさん。しかし当時は、自分が更年期だと気づかないままに不調と向き合う日々が続きました。
本編では、「腰が痛い」「肌に赤い発疹が出た」それでも更年期だと気づかなかったきなこさんの体験をお届けしました。
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では、50代になったきなこさんを襲った頭痛や気分の落ち込み、そしてセルフケアの工夫についてお伝えします。
写真はイメージです