40~50代の女性は、ホルモンバランスの乱れから今まで感じていなかったような原因不明の不調に悩まされることが徐々に増えていきます。 そんな更年期世代の女性にとって、特に深刻なのが「冷え」だってご存じでしたか?
そこで「体調を司るのはすべて血流。全身の不調のもとは血流を妨げる「冷え」にあるといっても過言ではないんですよ」と警鐘を鳴らす医師・石原新菜先生に、更年期世代の女性に向けてお話を伺う連載をスタート。 「ご自愛温活のすすめ」と称していろいろな角度から解説していただきます。
ちなみに、みなさんの平熱は何度ですか? もし35度台や36度台前半だったら、その体温の低さがが痩せにくい体の原因になっているかもしれません。 今回は、冷えを改善して食べても太りにくい体をつくるヒントについて伺いました。
【石原新菜先生の“ご自愛温活”のすすめ#1】
体温が1度下がると基礎代謝が13%も下がる!?
私たちの体は、常に熱を生み出しながら生命活動を維持しています。 日中はもちろん、睡眠中や体を動かしていないときにも熱を生み出しているのが基礎代謝です。 同じだけ食べても太りやすい人、痩せやすい人がいますよね? この基礎代謝が高い人ほど、熱を生み出す、つまり脂肪を燃焼する力が高いので、やせやすい体質なのです。
体温が1度下がるだけで、基礎代謝は約13%も下がるといわれています。 つまり、体が冷えている人ほど基礎代謝が低い=太りやすいといえます。
日本人の平熱が約70年で1度も下がっていることをご存知でしょうか? 1957年、約70年前に3000人の日本人の平熱を測ったところ、平均が36度9分だったという報告があります。 ところが最近、平熱が35度台という女性が少なくありません。
昔とは違い、家事が便利になり、エレベーターやエスカレーターが普及して生活がラクになった分、体を動かすことが減ったことが平熱が低下した大きな要因でしょう。 平熱が1度低いだけで、消費カロリーが1割以上も減るのですから、やせにくくなるのは当然ですよね。
さらに前回もお話ししたように、冷えは体内の血流の悪化を招きます。 血流が悪くなると細胞へ栄養や酸素が届きづらくなって働きがにぶくなり、代謝機能はさらに悪化。 脂肪細胞自体も一度冷えると温まりにくい性質があるので、気になるおなかや太ももが冷えによってますます脂肪の落ちにくい状態になります。 このように、冷えはダイエットにとって大敵なのです。
“ながら筋トレ”で代謝を上げて、やせ体質に!
では、どうしたら冷えをとり、熱を生み出す代謝のいい体になることができるのかというと、そのカギになるのが筋肉です。 体温の約40%は筋肉によってつくられています。 筋肉量を増やせば、熱を生み出して脂肪を燃焼しやすい体になります。 ですから、筋肉が少ない人ほど体温を作ることができないため冷えやすくなり、結果、太りやすくなるのです。
このお悩みは女性のほうが深刻です。 男性は体重の約45%が筋肉ですが、女性は35%ほど。 ですから、男性より女性のほうがより筋肉がつきづらく、脂肪がつきやすいんですね。 そのうえ、35歳を超えると、筋肉量の低下と女性ホルモンの低下が相まってさらに代謝が下がるので、35歳を超えた女性こそ意識して筋肉を鍛える習慣を取り入れてほしいと思います。
とはいえ、ジムでハードな筋トレをする必要はありません。例えば一日20~30分歩くだけでもいいし、家の中で30回スクワットをやるだけでもいいんです。おすすめはお風呂に入る前のスクワット。2秒で1回、30回なら1分でできますし、スクワットで体が温まるので、湯船につかるとすぐに汗が出てきて、入浴も短くて済みます。
ぜひ生活の中に運動習慣を組み入れて、熱を生み出す代謝のいい体をつくりましょう。基礎代謝が上がれば、無理にダイエットをしなくても自然とやせやすい体が手に入りますよ。
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【解説】
イシハラクリニック 副院長
石原新菜先生
ヒポクラティック・サナトリウム副施設長、健康ソムリエ理事。1980年 長崎市生まれ。小学2年生までスイスで過ごし、高校卒業まで静岡県伊東市で育つ。2000年4月帝京大学医学部に入学し、卒業後は同大学病院で2年間の研修医を経て、現在父、石原結實のクリニックで主に漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあたっている。クリニックでの診察の他、わかりやすい医学解説と親しみやすい人柄で、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。
撮影/佐山裕子(主婦の友社)