【大学受験】総合型選抜、重視するのは「研究力」大学教授ら調査
社会
ニュース

「総合型/推薦入試の採点基準、合否判定基準、および評価指標等の実態調査」は2025年5月1日~31日、全国の国公私立大学に所属する教授・准教授・助教・教員・講師・名誉教授・客員教授など612名(国公立大学58名、私立大学554名)を対象にオンラインによるアンケート調査(選択・記述式併用)として実施した。
調査の結果、総合型入試でもっとも重視されるのは「研究力」と「大学での先取り学習」であり、612名中579名(94.6%)がこれを最重要と回答した。一方で、「英検」「評定」「課外活動」などの従来型の指標はほとんど評価されていないことも明らかになった。
また、総合型入試の対策においては「高校教員の支援はほぼ機能していない」とする声が99%を占め、「専門対策を行う学習塾や予備校の活用」や「生成AI(ChatGPT)の導入」が推奨される流れが加速していることもわかった。
合否においては研究力が肝要であり、夢や志よりも“問いの深さ”で決まるとされている。94.6%の教授らが「大学の勉強の先取り」や「研究力」が重視されると回答しており、受験生個人の夢や志、ボランティアなどの活動歴よりも“問い”と“構造”がすべてを決するという。
さらに、高校の先生は受験対策に「役に立たない」と98.8%の教授らが回答しており、受験への制度理解や添削指導の実力、戦略構築のすべてにおいて不十分であると指摘されている。英検などの資格については、“最低限の通行証”にすぎないと97.7%の教授らが回答しており、入試評価対象は「構想」「仮説」「学問への構造的接続」であり、資格や成績は最低ラインでしかないとされている。
評定については、97.3%が「受験合否には影響しない」と回答。ChatGPTの活用は、「積極的に利用してもらいたい」85.9%、「場合によっては利用してもらいたい」10.9%をあわせて、96.8%が肯定的だった。専願や第一志望の規定については、92.1%が守らないことを許容すると回答した。
今回の調査結果をもとに6月18日より順次、石破茂総理や文部科学省をはじめとする関連官公庁、国会や各種教育機関に対して政策提言が予定されている。特に「新しい時代の入試制度のあり方」「公教育と民間教育の適切な役割分担」「生成AI時代のリテラシー教育」に関する3大政策が策定され、今後の教育政策に直接的な示唆を与える存在として、教育行政や受験産業、保護者、高校の指導現場の間で議論の軸となることを目指すとしている。
《吹野准》
この記事の写真
/