
10年近く更年期“症状” に悩まされ続け、そのツラさを発信してきた更年期コンビの美容エディター・藤井優美と、オトナサローネ編集長・井一美穂(ともに54歳)。更年期を抜けつつある今、2人の体調は? そして何を思うのか? 50代のリアルを語り合います。前編記事『「更年期を抜けたらバラ色よ~」と聞いていたのに、意外とそうではなかった!シニア手前の54歳コンビが思う「アフター更年期」とは?』に続く後編です。
価値観が変わっていく過渡期の今、アフター更年期となった私たち求める“幸せ”はなんだろう?
井一 就職氷河期(1993~2004年に新卒となった世代)の我々世代は、第二次ベビーブーム世代(1971~1974年)でもあるから、人口のボリュームゾーンを占めることもあり、時代の変革を目の当たりにしてきた世代。それこそ、男尊女卑は当たり前、結婚して子どもを産むことがもはや義務で、女性が家事のすべてを担わないといけないとか。
藤井 バブルは知っているけれど、それほど恩恵は受けていないし。私が高校生だった当時、CanCamやおニャン子クラブとか女子大生大ブームで、私も大学生になったらあんな華やかな世界が待っているんだーと思っていたのに、自分がその年になったら時代は高校生ブームに移っちゃって。本当に主役になれない世代というか(笑)、私たちは恵まれた世代ではなかったね。
とはいえ、個人的には、上京して進学もさせてもらって、正社員でも働いているし、フリーランスとして30年以上仕事を続けていることを考えると、ずいぶん恵まれているとは思うけれど。時代の後押しというより、自分で必死にもがいた結果という感じ?
井一 確かにね。そういう意味では、時代の主役になって「私たち!」という主語で語る機会がなかった分だけ、ある意味では時代に合わせようとする世代なのかな。これからのAI時代に対しても、「できない」と頑なに否定するのではなく、「はいはい、やらないとダメですよね」って対応できるというか。まあ、本音を言えばイヤよ。新しいこと覚えるのはいつでも面倒くさいし。でも、受け入れないと、楽しいことはおろか、生活だってできなくなっていく時代なのだから。
生成AIの発達は、更年期カウンセラーの役割や人生悩みを解決する糸口になる?
藤井 終わってしまったけれど、関西万博なんて、何もかもデジタルだったからね。AI時代といえば、以前の更年期対談のときに、「更年期にはもって手軽に相談できるカウンセラーが必要」的な話をしたけれど、それを生成AIが代用してくれる時代になるかも。
井一 うーん、どうだろう。自分が言いたいことを一方的に話して何でも肯定してもらう、壁打ちのようなコミュニケーションを求めているのだったらいいのかもしれないけれど、更年期のときに求めているのってそういうことなのかな?
たとえば、私が生成AIに「愛猫が死んでしまってツライ」と伝えたら、生成AIは「時と共にその気持ちは癒やされますから、今はがんばってください」なんて答えられるんだよ。ツライときはそんな回答が欲しいんじゃないんだよね。
藤井さんだったら、話を聞いて「ツライね」と共感した後、「そういえば最近ね……」と、さりげなく話題を変えてくれる。そうして悲しかった気持ちを逸らすことで徐々に悲しい気持ちが薄まり、日常に戻っていける。そうやって人は生きているんだと思う。
藤井 そっか。更年期のときって心が折れやすいから、否定的なことは一切言われず、自分が言ったことを全部肯定してくれたらラクかもー、って思ったけれど、確かに耳障りのいい言葉ばかりでは、今のツライ現状の助けにはないものね。
井一 結局、人って一人では生きていけないもの。年齢を重ねるとそれをより感じるようになります。特に私はそこまで自分に自信が持てないから、一人で生きていくのは無理。話し合いができるパートナーが必要です。
藤井 “話し合いができる”ここがポイントですよね。子どもが目的ではないパートナーなら、それこそ同性でもいいわけだしね。これから必要なのは、人として信頼できるパートナーの存在かもね。
井一 あー、更年期を抜けて気持ちは前ほど揺らがなくなっているはずなんだけど、やっぱり悩みは尽きない。今回は、漠然と自分たちを取り巻く環境について語ってしまったので、次回は更年期以降に起きる体や心の変化やその対応について話ができるといいですね。
>>>>「更年期を抜けたらバラ色よ~」と聞いていたのに、意外とそうではなかった!シニア手前の54歳コンビが思う「アフター更年期」とは?



