
「閉経」という言葉に、どんなイメージをもっていますか? 女性ホルモンの恩恵が少なくなり、心身ともに不調が訪れる年齢になった、ついにその烙印が押されてしまった……とネガティブにとらえる方が今までは多かったようです。しかし、女性の社会進出が当たり前になった今、その捉え方にも変化が生まれています。ある調査(※)によると、「閉経」という言葉にネガティブな印象を持っている人は41%、そうでない人は59%。社会全体で「閉経」をポジティブにとらえる人々が多数派となっています。それに伴い、閉経後の女性の生き方にも注目が集まってきています。
オトナサローネ読者には、閉経予備群やすでに閉経した方もいらっしゃるでしょう。身体に変化があったとしても、今までと変わらずアクティブに自分の人生を楽しむにはどうしたらいいのか? そんな漠然とした不安を感じた時、少し先にそれらを経験した“先輩”の声を聞きたくなります。
『年齢革命 閉経からが人生だ!』(齋藤 薫/文藝春秋刊)で、齋藤さんがつづっている女性の身体や生き方についての話から、私たちが、閉経後も充実した毎日を送るためには、自身の身体の変化をどう受け止めていけばいいのかを、一緒に考えていきましょう。
※女性誌『CREA』によるSNS上で年齢・性別不問で行った調査。
もう上がっちゃっていることは本当に恥ずかしいのか?
―――閉経したことを恥ずかしいと感じる女性も多いようですが。齋藤さんはどのように感じていらっしゃいますか。
誰が言ったか閉経することを「上がっちゃった」」と言いますよね。閉経を昔から「上がる」と表現するけれど、ふと思うのは、そもそもそこにネガティブな響きがあること。元々はスゴロクの「上がり」と同義で、物事が終了するという意味。言うまでもなく「閉経した」とダイレクトに言うことに抵抗があるからこそ、女性たちが自ら「上がる」という動詞を引っ張ってきたわけです。けれど、この表現、には「ついに上がっちゃったの」「私もうとっくに上がっちゃってるから」のように使うと、恥じらいと残念感を含みながらも、ちゃんと割り切って、明るくこの先を生きていくわよ的な小さな決意が感じられたりするから不思議ですよね。閉経した時って、まさにそんな気分なのだろうから言い得て妙! 昔の人の知恵はなかなかだと思います。
しかも「上がり」は、紆余曲折悩みながらもしっかり進み、ついにゴールに到達したというワード。決して悪い表現ではない。でも同時に「上がり」は「終わり」「止まる」の意味もある。それこそ女性終了!みたいなニュアンスもあるから、やっぱり排除したいんです。
>閉経はゴールではなく…?
―――閉経はゴールではなく、その先もまだまだ女性の人生は続きますもんね。
月経をかつて「アンネ」と言ったのも、ストレートに語ることへの抵抗、一種の羞恥心からきているわけで、それ自体理不尽。月経が「穢れ(けがれ)」としてタブー視されていたこともあるからなんですが、女性の体の宿命をどうして恥じることがあるのか、まずはその認識から変えたいと思っています。閉経も恥じてはいけない。一人一人が決して恥じずに、堂々とすることが、世の中の意識を変えるのだから。上がりは上がりでも、スゴロクの上がりではなく、女性として一段高みに上がること! それこそが閉経なのだと。「ごめん、私、一足先に上に上がっちゃうね。お先にぃ」と誇れるような時代がもう既に来ているんです。
本記事では、閉経のとらえ方でその後の生き方が変わるということについて語っていただきました。関連記事『「閉経すると女じゃなくなる」は本当か? 日本の半分以上が50代過ぎなのに、まだそんな説を信じるつもり!?』では、「閉経すると女じゃなくなる」という言説の嘘について、齋藤 薫さんにお話しいただきます。
▶関連記事『「閉経すると女じゃなくなる」は本当か? 日本の半分以上が50代過ぎなのに、まだそんな説を信じるつもり!?』

齋藤 薫(さいとうかおる)
美容ジャーナリスト、エッセイスト。東京都生まれ。女性誌編集者を経て、多数の女性誌やウェブメディアに連載エッセイを持つ美容ジーナリストに。美容記事の企画、化粧品の開発、アドバイザーなど幅広く活躍。著書に『“一生美人”力』シリーズ(朝日聞出版)、『大人の女よ! 清潔感を纏いなさい』、『だから“躾のある人” は美しい』(ともに集英社文庫)など。
※本記事は書籍『年齢革命 閉経からが人生だ!』から一部抜粋・編集しました。
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