舞台挨拶回は全て満席、動員率85%超え 1年の公開延期を経た『火の華』の異様な熱気 | NewsCafe

舞台挨拶回は全て満席、動員率85%超え 1年の公開延期を経た『火の華』の異様な熱気

芸能 シネマカフェ/映画/邦画ニュース
『火の華』 © animoproduce Inc. All Rights Reserved.
『火の華』 © animoproduce Inc. All Rights Reserved. 全 20 枚 拡大写真
『てっぺんの向こうにあなたがいる』や『盤上の向日葵』、『爆弾』など大作映画が同日公開された3連休、2016年に実際に報道され政権を揺るがした「自衛隊日報問題」を着想にした『火の華』が、約1年の公開延期を経て、ついに劇場公開。待ちかねていた観客が渋谷ユーロスペースに押しかけ、舞台挨拶回は全て満席で、3連休の動員率は85%超えの大ヒットとなった。

2016年、PKO(国連平和維持活動)のため南スーダンに派遣された自衛官の島田東介。ある日、部隊が現地傭兵との銃撃戦に巻き込まれる。同期で親友の古川は凶弾に倒れ、島田はやむなく少年兵を射殺。この前代未聞の“戦闘”は、政府によって隠蔽されてしまう。

それから2年後、新潟。悪夢に悩まされる島田は、危険な武器ビジネスに加わりながら、花火工場の仕事に就くのだが…。

本作は、南スーダンにPKO派遣された元自衛官の壮絶な体験とその後の宿命を克明に描いたオリジナルストーリー。

新藤兼人賞銀賞を受賞した『JOINT』(2021年)で鮮烈なデビューを果たした小島央大監督と主演の山本一賢が、本作では共同企画・脚本を担い、日本映画で扱われることのなかった元自衛官の「PTSD」と、日本伝統の「花火」をモチーフに、<戦う>ことや<平和>の在り方、そして人間の本質までを問いかける。

昨年のマスコミ試写では満席になり、作品への評価が非常に高い作品でありながら2024年11月に出演者兼プロデューサーの起訴を受けて同年12月に公開延期となっていた本作。原因となった刑事事件が今年2025年4月に終結したことを受け、この度、劇場公開が決まった。

公開前には、俳優・池松壮亮が「構成、脚本、カメラの動き、人物へのまなざし、世界との対話、全てが驚くべきクオリティで、かつスケールが大きい。戦後80年の締め括りに届いた、気高い祈り。恐るべき才能の序章に、是非出会ってほしい」と寄せるなど、藤原季節、監督の瀬々敬久ら映画人ほか、漫画家の新井英樹、小説家の佐藤究、芸人の千原ジュニア、戦史・紛争史研究家の山崎雅弘ら各界の著名人29名が絶賛。



主演の山本一賢と小島央大監督の対談や、自衛隊日報の開示請求を行い、防衛省の日報隠蔽発覚のきっかけを作ったジャーナリスト・布施祐仁や、自衛官のメンタルヘルス対策に携わってきた元自衛隊精神科医官で医学博士の福間詳、実際に南スーダンにPKO派遣された元陸自衛隊員の小山修一によるレビューなど、本作の魅力を多角的な視点でひも解くパンフレットの購買率は35%。上映後のサイン会には毎回長蛇の列ができ、ロビーは異様な熱気に包まれた。

「最近にはない熱さを感じます」公開延期を経て、劇場公開に踏み切った劇場支配人がコメント
11月1日(土)に実施された公開記念舞台挨拶では、主演の山本、柳ゆり菜、松角洋平、伊武雅刀、田中一平、原 雄次郎、新岡潤、ゆかわたかし、今村謙斗、山崎潤、遠藤祐美、YUTA KOGA、小島監督、総勢13名による公開記念舞台挨拶を実施。

登壇者たちが会場の中に入ってくると、観客は立ち上がり大きな拍手と歓声で迎え、鳴りやまないスタンディングオベーションに包まれた。

無量の表情を浮かべた小島監督はまず「約5年、この映画を作り始めてから、ようやくこの日を迎えられて本当に幸せです。作る前から、なぜ花火が美しいんだろう? そして同時になんで映画が好きなんだろう?ということをずっと考えていました。キャストやスタッフの皆さん、そして観客の皆さんとスクリーンで映画を観るという一体感を感じることができて、本当に幸せで仕方ありません。ありがとうございます」と挨拶。

続いて、本作では共同企画・脚本にも名を連ね主演を務めた山本は、まっすぐに観客を見据えながら「今日は本当にありがとうございます。今日を迎えられて、なんとも言えない気持ちです。ユーロスペースの支配人の北條さんには本当に感謝しています」と満席の観客と再上映に踏み切った劇場の支配人に感謝の意を述べた。

そして、共演者もそれぞれの万感の思いを語り、山本扮する島田東助を花火師の道へと導く「藤井煙火」の社長にして名花火師の藤井与一を演じた伊武は「私はかれこれ100本以上の映画に出演しているんですけど、この映画の完成版を見たときに、“なかなかいいじゃないか”って思いましたね。そんなことは初めてじゃないかな。こんなに嬉しいことはないですよ」と『火の華』の出来上がりを称賛し、小島監督や山本ら、これからの日本映画を背負っていく実力ある若い才能を絶賛した。

翌11月2日には、前日はスケジュールの都合で登壇がかなわなかった藤井煙火の長老で工場長を演じたダンカンが駆けつけ、山本、小島監督と舞台挨拶を開催。ダンカンも「舞台挨拶は何十回も40年以上やってるけど、皆さん映画を見るのが本当に好きなんだろうな、と真剣なお客さんばっかりですよね」と本作を称賛した。

小島監督の前作『JOINT』でいち早く小島監督に着目し、公開延期を受けてもなお、作品の持つ力を信じ劇場公開に踏み切ったユーロスペースの北條誠人支配人は、「新しい総理大臣がアメリカとの親密な関係のもと防衛費の増大を唱える今が、『火の華』の公開によりふさわしい秋<とき>になりました。上映が終わるごとにおこる拍手の波。監督に話しかける人の多さ。邦画洋画問わずに最近にはない熱さを感じます。この11ケ月が無駄ではなかったことを確信しました」と驚きと確信を語っている。

奇しくも、公開直前に新政権が発足し、防衛力の強化方針が明らかになったが、そんな中で平和のあり方を問う本作がどのように広まっていくかに期待が集まる。

『火の華』はユーロスペースほか全国にて順次公開中。

《シネマカフェ編集部》

この記事の写真

/

アクセスランキング

  1. Snow Man渡辺翔太、クリスマスの予定告白 意外な回答にラウール悲しげ「点灯した仲じゃん」

    Snow Man渡辺翔太、クリスマスの予定告白 意外な回答にラウール悲しげ「点灯した仲じゃん」

  2. 田村淳、引退時期に言及 政界進出は「思ったことはある」至らなかった理由に共演者驚き

    田村淳、引退時期に言及 政界進出は「思ったことはある」至らなかった理由に共演者驚き

  3. Snow Manラウール・渡辺翔太・岩本照、“男性初”けやき坂イルミネーション点灯式登場 六本木に冬の訪れ知らせる

    Snow Manラウール・渡辺翔太・岩本照、“男性初”けやき坂イルミネーション点灯式登場 六本木に冬の訪れ知らせる

  4. ≠ME谷崎早耶、ミニ丈×ロングブーツから美脚チラリ「可愛すぎて罪」「脚綺麗」の声

    ≠ME谷崎早耶、ミニ丈×ロングブーツから美脚チラリ「可愛すぎて罪」「脚綺麗」の声

  5. 元おニャン子・渡辺美奈代、手作り韓国&中華料理披露「ご飯が進みそう」「レベル高い」と反響

    元おニャン子・渡辺美奈代、手作り韓国&中華料理披露「ご飯が進みそう」「レベル高い」と反響

ランキングをもっと見る